第115回(R8) 看護師国家試験 解説【午後86~90】

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86 民生委員について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.児童委員を兼ねる。
2.任期は5年である。
3.厚生労働大臣から委嘱される。
4.社会福祉法に基づいて置かれる。
5.全国で約50万人が活動している。

解答1・3

解説

民生委員とは?

民生委員とは、日本独自の制度化されたボランティアである。地域社会の福祉の増進図っている。任期は3年で都道府県知事の推薦を受けて厚生労働大臣に委嘱されたものである。市町村の各地区に配置され、①住民の生活状況の把握、②関係機関との連携、③援助を要するものヘの相談援助を主な役割とする。根拠法令は「民生委員法」で給与の支給はない。

1.〇 正しい。児童委員を兼ねる。これは、民生委員法の第6条が根拠である。
・児童委員とは、地域の子どもや妊産婦、子育て家庭の相談に応じ、必要な支援や関係機関につなぐ地域福祉の担い手である。民生委員が児童委員を兼ねており、虐待予防、育児不安、生活困窮などの問題を早期に把握し、住民に身近な立場で見守りを行う役割がある。

2.× 任期は、「5年」ではなく3年である。これは、民生委員法の第10条が根拠である。民生委員法の第十条において、「民生委員には、給与を支給しないものとし、その任期は、三年とする。ただし、補欠の民生委員の任期は、前任者の残任期間とする」と記載されている(※引用:「民生委員法」e-GOV法令検索様HPより)。

3.〇 正しい。厚生労働大臣から委嘱される。これは、民生委員法の第5条が根拠である。民生委員法の第十条において、「民生委員は、都道府県知事の推薦によつて、厚生労働大臣がこれを委嘱する」と記載されている(※引用:「民生委員法」e-GOV法令検索様HPより)。
・委嘱とは、行政機関などが特定の職務を依頼して任せることである。例えば、民生委員は、地域の推薦などを経て、最終的に厚生労働大臣から委嘱される。

4.× 「社会福祉法」ではなく民生委員法に基づいて置かれる。
・社会福祉法とは、社会福祉について規定している日本の法律である。所管官庁は、厚生労働省である。社会福祉とは、一般的に低所得、要扶養、疾病、心身の障害、高齢などに起因する生活上の困難や障害に対して、その解決や緩和をめざして発展させられてきた社会的な施策とそのもとにおいて展開される援助活動の総体である。

5.× 全国で「約50万人」ではなく約22〜23万人が活動している(※参考データ:「令和7年度民生委員・児童委員の一斉改選結果を公表します」厚生労働省様HPより)。

 

 

 

 

 

87 加齢に伴う高齢者の泌尿器系の変化で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.尿濃縮力の亢進
2.排尿回数の減少
3.膀胱収縮力の低下
4.尿細管の基底膜の肥厚
5.糸球体濾過量〈GFR〉の増加

解答3・4

解説

(図引用:「加齢による身体機能の変化」著:瀬尾 芳輝)

1.× 尿濃縮力は、「亢進」ではなく低下する。なぜなら、加齢により、ネフロン数の減少、腎血流量低下、尿細管機能低下などが起こるため。したがって、水分を十分に保持しにくくなり、脱水を起こしやすくなる。
・尿濃縮力とは、腎臓が水分を再吸収して尿を濃くする力である。

2.× 排尿回数は、「減少」ではなく増加する。なぜなら、加齢により、膀胱容量の低下、膀胱の伸展性低下、残尿の増加、尿濃縮力低下などが起こるため。したがって、頻尿や夜間頻尿が起こりやすくなる。

3.〇 正しい。膀胱収縮力の低下は、加齢に伴う高齢者の泌尿器系の変化である。なぜなら、加齢により、膀胱の筋力が低下するため。したがって、尿を最後まで出し切れず、残尿が増えやすくなる。
・膀胱収縮力とは、尿を排出するときに膀胱が縮む力である。

4.〇 正しい。尿細管の基底膜の肥厚は、加齢に伴う高齢者の泌尿器系の変化である。なぜなら、加齢により、尿細管上皮の萎縮、尿細管内腔の拡大、尿細管基底膜の肥厚、間質の線維化が進むため。これにより尿細管機能が低下し、尿濃縮力の低下や薬剤排泄能の低下にも関係する。
・尿細管とは、糸球体で濾過された原尿から水分や電解質を再吸収する管である。
・基底膜とは、尿細管上皮を支える薄い膜のような構造である。

5.× 糸球体濾過量〈GFR〉は、「増加」ではなく低下する。なぜなら、加齢により腎血流量が低下し、糸球体硬化やネフロン数の減少が進むため。
・糸球体濾過量とは、腎臓の機能を表す指標で「GFR(Glomerular Filtration Rate)」とも呼ばれる。腎臓のなかにある糸球体(毛細血管の集合体)が1分間にどれくらいの血液を濾過して尿を作れるかを示している。推算糸球体濾過量(eGFR)の正常値は、「60ml/分/1.73㎡以上」で、年齢、性別、血清クレアチニン値、シスタチンC値から計算する。①正常(G1:90以上)、②軽度低下(G2:60〜89)、③中等度低下(G3a:45〜59、G3b:30〜44)、④高度低下(G4:15〜29)、⑤末期腎不全(G5:15以下)に分類される。

 

 

 

 

88 幼児期の形態的・生理的特徴について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.胸囲は頭囲より大きい。
2.大泉門は3歳ころに閉鎖する。
3.乳歯は5歳ころに生えそろう。
4.1分間の心拍数は乳児期よりも減少する。
5.体重あたりの必要水分量は乳児期よりも多い。

解答1・4

解説

(※図:「大泉門と小泉門のイラスト(上から)」いらすとやHPより改変)

1.〇 正しい。胸囲は頭囲より大きい。なぜなら、幼児期の胸囲が頭囲より大きいのは、頭の成長が乳児期に急速に進んだ後、幼児期にはゆるやかになる一方、胸郭や肺、筋肉、内臓が発達して体幹が大きくなるため。そのため、成長とともに胸囲が頭囲を上回る。したがって、出生時は頭が大きく、頭囲>胸囲である。その後、乳児期後半から1歳ごろに頭囲と胸囲がほぼ同じになり、幼児期には胸郭や体幹の発達により胸囲>頭囲となる。

2.× 大泉門は、「3歳ころ」ではなく2歳ころに閉鎖する。
・大泉門とは、頭蓋骨にある冠状縫合、矢状縫合、前頭縫合が十字形に合する所にできる最も大きい泉門のことである。生後2年で閉鎖する。出生前後の児の頭は、成人とは異なり骨化が未完成で、結合部位が膜で覆われている。

3.× 乳歯は、「5歳ころ」ではなく2~3歳ころに生えそろう。
・乳歯とは、生後6~8か月頃から下顎の中切歯が生え始め、2~3歳頃に20本すべて生えそろう歯のことをいう。生える順番として、正中線から外側に向けて切歯(前歯)2本、犬歯(八重歯)1本、臼歯(奥歯)2本が並び、右上、右下、左上、左下にそれぞれ同様に生える。6歳頃から12歳頃にかけて、乳歯から永久歯に生え変わり、永久歯になると親知らずも含め32本となる。

4.〇 正しい。1分間の心拍数は乳児期よりも減少する。なぜなら、心臓の発達により1回拍出量が増え、少ない拍動でも全身に血液を送れるようになるため。

5.× 体重あたりの必要水分量は、乳児期よりも「多い」のではなく少ない。なぜなら、乳児は、体重に占める水分の割合が高く、腎機能も未熟で、体重あたりの水分必要量が多いため。
・乳児期とは、生後1歳から1歳半頃までのことである。
・幼児期とは、満1歳から小学校入学前までのことである。

 

 

 

 

89 職場における精神保健活動で、二次予防はどれか。2つ選べ。

1.職員に、こころの健康に関する研修を行う。
2.働きやすい職場環境づくりのために職員の意見を聞く。
3.うつ病で休職中の職員に職場復帰プログラムを提供する。
4.メンタルヘルスの不調を訴える職員に医療機関を紹介する。
5.ストレスチェックにおいて高ストレスであった者に面談を行う。

解答4・5

解説

疾病予防の概念

疾病の進行段階に対応した予防方法を一次予防、二次予防、三次予防と呼ぶ。

一次予防:「生活習慣を改善して健康を増進し、生活習慣病等を予防すること」
二次予防:「健康診査等による早期発見・早期治療」
三次予防:「疾病が発症した後、必要な治療を受け、機能の維持・回復を図ること」

1.× 職員に、こころの健康に関する研修を行う。
これは一次予防である。なぜなら、研修はメンタルヘルス不調の発生を未然に防ぐ活動であるため。
・こころの健康とは、ストレスや悩みに適切に対処しながら、自分らしく生活し、周囲と良好な関係を保てる状態である。単に精神疾患がないことだけでなく、感情の安定や社会生活への適応も含む概念である。

2.× 働きやすい職場環境づくりのために職員の意見を聞く。
これは一次予防である。なぜなら、職場環境改善はメンタルヘルス不調の原因となるストレス要因を減らす活動であるため。

3.× うつ病で休職中の職員に職場復帰プログラムを提供する。
これは三次予防である。なぜなら、休職中の職員への職場復帰支援は、再発予防と社会復帰を目的とする活動であるため。

4.〇 正しい。メンタルヘルスの不調を訴える職員に医療機関を紹介する
これは二次予防である。なぜなら、不調を訴える職員を早期に専門的支援へつなぐ活動であるため。

5.〇 正しい。ストレスチェックにおいて高ストレスであった者に面談を行う
これは二次予防である。なぜなら、高ストレス者を早期に発見し、面談によって早期対応する活動であるため。

 

 

 

 

 

90 リエゾン精神看護を専門とする看護師の役割で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.看護管理者に対して職員の部署異動を指示する。
2.せん妄がみられる患者に対する処方内容を変更する。
3.多職種から依頼を受けてコンサルテーションを行う。
4.強い不安を訴える身体疾患患者に心理的ケアを行う。
5.身体疾患をもつ患者に対する身体的拘束の判断を行う。

解答3・4

解説

リエゾン精神医学の概念とは?

リエゾン精神医学の概念とは、身体疾患で入院中の患者に対して、患者の精神的・心理的トラブルの改善を図り、身体的疾患の回復を促すことを目的とした医学である。他科の医師およびスタッフの要請に応じてその協力のもと、身体・心理・社会・倫理的な全人的医療を行う。また、リエゾンとは、仲介・つなぎ・橋渡しといった意味をもつフランス語である。リエゾン精神看護の活動は、①直接ケア、②コンサルテーション、③コーディネーション(関係調整)、④倫理調整、⑤教育、⑥研究など多岐にわたる。

【リエゾン精神医医療ベッドサイドマナー12カ条】
①座ること
②患者のためにちょっとした何かをしてあげること
③患者に触れること
④笑顔で接すること
⑤最初に患者について知っていることを話すこと
⑥今一番心配なことを訊くこと
⑦病気についての患者の解釈や不安をよく聴いておくこと
⑧患者の仕事や家族に対して、病気が与えている影響についてよく聞いておくこと
⑨患者が誇りに思っている活動や業績を知っておき、時にそれを誉めること
⑩患者が遭遇している人間としての苦境に理解を示すこと
⑪病気を検討することの必要性と目的を共有し、共同観察者の役割を担ってもらうこと
⑫診察の終わりには何か有益な情報を患者にもたらすこと

1.× 看護管理者に対して職員の部署異動を指示する。
これは、看護部長や看護師長などの看護管理者が判断する管理業務である。

2.× せん妄がみられる患者に対する処方内容を変更する。
これは、医師の役割である。

3.〇 正しい。多職種から依頼を受けてコンサルテーションを行う
これは、リエゾン精神看護を専門とする看護師の役割である。
・コンサルテーションとは、異なる専門性をもつ複数の者が、援助対象である問題状況について検討し、よりよい援助のあり方について話し合うプロセスをいう。 自らの専門性に基づいて他の専門家を援助するものを「コンサルタント」、そして援助を受けるものを「コンサルティ」という。リエゾン精神看護師の場合、身体疾患をもつ患者や家族の心のケアに関する相談や、看護師に対するメンタルヘルス支援を指す場合が多い。

4.〇 正しい。強い不安を訴える身体疾患患者に心理的ケアを行う
これは、リエゾン精神看護を専門とする看護師の役割である。リエゾン精神看護師は、患者の気持ちを受け止め、心理状態を評価し、安心できる説明や対処方法を一緒に考える。

5.× 身体疾患をもつ患者に対する身体的拘束の判断を行う。
これは、チーム医療で慎重に行うものである。
・チーム医療とは、「医療に従事する多種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性を前提に、目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い、患者の状況に的確に対応した医療を提供すること」と一般的に理解されている。チーム医療がもたらす具体的な効果としては、①疾病の早期発見・回復促進・重症化予 防など医療・生活の質の向上、②医療の効率性の向上による医療従事者の負担の軽減、③ 医療の標準化・組織化を通じた医療安全の向上、等が期待される(※引用:「チーム医療の推進について」厚生労働省HPより)。

 

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