第115回(R8) 看護師国家試験 解説【午前16~20】

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16 腰椎穿刺の体位を図に示す。適切な体位はどれか。

解答

解説

腰椎穿刺とは?

腰椎穿刺は、第3・4腰椎間あるいは第4・5腰椎間で行う。腰椎穿刺とは、診断・検査のために脳脊髄液を採取するために、脊柱管に針を挿入する医療処置である。腰椎穿刺の主な理由は、脳や脊髄を含む中枢神経系の病気の診断に役立てることである。これらの状態の例には、髄膜炎およびくも膜下出血などがある。

1.3~4.× 背臥位/腹臥位/半側臥位
・体幹中間位や回旋位の姿勢では、腰椎の棘突起間が広がりにくく、穿刺部位が確認しにくい。

2.〇 側臥位(体幹屈曲位)が、腰椎穿刺の体位である。なぜなら、側臥位で体幹屈曲位になることで、腰椎の棘突起間が広がるため。腰椎穿刺は、第3・4腰椎間あるいは第4・5腰椎間で行う。

 

 

 

 

17 免疫抑制作用があるのはどれか。

1.抗ヒスタミン薬
2.インターフェロン
3.ヒト免疫グロブリン
4.副腎皮質ステロイド

解答

解説

1.× 抗ヒスタミン薬は、免疫抑制薬そのものではない。抗ヒスタミン薬は、主にヒスタミンの作用を抑えてアレルギー症状を軽減する薬である。
・抗ヒスタミン薬とは、体内でアレルギー症状を引き起こす「ヒスタミン」という化学伝達物質の作用を抑えることにより、症状を改善する薬である。花粉症をはじめとするアレルギー性鼻炎の他、医療機関では食べ物によるアレルギー、じんま疹、気管支ぜんそくなどの治療にも使用される。

2.× インターフェロンは、免疫抑制薬そのものではない。インターフェロンは、ウイルス増殖を抑えたり、免疫反応を調節したりするサイトカインである。
・インターフェロンとは、動物体内で病原体や腫瘍細胞などの異物の侵入に反応して細胞が分泌する蛋白質のことである。ウイルス増殖の阻止や細胞増殖の抑制、免疫系および炎症の調節などの働きをするサイトカインの一種である。一般的に、A型急性肝炎の治療は、通常、安静を含めた対症療法が中心となる。

3.× ヒト免疫グロブリンは、免疫抑制薬そのものではない。ヒト免疫グロブリンは、抗体を補充して感染防御や免疫調整を行う製剤である。
・免疫グロブリンとは、免疫活性を持つたんぱく質で、B細胞リンパ球より産生される。侵入した異物の排除に働く。

4.〇 正しい。副腎皮質ステロイドは、免疫抑制作用がある。なぜなら、副腎皮質ステロイドは、炎症性サイトカインの産生やリンパ球・マクロファージなどの免疫細胞の働きを抑えるため。

 

副腎皮質ステロイド薬とは?

【ステロイドの機序】
ステロイドは細胞の中に入った後にグルココルチコイド受容体に結合する。ステロイドの結合したグルココルチコイド受容体は、細胞の核内へ移行し、炎症に関与する遺伝子の発現を調節すると言われている。 この結果として強力な抗炎症作用と免疫抑制作用が発揮される。

【ステロイドの副作用】
軽度:中心性肥満、体重増加、満月様顔貌
重度:消化管潰瘍、糖尿病、感染症、骨粗鬆症・骨壊死、筋炎、精神症状(抑うつ、せん妄)

ステロイドを長期的に内服した場合、体内でステロイドホルモンが分泌されなくなることがある。そのため、急に薬の内服を止めると体内のステロイドホルモンが不足し、倦怠感や血圧低下、吐き気、低血糖などの症状が起こることがある。これをステロイド離脱症候群という。

(※参考:「副腎皮質ステロイド」日本リウマチ学会様HP)

 

 

 

 

18 誤嚥のリスクがある患者の食事援助で適切なのはどれか。

1.きざみ食を選ぶ。
2.粘り気の強い食品を選ぶ。
3.食事中は頸部前屈位をとる。
4.食後は速やかに仰臥位をとる。

解答

解説

誤嚥しやすい食べ物

①サラサラした液体、②口腔内でバラバラになりまとまりにくい物、③水分が少なく,パサパサした物、④口腔内や咽頭に貼り付きやすい物、⑤粘りの強い物、⑥すべりのよすぎる物、⑦硬い物などである。

1.× きざみ食を選ぶことは、必ずしも誤嚥予防とはならない。なぜなら、きざみ食は口腔内でばらばらになりやすく、咽頭に残留して誤嚥しやすいため。嚥下障害では、きざみ食より“まとまりやすい食形態”を選択する。

2.× 粘り気の強い食品を選ぶことは、むしろ誤嚥リスクを高める。なぜなら、粘り気の強い食品は、咽頭に付着・残留しやすく、飲み込みにくいため。誤嚥予防では、適度なとろみは有効だが、粘り気が強すぎるものはかえって危険である。

3.〇 正しい。食事中は頸部前屈位をとること誤嚥のリスクがある患者の食事援助である。なぜなら、頸部前屈位では、気道入口部が狭くなり、食物が気管に入りにくくなるため。つまり、嚥下時に喉頭蓋が気道を覆いやすくなり、食塊が食道へ流れやすくなる。

4.× 食後は速やかに仰臥位をとることは、むしろ誤嚥リスクを高める。なぜなら、食後すぐに仰臥位になると、胃内容物の逆流や咽頭残留物の流入により誤嚥しやすくなるため。食後は、可能であれば30分程度は、座位または上体挙上位を保つ。

 

 

 

 

19 医療者間のコミュニケーションのエラーを防ぐために適切なのはどれか。

1.薬剤の単位は省略する。
2.与薬の指示は口頭で行う。
3.伝えられた情報の内容を復唱し確認し合う。
4.伝えられた情報の不明点に関する質問は控える。

解答

解説

1.× 薬剤の単位は、「省略してはならない」。なぜなら、薬剤の単位を省略すると、投与量の誤認や過量投与につながる危険があるため。たとえば、「インスリン 10単位」を「10」とだけ伝えると、何を10なのか不明確になる。また、「mg」と「mL」の取り違えは薬剤量の誤りに直結する。

2.× 与薬の指示は、「口頭」ではなく文書(電子カルテなど記録に残る形)で行う。なぜなら、口頭指示は、ミス(聞き間違い、記憶違い、伝達漏れ)が起こりやすいため。また、与薬は患者の生命に直結するため、薬剤名、用量、投与経路、投与時間、投与速度などを明確に確認できる形で指示される必要がある。

3.〇 正しい。伝えられた情報の内容を復唱し確認し合う。なぜなら、復唱により、ミス(聞き間違い、記憶違い、伝達漏れ)をその場で修正できるため。

4.× 伝えられた情報の不明点に関する質問は控える「必要はない」。むしろ、不明点は必ず質問して確認する。なぜなら、不明点を残したまま実施すると、誤認や思い込みによる医療事故につながるため。

 

 

 

 

20 接触感染予防策として使用するのはどれか。

1.陰圧室
2.ガウン
3.ゴーグル
4.N95マスク

解答

解説

接触感染予防策とは?

接触感染予防策とは、患者や周囲の物に触れることで病原体が広がるのを防ぐ対策である。接触感染対策の基本は、手袋、ガウン、手指衛生である。MRSAやノロウイルスなどで行う感染対策である。

1.× 陰圧室は、「接触感染予防策」ではなく、主に空気感染予防策で用いる。
・陰圧室とは、室内の空気や空気感染する可能性のある細菌が外部に流出しないように、気圧を低くしてある病室のことである。空気感染隔離室とも呼ばれる。空気感染する感染症は、麻疹・水痘(みずぼうそう)・結核が代表的疾患である。感染症にはさまざまな感染経路があるが、陰圧室に隔離すべきということは、患者周囲の空気を外に飛散させてはならないということである。

2.〇 正しい。ガウンは、接触感染予防策として使用する。なぜなら、接触感染では、患者や患者周囲の環境に付着した病原体が医療者の衣服に付着し、他の患者へ伝播する危険があるため。
・ガウンとは、血液や体液の飛散から衣服や皮膚を保護するために着用する個人防護具である。

3.× ゴーグルは、標準予防策や飛沫感染予防策で、飛散リスクがある場面に使用する。なぜなら、ゴーグルは、血液・体液・飛沫などが眼粘膜に入るのを防ぐ目的で使用する防護具であるため。ゴーグルは、標準予防策や飛沫感染予防策で、飛散リスクがある場面に使用する。

4.× N95マスクは、「接触感染予防策」ではなく、主に空気感染予防策で用いる。
・N95マスクとは、アメリカ合衆国労働安全衛生研究所のN95規格をクリアし、認可された微粒子用マスクのこと。N95マスクの役割は空気感染源を捕集し、着用者の呼吸器感染のリスクを低減することである。

感染経路と感染症

感染には、①接触感染、②空気感染、③飛沫感染がある。

①接触感染(例:流行性角結膜炎、疥癬、ノロウイルス感染症など)
(1)直接接触感染:感染者の皮膚粘膜との直接接触による伝播・感染する。
(2)間接接触感染:感染者の微生物で汚染された衣類、周囲の器物、環境などとの接触による伝播・感染する。

②飛沫感染(例:風疹、流行性耳下腺炎、 インフルエンザ、マイコプラズマ、百日咳など)
咳やくしゃみなどに伴って発生する飛沫(粒径5μm以上の粒子)が経気道的にヒトの粘膜に付着し感染する。飛散する範囲は1m以内であることが特徴。

③空気感染(例:結核、水痘、麻疹など)
飛沫核 (粒径5μm未満の粒子に付着した微生物)が長期間空中を浮遊し、これを吸い込むことで感染が伝播・感染する。

(※参考:「医療施設等における感染対策ガイドライン」厚生労働省様HPより)

 

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