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36 妊娠期および産褥期の母体循環動態を示す。
単胎妊娠の母体の全血液量は①妊娠中期から増加し、②妊娠36~38週に最高となり、以後下降傾向を示す。個体差はあるが最高時には非妊時と比べ、③50%以上増加する。これは、④胎盤血行を維持するためと分娩時の出血に備えての変化と考えられる。分娩後は⑤産褥4~6週で非妊時レベルに戻る。
正しいのはどれか。2つ選べ。

1.①妊娠中期
2.②妊娠36~38週
3.③50%以上
4.④胎盤血行を維持する
5.⑤産褥4~6週
解答4・5
解説
単胎妊娠の母体の全血液量は、①【妊娠中期】ではなく妊娠初期から増加し、②【妊娠36~38週】ではなく妊娠32~34週ごろに最高となり、以後下降傾向を示す。個体差はあるが最高時には非妊時と比べ、③【50%以上】ではなく約40~50%増加する。これは、④胎盤血行を維持する(〇正しい)ためと分娩時の出血に備えての変化と考えられる。分娩後は⑤産褥4~6週(〇正しい)で非妊時レベルに戻る。
1.× ①について、単胎妊娠の母体の全血液量は、①【妊娠中期】ではなく妊娠初期から増加する。なぜなら、妊娠成立後の早い時期から母体循環は胎児・胎盤への血流増加に適応し始めるため。妊娠するとエストロゲンやプロゲステロン、レニン‐アンジオテンシン‐アルドステロン系などの作用によって、ナトリウム・水分貯留が進む。その結果、特に血漿量が妊娠初期から増加する。
2.× ②について、単胎妊娠の母体の全血液量は、【妊娠36~38週】ではなく妊娠32~34週ごろに最高となり、以後下降傾向を示す。なぜなら、妊娠中は胎児や胎盤へ十分な酸素や栄養を届けるため。母体の血液量が妊娠初期から増加し、妊娠32~34週ごろには、胎盤循環の維持や分娩時の出血に備えるため、血液量は最大となる。その後は増加が止まり、分娩までほぼ同じ量を維持するか、やや減少する傾向がある。
3.× ③について、単胎妊娠の母体の全血液量は、最高時には非妊時と比べ、③【50%以上】ではなく約40~50%増加する。なぜなら、胎盤への血流を確保するとともに、分娩時の出血に備えるため。なお、増加には個人差があり、すべての妊婦で50%以上増加するわけではない。
4.〇 正しい。④について、「胎盤血行を維持するためと分娩時の出血に備えての変化」である。
・胎盤血行とは、母体と胎児の間で酸素や栄養、老廃物を交換するために、胎盤内を血液が循環することである。母体の血液は子宮の血管から胎盤へ流れ込み、胎児に酸素や栄養を供給する。一方、胎児から出た二酸化炭素や老廃物は母体側へ移される。なお、母体と胎児の血液は通常、直接混ざることはない。
5.〇 正しい。⑤について、分娩後は⑤産褥4~6週(〇正しい)で非妊時レベルに戻る。なぜなら、分娩後は、胎盤循環が消失し、余分な水分が利尿・発汗などによって排泄され、妊娠中の循環動態が徐々に正常化するため。
37 29歳の妊婦。妊娠28週0日。昨日から1時間に1~3回の子宮収縮を自覚したため受診した。超音波検査で子宮頸管長28mmであった。医師は安静目的で入院することと予防的にリトドリン塩酸塩による持続点滴治療をする必要性を説明した。
入院治療を開始する妊婦への助産師のケアで適切なのはどれか。2つ選べ。
1.水分制限を行うよう説明する。
2.振戦の出現の可能性を説明する。
3.ベッド上での下肢の運動を勧める。
4.眼瞼下垂になる可能性を説明する。
5.入浴して腹部を温めるよう勧める。
解答2・3
解説
・29歳の妊婦(妊娠28週0日)。
・昨日から1時間に1~3回の子宮収縮を自覚した。
・超音波検査:子宮頸管長28mm。
・医師は安静目的で入院することと予防的にリトドリン塩酸塩による持続点滴治療をする必要性を説明した。
→リトドリン塩酸塩とは、子宮収縮抑制薬(子宮鎮痙薬とも)である。臨床応用としては、切迫早産や切迫流産の際に子宮収縮(陣痛)を抑制するのに用いられる。投与中に過度の心拍数増加(頻脈)があらわれた場合には、減量するなど適切な処置を行うことが求められる。主な副作用として、動悸、振戦(手足の震え)、吐き気、発疹などが報告されている。胎児には、頻脈、不整脈があらわれる。作用機序として、β受容体刺激剤の中でも強いβ2選択性により、細胞内c-AMPを上昇させ、子宮収縮抑制効果を示す。
1.× 水分制限を行うよう説明することの優先度は低い。なぜなら、リトドリン投与にあたって水分制限を行うことが求められないため。ただ、リトドリンではβ刺激作用などにより、まれで肺水腫を起こすこともある。したがって、過剰な水分負荷を避ける必要はある。
2.〇 正しい。振戦の出現の可能性を説明する。なぜなら、リトドリンは、β₂受容体刺激薬であり、子宮平滑筋だけでなく骨格筋などにも作用して振戦を生じることがあるため。ちなみに、代表的副作用は、振戦・動悸・頻脈などである。
3.〇 正しい。ベッド上での下肢の運動を勧める。なぜなら、長期間の安静・臥床によって下肢静脈の血流が停滞し、深部静脈血栓症〈DVT〉の危険が高まるため。妊娠自体がもともと血栓形成傾向にある。そこへ、【妊娠による過凝固状態+入院安静+長時間の臥床】が重なると、DVTのリスクがさらに高まる。そのため、子宮収縮を誘発しない範囲で、軽い運動を行い、静脈還流を促すように指導する。
4.× 眼瞼下垂になる可能性を説明する「必要はない」。なぜなら、リトドリン投与の代表的な副作用とはいえないため。
5.× 入浴して腹部を温めるよう勧める「必要はない」。なぜなら、本症例(妊娠28週0日、頸管長28mm)は、子宮収縮がみられ安静管理と持続点滴治療を必要としており、入浴という身体活動を積極的に勧める状況ではないため。医師は、早産予防のために、【入院+安静+リトドリン持続点滴】を選択している。したがって、助産師は、入浴を勧めるよりも、本症例の症状(子宮収縮の頻度、性器出血、破水徴候、リトドリンの副作用など)を観察する。
38 妊娠20週以降の双胎間輸血症候群〈TTTS〉の診断根拠に用いられるのはどれか。2つ選べ。
1.羊水量
2.胎盤の数
3.卵膜の構造
4.推定児体重
5.臍帯付着部位
解答1・4
解説
・双胎間輸血症候群とは、この胎盤の吻合血管により双胎間に慢性の血流アンバランス(不均衡)が生じ引き起こされる病態である。一絨毛膜二羊膜双胎の約10%に起こるとされる。
1.〇 正しい。羊水量は、妊娠20週以降の双胎間輸血症候群〈TTTS〉の診断根拠に用いられる。なぜなら、双胎間輸血症候群では供血児と受血児の循環血液量に差が生じ、それぞれの尿量が減少・増加するため。
・双胎間輸血症候群の診断基準は、「一絨毛膜双胎のうち一絨毛膜二羊膜(MD)双胎では,最大羊水深度を測定し,羊水過多(最大羊水深度≧8cm)と羊水過少(最大羊水深度≦2cm)を同時に認めた場合に TTTS の発症を考える」と記載されている(※参考:「日本産科婦人科学会ガイドライン」P344より)。
2.× 胎盤の数は該当しない。なぜなら、胎盤の数は、一絨毛膜性か二絨毛膜性かを推定するために用いられるため。
3.× 卵膜の構造は該当しない。なぜなら、卵膜の構造は、主に妊娠初期の膜性診断に用いられるため。卵膜の構造から一絨毛膜二羊膜か二絨毛膜二羊膜かなどを判定する。
4.〇 正しい。推定児体重は、妊娠20週以降の双胎間輸血症候群〈TTTS〉の診断根拠に用いられる。なぜなら、双胎間輸血症候群では、供血児への血流・栄養供給が相対的に不足し、供血児と受血児の間に発育差・推定体重差を生じることがあるため。
5.× 臍帯付着部位は該当しない。なぜなら、臍帯付着部位は、両児間の輸血不均衡を直接診断する所見ではないため。ちなみに、臍帯付着異常は、胎盤占有領域や胎児発育に影響することはある。つまり、臍帯付着部位の異常は、発育差には関係するが、双胎間輸血症候群の診断そのものではない。
39 呼吸窮迫症候群〈RDS〉の低出生体重児に対する治療法で適切なのはどれか。2つ選べ。
1.経鼻的CPAP療法
2.インドメタシンの投与
3.テオフィリン製剤の投与
4.グルココルチコイドの投与
5.人工肺表面活性物質の投与
解答1・5
解説
呼吸窮迫症候群とは、早産児にみられる呼吸疾患で、サーファクタントという肺胞を覆う物質が産生されないか不足しているために、肺胞が拡張した状態を保てないことで起こる。早産児や妊娠中に母親が糖尿病にかかった新生児は、呼吸窮迫症候群を発症するリスクが高くなる。症状として、肺胞がしぼみ、呼吸がうまく出来ず、多呼吸の症状が現れる。息を吸うときに肋骨や胸骨の下が陥没するのが特徴(陥没呼吸)。 症状が悪化すると、呻吟、チアノーゼ、嗜眠、不規則呼吸および無呼吸となる。
1.〇 正しい。経鼻的CPAP療法は、呼吸窮迫症候群〈RDS〉の低出生体重児に対する治療法である。なぜなら、経鼻的CPAP療法によって、呼気終末にも陽圧をかけて肺胞を開存させることができるため。ちなみに、呼吸窮迫症候群では、サーファクタント不足によって呼気時に肺胞が虚脱しやすいことが特徴である。
・CPAP〈continuous positive airway pressure:持続陽圧呼吸〉とは、自発呼吸をしている児に対して、吸気時だけでなく呼気時にも一定の陽圧をかける方法である。
2.× インドメタシンの投与は、呼吸窮迫症候群〈RDS〉の低出生体重児に対する治療法ではない。なぜなら、インドメタシンは、サーファクタント不足を改善する薬ではないため。
・インドメタシンとは、NSAIDsの一種であり、シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害して、プロスタグランジンの合成を抑制する薬剤である。プロスタグランジンには、胎児や新生児の動脈管を開いた状態に保つ働きがある。
3.× テオフィリン製剤の投与は、呼吸窮迫症候群〈RDS〉の低出生体重児に対する治療法ではない。なぜなら、テオフィリン製剤は、サーファクタント不足を改善する薬ではないため(未熟児無呼吸発作に関連する)。
・テオフィリンとは、【対象】喘息、閉塞性換気障害【作用】気管支拡張、抗炎症【副作用】過量投与で悪心、嘔吐、動悸などがある。テオフィリン血中濃度が高値になると、血中濃度の上昇に伴い、消化器症状(特に悪心、嘔吐)や精神神経症状(頭痛、不眠、不安、興奮、痙攣、せん妄、意識障害、昏睡等)、心・血管症状(頻脈、心室頻拍、心房細動、血圧低下等)、低カリウム血症その他の電解質異常、呼吸促進、横紋筋融解症等の中毒症状が発現しやすくなる。
4.× グルココルチコイドの投与は、呼吸窮迫症候群〈RDS〉の低出生体重児に対する治療法ではない。なぜなら、グルココルチコイドは、主に早産が予測される妊婦へ出生前に投与する必要があるため。胎児肺の成熟とサーファクタント産生を促進して呼吸窮迫症候群を予防する。
5.〇 正しい。人工肺表面活性物質の投与は、呼吸窮迫症候群〈RDS〉の低出生体重児に対する治療法である。なぜなら、呼吸窮迫症候群の本態が、肺サーファクタント不足であるため。人工肺表面活性物質(外因性サーファクタント)を投与することで肺胞表面張力を低下させ、肺胞虚脱を防ぐことができる。
40 地域における子育てグループ活動を支援することとした。
適切なのはどれか。2つ選べ。
1.1回限りの活動を中心とする。
2.親が育児を学習する機会とする。
3.活動資金を獲得することから始める。
4.仲間づくりによって育児不安を解消する。
5.主たる目的は個別事例の相談対応である。
解答2・4
解説
地域の子育てグループ活動では、専門職が一方的に教えるのではなく、親同士(ピアサポート)が継続的につながり、学び合い、支え合うことが重要である。
1.× 「1回限り」ではなく継続的な活動を中心とする。なぜなら、継続的に参加することで親同士の信頼関係が形成され、相互支援や地域でのつながりが育つため。
2.〇 正しい。親が育児を学習する機会とする。なぜなら、親同士の経験共有や専門職からの情報提供を通して、育児に必要な知識や方法を主体的に学ぶことができるため。
3.× 「必ずしも」、活動資金を獲得することから始める「必要はない」。なぜなら、まず地域の親のニーズや課題を把握し、活動の目的・参加者・内容を明確にする必要があるため。その上で、必要に応じて会場や人員、資金などの社会資源を検討する。
4.〇 正しい。仲間づくりによって育児不安を解消する。なぜなら、同じような立場の親同士が経験や悩みを共有することで、孤立感が軽減し、心理的な支えを得られるため。
・ピアサポートとは、自助グループ活動の一つであり、同じ問題や障害を背景にもつ人が、仲間同士として支え合うこという。ピアサポートを行う人たちのことを、「ピアサポーター」という。
5.× 主たる目的は、「個別事例の相談対応」ではなく集団の相互作用を生かした支援である。なぜなら、グループ活動では、親同士の交流・学習・相互支援を促進することが中心であるため。個別事例への専門的対応は別途個別支援として行う。
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