第94回(H23) 助産師国家試験 解説【午前6~10】

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6 精巣性女性化症候群で正しいのはどれか。

1.子宮は存在する。
2.核型は47.XYYである。
3.精巣腫瘍の発生するリスクが高い。
4.精巣からのアンドロゲン産生異常である。

解答3

解説

精巣性女性化症候群とは?

現在は、アンドロゲン不応症といい、通常、染色体が46,XYで精巣を持つが、表現型(外見に現れた形態・生理的な性質)が女性である病態のことである。つまり、外性器は完全に女性型であるが、精巣は存在しテストステロンやアンチミューラリアンホルモン(または抗ミュラー管ホルモン)は分泌されるため、ミューラー管から分化する子宮・卵巣・卵管は欠如する。したがって、外見的には女性であり、腟も存在し女性として養育され原発性無月経で初めて診断されることが多い。連鎖劣性遺伝(伴性劣性遺伝)で起こる。

1.× 子宮は存在「しない」。なぜなら、精巣のSertoli細胞から抗ミュラー管ホルモン〈AMH〉が分泌され、ミュラー管の発育が抑制されるため。男性型の外性器形成は進まず、外性器は女性型になる。

2.× 核型は、「47.XYY」ではなく46,XYである。なぜなら、Y染色体をもつ遺伝学的男性であるため。つまり、異常の本体は性染色体数ではなくアンドロゲン受容体の機能異常である。

3.〇 正しい。精巣腫瘍の発生するリスクが高い。なぜなら、精巣が腹腔内や鼠径管内など正常な陰嚢外に存在することが多いため。したがって、加齢とともに性腺腫瘍の発生リスクが高くなる。

4.× 精巣からのアンドロゲン産生は、「正常である」。アンドロゲンの産生異常ではなく、アンドロゲンに対する反応性の異常である。なぜなら、標的組織のアンドロゲン受容体が正常に機能しないため。つまり、アンドロゲンを「作れない」のではなく、アンドロゲンが「効かない」。

 

 

 

 

 

7 下垂体性排卵障害の治療法で適切なのはどれか。

1.GnRH療法
2.hMG-hCG療法
3.カウフマン療法
4.クロミフェン療法

解答2

解説

下垂体性排卵障害とは?

下垂体性排卵障害とは、脳にある下垂体の働きが低下し、卵胞の発育や排卵を促すホルモン(FSH・LH)が十分に分泌されない状態である。卵胞が育ちにくく、排卵が起こらないため、月経不順や無月経、不妊の原因となる。下垂体の腫瘍や炎症、手術後の障害などが原因となり、治療では原因への対応やホルモン剤による排卵誘発を行う。

1.× GnRH療法は、下垂体性排卵障害の第一選択にならない。なぜなら、GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)は、下垂体を刺激してFSH(卵胞刺激ホルモン)・LH(黄体形成ホルモン)を分泌させる治療であるため。したがって、下垂体そのものに機能障害がある場合には十分な反応が期待できない。

2.〇 正しい。hMG-hCG療法は、下垂体性排卵障害の第一選択となる。なぜなら、下垂体からのFSH(卵胞刺激ホルモン)・LH(黄体形成ホルモン)分泌が不足しているため。ゴナドトロピンを外から直接投与して卵胞発育と排卵を起こす必要がある。
・hMG-hCG療法とは、排卵が起こりにくい女性に行う排卵誘発法である。まず、卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンの作用をもつhMG製剤を注射し、卵巣内の卵胞を育てる。超音波検査や血液検査で卵胞の成長を確認し、十分に成熟した段階でhCG製剤を注射して排卵を促す。効果が高い一方、多胎妊娠や卵巣過剰刺激症候群の危険があるため、医師による慎重な管理が必要である。

3.× カウフマン療法は、下垂体性排卵障害の第一選択にならない。なぜなら、カウフマン療法は、排卵誘発そのものを目的とする治療ではないため。
・カウフマン療法とは、不妊治療のひとつで、正常の月経周期や女性ホルモン環境を人工的に作り出すホルモン療法である。これは、ホルモン剤を投与して擬似的に月経周期を作り出すことで排卵を抑制し、卵巣を休ませる治療法である。排卵を抑制することで自然な月経を促し、妊娠しやすい環境を整えることを目的とすることが多い。具体的には、エストロゲン製剤を数日間投与した後、さらに数日間エストロゲン製剤およびプロゲスチン製剤を併用投与し、休薬時に月経様の出血を起こさせる。主に、①無月経、②卵巣機能不全、③性腺機能低下などで、周期的なホルモン環境を作る目的で行われる。

4.× クロミフェン療法は、下垂体性排卵障害の第一選択にならない。なぜなら、クロミフェンは、視床下部・下垂体系に作用してFSH・LH分泌を促す薬であるため。
・クロミフェン療法とは、排卵が起こりにくい女性にクロミフェンクエン酸塩を内服し、排卵を促す治療法である。薬が脳に作用して、卵胞の発育に必要なFSHやLHの分泌を高め、卵巣内の卵胞を育てる。通常は月経周期の初めから5日間服用し、超音波検査などで卵胞の成長を確認する。比較的手軽な方法であるが、多胎妊娠や卵巣の腫れ、子宮内膜が薄くなる可能性があるため、医師の管理下で行う必要がある。

 

 

 

 

 

8 不均衡型胎児発育不全の原因となるのはどれか。

1.先天奇形
2.染色体異常
3.子宮内感染
4.母体低栄養

解答4

解説

胎児発育不全の2つのタイプ

胎児発育不全は、主に2つのタイプに分けられる。胎児の発育が阻害される時期と原因によって、①均衡型と②不均衡型である。※③混合型(均衡型と不均衡型が混在している)

①均衡型胎児発育不全:妊娠初期~中期の早い時期から発育が遅れ、推定体重が少なく、頭も体も全体的に小さい赤ちゃんである。このタイプの胎児発育不全は、染色体異常を含めた先天異常や胎内感染など、多くは赤ちゃん自身の原因によっておこる。また、妊娠中の喫煙や飲酒が原因になることもある。

②不均衡型胎児発育不全:主に妊娠後半に発育がゆっくりとなり、頭は正常な大きさだが、体が細身な赤ちゃんである。これは、前置胎盤や臍帯の付着異常などの胎盤や臍帯の問題や妊娠高血圧症候群などお母さんの合併症が原因で、お母さんからの栄養が十分に赤ちゃんに供給されないために起こるものである。

(※参考:「ばぁばみちこの部屋」ここすまネット様HPより)

1.× 先天奇形は、不均衡型よりも均衡型の胎児発育不全の原因になる。なぜなら、先天奇形は、胎児自身の発育異常として妊娠早期から胎児全体の成長を障害するため。

2.× 染色体異常は、不均衡型よりも均衡型の胎児発育不全の原因になる。なぜなら、染色体異常は、受精時から存在し、妊娠初期から胎児の細胞増殖そのものを障害するため。つまり、染色体異常があると、その早い段階から成長が障害されるため、「頭部だけ保たれるのではなく、胎児全体が小さくなる」という均衡型になりやすくなる。

3.× 子宮内感染は、不均衡型よりも均衡型の胎児発育不全の原因になる。なぜなら、妊娠早期から胎児が感染すると、胎児の細胞増殖や臓器発達が全身性に障害されるため。

4.〇 正しい。母体低栄養は、不均衡型胎児発育不全の原因となる。なぜなら、母体から胎児への栄養供給が不足すると、胎児は脳などの重要臓器への血流を優先し、肝臓や体幹への栄養供給を減らして生存しようとするため。特に、妊娠後半では、胎児の成長は細胞数の増加よりも細胞の肥大・栄養蓄積が中心となる。

 

 

 

 

 

9 分娩時の胎勢とその説明の組合せで正しいのはどれか。

1.頭頂位:矢状縫合を先進部として骨盤に進入
2.後頭位:前後径を含む平面で骨盤に進入
3.前頭位:大斜径を含む平面で骨盤に進入
4.額位:小斜径を含む平面で骨盤に進入

解答1

解説

(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」)

1.〇 正しい。頭頂位:矢状縫合を先進部として骨盤に進入
頭頂位では、左右の頭頂骨の間にある矢状縫合が先進して骨盤内へ進入する。

2.× 後頭位は、「前後径」ではなく小斜径を含む平面で骨盤に進入する。なぜなら、後頭位では児頭が十分に屈曲し、児頭の最も小さい前後方向の径である小斜径が産道を通過するため。

3.× 前頭位は、「大斜径」ではなく前後径を含む平面で骨盤に進入する。なぜなら、前頭位は、児頭が軽度に反屈した状態であり、大泉門付近が先進して前後径周囲で骨盤内へ進入するため。

4.× 額位は、「小斜径」ではなく大斜径を含む平面で骨盤に進入する。なぜなら、額位では児頭が中等度に反屈し、額が先進することで児頭最大の前後方向径である大斜径が産道に向かうため。

 

 

 

 

 

10 分娩期の母体の変化で正しいのはどれか。

1.白血球数は減少する。
2.血液凝固能は低下する。
3.子宮頸部のコラーゲンの量は減少する。
4.エストロゲン/プロゲステロン比が低下する。

解答3

解説
1.× 白血球数は、「減少」ではなく増加する。なぜなら、分娩は、母体にとって大きな身体的ストレスであるため。したがって、ストレス反応によって好中球を中心とした白血球数が増加する。

2.× 血液凝固能は、「低下」ではなく亢進する。なぜなら、分娩時の出血に備えて、妊娠中から凝固因子が増加するため。これは、分娩時の出血を抑えるためには有利であるが、その反面、血栓形成のリスクは高くなる。

3.〇 正しい。子宮頸部のコラーゲンの量は減少する。なぜなら、分娩時には子宮頸管を軟化・展退・開大させる必要があるため。したがって、頸部を硬く保っているコラーゲン線維が分解・疎開する。
・子宮頸管の展退(短縮)とは、分娩時に子宮頸管が子宮筋の収縮や胎児の下降によって短くなり、軟らかくなって開きやすくなる現象である。この現象は頸管熟化と呼ばれ、出産が近づくと胎児が通過しやすいように起こる。初産婦の子宮頸部はまだ一度も出産を経験していないため、組織がより弾力性に富んでいる。これにより、妊娠が進むにつれて子宮頸管が短くなり、薄くなるのが比較的容易である。一方、経産婦の子宮頸部は出産経験によって一度伸びた後に回復しているが、完全に元の状態に戻るわけではなく、弾力性が若干失われている。

4.× エストロゲン/プロゲステロン比が、「低下」ではなく上昇する。なぜなら、分娩開始に向けてプロゲステロンによる子宮収縮抑制作用が相対的に弱まり、エストロゲン作用が優位になるため。
・プロゲステロンとは、基礎体温を上げ、受精卵が着床しやすい状態にする作用を持つ。プロゲステロン(黄体ホルモン)は、性周期が規則的で健常な成人女性において、着床が起こる時期に血中濃度が最も高くなるホルモンである。着床が起こる時期とは、月経の黄体期である。黄体期は、排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期である。

 

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