第94回(H23) 助産師国家試験 解説【午前41~45】

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次の文を読み41〜43の問いに答えよ。
 36歳の2回経産婦。妊娠39週1日。午前0時に陣痛発来し午前1時に入院した。入院時の内診所見は子宮口5cm開大、展退度80%、Station-2。未破水。体温37.0℃、脈拍90/分、血圧130/82mmHg。1時間後、陣痛間欠3分、発作40秒、破水するとすぐに努責感が出現し、午前2時30分、3850gの男児を出産した。羊水混濁はなく、会陰裂傷はない。胎盤娩出直後の子宮底は臍下2横指で収縮良好である。

41 新生児の出生1分後のアプガースコアは7点(筋緊張−1点、皮膚色-2点)であった。保温し、皮膚の水分を拭き取り刺激した。さらに30秒経過後、啼泣があった。筋緊張は良好で心拍数100/分以上、中心性チアノーゼを認める。
 この時点の対応で適切なのはどれか。

1.経過観察
2.皮膚刺激
3.フリーフローでの酸素投与
4.マスクアンドバッグでの酸素投与

解答3

解説

JRC蘇生ガイドライン2015オンライン版‐第4章 新生児の蘇生(NCPR)

(※図引用:「JRC蘇生ガイドライン2015オンライン版‐第4章 新生児の蘇生(NCPR)」一般社団法人 日本蘇生協議会より)

本症例のポイント

・36歳の2回経産婦(妊娠39週1日)。
・午前0時:陣痛発来し午前1時に入院。
・午前2時30分:3850gの男児を出産。
・羊水混濁はなく、会陰裂傷はない。
・出生1分後のアプガースコア:7点(筋緊張−1点、皮膚色-2点)。
・保温し、皮膚の水分を拭き取り刺激した。
・さらに30秒経過後、啼泣があった。
・筋緊張は良好で心拍数100/分以上、中心性チアノーゼを認める。
→蘇生ガイドライン2015にのっとり適切に選択できるようにしよう。初期処置後に「自発呼吸あり・心拍数100/分以上」で中心性チアノーゼを認める場合、SpO₂を評価し、必要時にフリーフロー酸素投与を行う流れである。

1.× 経過観察だけでは不十分である。なぜなら、中心性チアノーゼが残っているため。中心性チアノーゼは、酸素化が不十分である可能性を示す所見である。

2.× 皮膚刺激をする必要はない。なぜなら、皮膚刺激は、主に自発呼吸を促すための初期処置であるため。この児にはすでに十分な自発呼吸が認められる。

3.〇 正しい。フリーフローでの酸素投与が最も優先される。初期処置後に「自発呼吸あり・心拍数100/分以上」で中心性チアノーゼを認める場合、SpO₂を評価し、必要時にフリーフロー酸素投与を行う流れである。
・フリーフロー酸素投与とは、チューブを持つ手で作るカップ状のくぼみ、酸素マスクなどの器具を用いて酸素を投与する方法である。

4.× マスクアンドバッグでの酸素投与の適応とはいえない。なぜなら、マスクアンドバッグによる陽圧換気は、無呼吸・あえぎ呼吸、または初期処置後も心拍数100/分未満の場合などに必要となる処置であるため。
・マスクアンドバッグとは、新生児の口と鼻をマスクで覆い、バッグを手で押して空気や酸素を肺に送り込む人工呼吸(陽圧換気)の方法である。主に自発呼吸がない場合、あえぎ呼吸がみられる場合、心拍数が100回/分未満の場合に行う。

 

 

 

 

 

次の文を読み41〜43の問いに答えよ。
 36歳の2回経産婦。妊娠39週1日。午前0時に陣痛発来し午前1時に入院した。入院時の内診所見は子宮口5cm開大、展退度80%、Station-2。未破水。体温37.0℃、脈拍90/分、血圧130/82mmHg。1時間後、陣痛間欠3分、発作40秒、破水するとすぐに努責感が出現し、午前2時30分、3850gの男児を出産した。羊水混濁はなく、会陰裂傷はない。胎盤娩出直後の子宮底は臍下2横指で収縮良好である。

42 胎盤娩出後2時間。褥婦は、体温37.4℃、脈拍90/分、血圧136/84mmHgである。頭痛はない。外陰部に拍動性の痛みを訴える。
 最も疑われるのはどれか。

1.弛緩出血
2.産褥子癇
3.子宮内感染
4.外陰部血腫

解答4

解説

本症例のポイント

・36歳の2回経産婦(妊娠39週1日)。
・3850gの男児を出産。
・羊水混濁はなく、会陰裂傷はない。
・胎盤娩出直後の子宮底は臍下2横指で収縮良好である。
・胎盤娩出後2時間。
・褥婦:体温37.4℃、脈拍90/分、血圧136/84mmHg。
・頭痛はない。
・外陰部に拍動性の痛みを訴える。
→分娩後に「外陰部の強い疼痛・拍動痛」があり、子宮収縮が良好で外出血が目立たない場合は、産道血腫(とくに外陰部血腫)を疑う。

1.× 弛緩出血より優先されるものが他にある。なぜなら、弛緩出血の場合、子宮収縮不良による大量の性器出血と、軟らかく腫大した子宮を認めるのが典型であるため。本症例では、胎盤娩出直後の子宮底は臍下2横指で収縮良好であると考えられる。
・弛緩出血とは、児と胎盤の娩出後、本来なら子宮が収縮することで止まるはずの出血が続く状態である。原因は、多胎妊娠や巨大児による子宮の過伸展、子宮収縮剤の長時間投与、長引く分娩による母胎の疲労、子宮奇形などの体質によるもの、子宮内の凝血塊の遺残、全身麻酔などが挙げられる。弛緩出血が起きたときには、子宮収縮を促すためオキシトシンなどの子宮収縮剤の投与や、子宮マッサージが行われる。子宮底部の輪状マッサージとは、子宮筋を刺激して、子宮収縮を促進させるマッサージである。 排尿・排便を定期的に促し、膀胱・直腸充満からの圧迫による子宮収縮不全を防止する。早期離床を促し、悪露の貯留による子宮収縮不全を防止する。

2.× 産褥子癇より優先されるものが他にある。なぜなら、産褥子癇の場合、妊娠高血圧症候群に関連した高血圧や頭痛、視覚異常などを伴い、最終的にけいれん発作を呈することが典型であるため。本症例の血圧は136/84mmHgで、少なくとも高血圧の基準である140/90mmHg以上とはいえず、頭痛なしと明記されている。
・産褥子癇とは、出産後の産褥期に、妊娠高血圧症候群などに関連して全身のけいれん発作を起こす重篤な病態である。主な症状は強直間代性けいれんや意識障害であり、出産後48時間以内に多いが、それ以降にも発症することがある。母体の生命に関わるため、硫酸マグネシウムの投与や血圧管理などの迅速な治療が必要である。

3.× 子宮内感染より優先されるものが他にある。なぜなら、子宮内感染の場合、発熱や子宮圧痛、悪臭を伴う悪露などの感染徴候を認めることが多いため。本症例の体温は、37.4℃で、産後早期としては感染を強く疑う温度ではない。さらに、分娩からわずか約2時間という段階で、主訴が外陰部の拍動性疼痛である。これは感染よりも局所の血腫を強く示唆する。

4.〇 正しい。外陰部血腫が最も疑われる。なぜなら、分娩後早期に出現する外陰部の強い拍動性疼痛は、外陰部血腫に特徴的な症状であるため。とくに本症例には、①3850gの比較的大きな児、②経産婦、③破水後すぐに努責感出現、④急速に分娩が進行という、産道に急激な圧力・伸展が加わる背景があり、外陰部に拍動性の痛みがみられている。
・外陰部血腫とは、分娩時の圧迫や損傷によって外陰部の血管が破れ、皮下組織に血液がたまる状態である。会陰裂傷がなくても発生することがあり、主な症状は外陰部の腫脹や強い疼痛である。大量出血によってショックを起こすこともある。血腫が小さい場合は経過観察を行うが、大きい場合や増大する場合は血腫の除去や止血処置が必要となる。

 

 

 

 

 

次の文を読み41〜43の問いに答えよ。
 36歳の2回経産婦。妊娠39週1日。午前0時に陣痛発来し午前1時に入院した。入院時の内診所見は子宮口5cm開大、展退度80%、Station-2。未破水。体温37.0℃、脈拍90/分、血圧130/82mmHg。1時間後、陣痛間欠3分、発作40秒、破水するとすぐに努責感が出現し、午前2時30分、3850gの男児を出産した。羊水混濁はなく、会陰裂傷はない。胎盤娩出直後の子宮底は臍下2横指で収縮良好である。

43 産褥1日。褥婦は、「破水したら我慢できなくてすごくいきんでしまいました。私がもう少し我慢してゆっくり産んでいたら、赤ちゃんは苦しくならなかったのでしょうか」と涙ながらに話した。
 声かけで適切なのはどれか。

1.「自分を責めているのですね」
2.「早いお産だったから安産でよかったですね」
3.「我慢できなかったことは気にしなくていいですよ」
4.「そうですね。少し我慢できたらよかったかもしれませんね」

解答1

解説

本症例のポイント

・36歳の2回経産婦(妊娠39週1日)。
・新生児の出生1分後のアプガースコアは7点(筋緊張−1点、皮膚色-2点)。
・筋緊張は良好で心拍数100/分以上、中心性チアノーゼを認める。
・産褥1日「破水したら我慢できなくてすごくいきんでしまいました。私がもう少し我慢してゆっくり産んでいたら、赤ちゃんは苦しくならなかったのでしょうか」と涙ながらに話した。
→産婦は、自分が強くいきんだことで児に悪影響を与えたのではないかと考え、自責の念を抱いている。このような場合は、産婦の気持ちを受け止め、共感的な態度で接することが重要である。

1.〇 正しい。「自分を責めているのですね」と伝える。なぜなら、「自分を責めているのですね」という声かけは、褥婦が抱いている罪悪感を否定せずに受容し、感情を反映する援助であるため。

2.× 「早いお産だったから安産でよかったですね」と伝えるのは不適切である。なぜなら、褥婦が抱えている自責感や赤ちゃんへの心配を無視しているように感じ取られかねないため。「安産だった」と評価するのではなく、まず褥婦の心配や自責感を受け止める必要がある。

3.× 「我慢できなかったことは気にしなくていいですよ」と伝えるのは不適切である。なぜなら、褥婦の感情を否定するように感じ取られかねないため。なぜなら、「気にしなくていい」という言葉は、本人が実際に抱いている不安や罪悪感を打ち消してしまう言葉になりかねない。まず感情を受容することが重要である。

4.× 「そうですね。少し我慢できたらよかったかもしれませんね」と伝えるのは不適切である。なぜなら、褥婦が「自分のせいだったのではないか」と自責している状況で、その考えを肯定すると罪悪感を増強してしまう可能性があるため。

 

 

 

 

 

次の文を読み44~46の問いに答えよ。
 39歳の女性。夫と2人の子どもとの4人暮らし。事務職。知人から検診センターで乳がん検診と健康相談が開催されることを聞き、参加することを決めた。会場で問診票を記載した後に助産師の面接を受けた。

44 女性は身長160cm、体重57kg。初経は11歳。周期は28日で規則的、量は中等量。月経痛は軽度であり、不正性器出血はない。食生活は肉や脂質の摂取が多めで、毎夕食時にアルコールを飲む。20歳代で2人の子どもを出産し、1年間母乳のみで育てた。昨年から管理職になり仕事は増えたが、とてもやりがいがあるという。会社は全館禁煙である。家族にがんを罹患した人はいない。
 乳がん発症のリスクとして注意すべき状況はどれか。

1.食生活
2.出産年齢
3.職場環境
4.母乳育児歴

解答1

解説

本症例のポイント

・39歳の女性(事務職)。
・身長160cm、体重57kg。初経:11歳。
・周期は28日で規則的、量は中等量。
・食生活:肉や脂質の摂取が多め、毎夕食時にアルコールを飲む。
・20歳代で2人の子どもを出産し、1年間母乳のみで育てた。
・昨年から管理職になり仕事は増えたが、とてもやりがいがあるという。
・会社は全館禁煙である。
・家族にがんを罹患した人はいない。
→乳癌とは、乳管や小葉上皮から発生する悪性腫瘍である。乳管起源のものを乳管癌といい、小葉上皮由来のものを小葉癌という。年々増加しており、女性のがんで罹患率第1位、死亡率は第2位である。40~60歳代の閉経期前後の女性に多い。乳がんのリスク要因は、①初経年齢が早い、②閉経年齢が遅い、③出産歴がない、④初産年齢が遅い、⑤授乳歴がないことなどである。閉経後の肥満は乳がん発症の高リスクであると考え、 また閉経後の女性では運動による乳がんリスク減少の可能性が示されている。

1.〇 正しい。食生活は、乳がん発症のリスクとして注意すべき状況である。なぜなら、飲酒は乳がん発症リスクを上昇させることが確立しているため。アルコールの摂取によって女性ホルモンであるエストロゲンの血中濃度が上昇するほか、アルコールの代謝で生じるアセトアルデヒドがDNAを傷つけ、発がんにつながると考えられている。乳がん予防だけを考えるなら、飲酒量はゼロに近いほど望ましい。

2.× 出産年齢(20歳代での出産)は、乳がんリスクを高める状況とはいえない。なぜなら、初産年齢が高いことや未産は、乳がんリスクを上昇させるため。一方、比較的若い年齢での出産はリスクを低下させる方向に働くため。乳がんのリスク因子として、一般的に初産年齢30歳以上が一つの目安とされる。

3.× 職場環境(事務職、管理職、全館禁煙)は、乳がんリスクを高める状況とはいえない。なぜなら、乳がんの代表的リスク因子に、仕事量や心理的ストレスだけいため。さらに、会社は全館禁煙であり、少なくとも職場での受動喫煙曝露を示す記載はない。

4.× 母乳育児歴(1年間母乳のみ)は、乳がんリスクを高める状況とはいえない。むしろ、母乳育児は、乳がんリスクを低下させる方向に働く。なぜなら、授乳は生涯の排卵・月経回数を減少させ、乳腺のホルモン曝露を減らすことなどにより、乳がん発症リスクを低下させるため。

 

 

 

 

 

次の文を読み44~46の問いに答えよ。
 39歳の女性。夫と2人の子どもとの4人暮らし。事務職。知人から検診センターで乳がん検診と健康相談が開催されることを聞き、参加することを決めた。会場で問診票を記載した後に助産師の面接を受けた。

45 女性は助産師に「休職中の同僚が乳がんだったと知り、私も自己触診をしてみました。これからは乳がん検診を受けたほうが良いと思ったのです」と受診動機を話した。
 助産師の対応で適切なのはどれか。

1.「40歳からはマンモグラフィ検診も受けるようにしてください」
2.「早期発見しても乳房を失いますが、延命は期待できます」
3.「40歳を過ぎたら、自己触診を始めましょう」
4.「検診間隔は3年に1回で十分です」

解答1

解説

本症例のポイント

・39歳の女性(事務職)。
・4人暮らし:夫と2人の子ども。
・女性「休職中の同僚が乳がんだったと知り、私も自己触診をしてみました。これからは乳がん検診を受けたほうが良いと思ったのです」と受診動機を話した。
→日本の対策型乳がん検診は、40歳以上の女性を対象に「2年に1回のマンモグラフィ」が基本です。 また、日頃から自分の乳房の状態を意識するブレスト・アウェアネスは40歳を待たずに行う。国立がん研究センターも、40歳以上は2年に1回のマンモグラフィ検診を推奨している。
→ブレスト・アウェアネスとは、乳房を意識する生活習慣のことである。

1.〇 正しい。「40歳からはマンモグラフィ検診も受けるようにしてください」と伝える。なぜなら、日本の対策型乳がん検診では、40歳以上の女性に2年に1回マンモグラフィを行うことが推奨されているため。
・マンモグラフィとは、乳房のX線撮影のことで、乳房撮影専用X線装置を用いて乳房を圧迫し、乳房内の組織の差を写し出す画像検査である。マンモグラフィでは、「しこり」や「石灰化」のように触れることの出来ない小さな病変を写し出すことが出来るため、早期乳がんや乳がん以外の病変を見つけ出すことに非常に有効である。

2.× 「早期発見しても乳房を失いますが、延命は期待できます」と伝える必要はない。なぜなら、早期乳がんでは乳房温存手術など、乳房をすべて切除しない治療が選択できる場合があるため。したがって、乳がん検診により、乳がんを早期に発見し、適切に治療することで乳がんによる死亡を減らすことが検診の重要な目的である。

3.× 「40歳を過ぎたら、自己触診を始めましょう」と伝えるより優先されるものが他にある。なぜなら、現在は年齢を区切った定型的な「自己触診」よりも、日頃から自分の乳房の状態を意識するブレスト・アウェアネスが重視されているため。本症例(39歳女性)は、すでに自分の乳房に関心を持っており、そのこと自体は望ましい行動である。
・ブレストアウェアネスとは、「乳房を意識する生活習慣」のことである。

4.× 「検診間隔は3年に1回で十分です」と伝える必要はない。なぜなら、日本の乳がん対策型検診では、40歳以上の女性に原則2年に1回のマンモグラフィが推奨されているため。

乳がんの検診について

乳がん検診(一次)は、国の指針によりますと、対象は40歳以上で、問診、乳房X線検査(マンモグラフィ)が基本になっています。視触診の推奨はされていませんが、実施する場合はマンモグラフィ検査と併用します。乳がん検診はマンモグラフィ検査が国際基準ですが、乳腺の密度が高い40代の検診精度が低くなるという課題があり、近年、マンモグラフィ検査に「超音波検査」を組み合わせたり、単独で用いたりする方法を採用しているところもあります。約7万6千人の40代の女性を、マンモグラフィ検査を受けたグループと、マンモグラフィ検査に超音波検査を加えたグループに無作為に分けて比較する大規模な臨床研究の結果、がんの発見率が、超音波検査を加えたグループの方が1.5倍高かったという報告があります。(※一部抜粋:「乳がんの検診について」日本対がん協会HPより)

 

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