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31 助産師の業務について正しいのはどれか。
1.インシデントレポートは周産期の事故防止に役立たない。
2.助産録には新生児の保健指導の要領の記載が義務づけられている。
3.助産所業務ガイドラインには、自宅分娩の嘱託医の条件が明記されている。
4.助産師独自の判断による医療事故では、法的責任を助産師に求めることはない。
解答2
解説
インシデントレポートとは、医療現場で事故に繋がりかねないような、ヒヤリとしたり、はっとした出来事に関する報告書のことをいう。作成の目的は、事例を分析して類似するインシデントの再発や医療事故・医療過誤の発生を未然に防止することである。インシデントを直訳すると「出来事・事件・異変」である。一方、その行為によって患者に傷害や不利益を与えてしまった事象を、アクシデントという。なお、インシデントの本来の意味は、偶発的や付随的と解釈される。
【目的】
①事実の確認
②原因の究明
③組織全体で事例を共有・分析し、問題点を抽出する。
④将来の医療事故(アクシデント)の予防、再発の防止。
1.× インシデントレポートは、周産期の事故防止「に役立たない」のではなく「にも役立つ」。なぜなら、インシデントを収集・分析することで、事故につながり得る業務上の問題点を明らかにし、再発防止策を講じることができるため。
2.〇 正しい。助産録には、新生児の保健指導の要領の記載が義務づけられている。なぜなら、保健師助産師看護師法施行規則第34条で、助産録の法定記載事項として「産褥経過、褥婦および新生児の保健指導の要項」が定められているため。
・助産録とは、助産師が分娩介助をしたときに、助産に関する事項を速やかに記載しなければいけないものである。助産録の記載内容の12項目が定められている。
①妊産婦の住所、氏名、年齢、職業
②分娩・死産回数、生死産の別
③妊産婦の既往疾患の有無およびその経過
④今回の妊娠経過、所見、保健指導の要項
⑤医師による妊娠中の健康診断受診の有無
⑥分娩場所、年月日時分
⑦分娩経過・処置
⑧分娩異常の有無、経過および処置
⑨児の数、性別、生死別
⑩児および胎児付属物の所見
⑪産褥経過、褥婦および新生児の保健指導の要項
⑫産後の医師による健康診断の有無
(※参考:「保健師助産師看護師法施行規則」厚生労働省様HPより)
3.× 「助産所業務ガイドライン」ではなく医療法や医療法施行規則に、自宅分娩の嘱託医の条件が明記されている。自宅分娩における医療機関との連携については、医療法第19条第2項および医療法施行規則第15条の3に規定されている。出張専門の助産師は、分娩時の異常に備え、産科または産婦人科と小児科を有し、新生児の診療が可能な入院設備のある医療機関を定める義務がある。なお、助産所の嘱託医師の条件については、医療法施行規則第15条の2に規定されている。
・助産所業務ガイドラインとは、日本助産師会が、母子の安全を確保し、適切な助産業務を行うために策定した指針である。助産師が対応できる妊婦の条件や、異常時の医師との連携、医療機関への搬送基準などを定めている。2014年に「助産業務ガイドライン」へ改称され、助産所だけでなく、病院の助産師外来や院内助産でも活用されている。
4.× 助産師独自の判断による医療事故では、法的責任を助産師に「求められることもある」。つまり、「助産師だから医療事故の責任を問われない」ということではない。なぜなら、助産師は専門職として自己の業務範囲内の判断・行為について注意義務を負い、その義務に違反して損害を発生させれば責任を問われ得るため。
32 常位胎盤早期剥離のリスクを最も高める因子はどれか。
1.喫煙
2.糖尿病
3.妊娠高血圧症候群
4.交通事故による外傷
5.常位胎盤早期剥離の既往
解答5
解説
常位胎盤早期剥離とは、子宮壁の正常な位置に付着している胎盤が、通常は妊娠20週以降に剥がれてしまうことである。性器出血や激しい腹痛が起こり、ショック状態を起こすこともある。胎盤が早い時期に剥がれると、在胎週数の割に成長しなかったり、死亡することさえある。治療の原則は、可能な限り速やかに分娩を行うこととされている。短時間のうちに経腟分娩が可能と判断される場合は、経腟での分娩を試みることもあるが、多くの場合は緊急帝王切開術で分娩を行う。
【常位胎盤早期剥離のリスク因子】
①高齢、②高血圧(妊娠中に発症する高血圧の一種である妊娠高血圧腎症など)、③胎盤への酸素供給不足、④胎児を包んでいる組織の感染症(羊膜内感染)、⑤血管炎やその他の血管の病気、⑥常位胎盤早期剥離の既往、⑦腹部外傷、⑧血液凝固障害(抗リン脂質抗体症候群など)、⑨喫煙、⑩前期破水、特に胎児の周囲を満たしている羊水の量が多すぎる(羊水過多)の場合、⑪コカインの使用
(※参考:「常位胎盤早期剥離」MSDマニュアル家庭版様HPより)
1.× 喫煙は、常位胎盤早期剥離の危険因子であるが、最もリスクを高める因子とはいえない。常位胎盤早期剥離の危険因子としての理由として、喫煙では、血管収縮や胎盤血流低下を起こして胎盤循環を障害するため。ただし、リスクの目安として、約1.7~2.0倍である。
2.× 糖尿病は、常位胎盤早期剥離の危険因子であるが、最もリスクを高める因子とはいえない。なぜなら、位胎盤早期剥離の危険因子としての理由として、糖尿病では、巨大児や胎児発育異常、妊娠高血圧症候群などの合併が問題となるため。ただし、リスクの目安として、約2.5~3.0倍である。
3.× 妊娠高血圧症候群は、常位胎盤早期剥離の危険因子であるが、最もリスクを高める因子とはいえない。常位胎盤早期剥離の危険因子としての理由として、妊娠高血圧症候群では、胎盤血管の障害や血流低下が起こり、胎盤付着部で出血・剥離を起こしやすくなるため。ただし、リスクの目安として、約1.5~5.5倍である。
4.× 交通事故による外傷は、常位胎盤早期剥離の危険因子であるが、最もリスクを高める因子とはいえない。なぜなら、腹部への衝撃などが関係するため(交通事故などで子宮に急激な力が加わると、子宮壁と胎盤の間にずれが生じて胎盤が剥離することがある)。つまり、重症度によるため、一律の倍率は算出しにくい。
5.〇 正しい。常位胎盤早期剥離の既往は、常位胎盤早期剥離のリスクを最も高める因子である。なぜなら、一度常位胎盤早期剥離を発症した女性では、胎盤形成や母体血管病変など再発しやすい背景因子を有している可能性が高いため。リスクの目安として、約6~12倍である。
33 助産師の法的義務で正しいのはどれか。
1.異常死産児を検索した3日後に警察署へ届け出る。
2.分娩介助をして記載した助産録を3年後に破棄する。
3.分娩費用未払いである褥婦の沐浴指導の要請を拒否する。
4.分娩介助した人の情報を退職後に他の医療機関の助産師に話す。
5.医師不在の国内線飛行機内で分娩介助した児の出生証明書を交付する。
解答5
解説
1.× 異常死産児を検索した場合、「3日後」ではなく24時間以内に警察署へ届け出る。
・保健師助産師看護師法の第41条において「助産師は、妊娠四月以上の死産児を検案して異常があると認めたときは、二十四時間以内に所轄警察署にその旨を届け出なければならない」と定められている(※引用:「保健師助産師看護師法」e-GOV法令検索様HPより)。
2.× 分娩介助をして記載した助産録を「3年後に破棄」ではなく5年間は保存しなければならない。
・保健師助産師看護師法の第42条2において「助産録であつて病院、診療所又は助産所に勤務する助産師が行つた助産に関するものは、その病院、診療所又は助産所の管理者において、その他の助産に関するものは、その助産師において、五年間これを保存しなければならない」と定められている(※引用:「保健師助産師看護師法」e-GOV法令検索様HPより)。
3.× 分娩費用未払いである褥婦の沐浴指導の要請でも「正当な理由なく拒否できない」。
・保健師助産師看護師法の第39において「業務に従事する助産師は、助産又は妊婦、じよく婦若しくは新生児の保健指導の求めがあつた場合は、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」と定められている(※引用:「保健師助産師看護師法」e-GOV法令検索様HPより)。
4.× 分娩介助した人の情報を退職後に他の医療機関の助産師に話す「ことはできない」。
・保健師助産師看護師法の第42条2において「保健師、看護師又は准看護師は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。保健師、看護師又は准看護師でなくなつた後においても、同様とする。」と定められている(※引用:「保健師助産師看護師法」e-GOV法令検索様HPより)。
5.〇 正しい。医師不在の国内線飛行機内で分娩介助した児の出生証明書を交付する。出生証明書とは、子供が生まれたことを証明する書類である。状況に応じた対応が必要となる。医師がいなくても、その助産師は実際に分娩を介助した者なので、出生証明書の交付が可能である。「自ら分娩を介助した助産師」が交付できる。場所は問わない。
・保健師助産師看護師法の第39条では「業務に従事する助産師は、助産又は妊婦、じよく婦若しくは新生児の保健指導の求めがあつた場合は、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」
・同条の第2項では、「分べんの介助又は死胎の検案をした助産師は、出生証明書、死産証書又は死胎検案書の交付の求めがあつた場合は、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」と定められている(※引用:「保健師助産師看護師法」e-GOV法令検索様HPより)。
34 妊娠中期の妊婦への貧血予防の食事指導で適切なのはどれか。2つ選べ。
1.「食事のときに緑茶を飲みましょう」
2.「ビタミンDを摂るようにしましょう」
3.「肉類と緑黄色野菜を組み合わせて摂りましょう」
4.「必要に応じて鉄を含む補助食品を活用しましょう」
5.「野菜に含まれる鉄は貧血予防には期待できません」
解答3・4
解説
妊娠中期以降は、胎児・胎盤への鉄供給や母体循環血液量の増加により、鉄の必要量が増加する。貧血予防では、ヘム鉄(肉・魚)+非ヘム鉄(野菜・豆類)+ビタミンCを意識する。一方、緑茶・紅茶・コーヒーに含まれるポリフェノール類は鉄吸収を妨げるため、食事と同時の摂取は避ける方がよい。
1.× 「食事のときに緑茶を飲みましょう」と伝える必要はない。なぜなら、緑茶に含まれるタンニンなどのポリフェノールが非ヘム鉄と結合し、腸管からの鉄吸収を低下させるため。
2.× 「ビタミンDを摂るようにしましょう」と伝える必要はない。なぜなら、鉄欠乏性貧血の予防で直接重要なのは、鉄の十分な摂取と吸収であり、鉄吸収を促進する代表的な栄養素はビタミンCであるため。ちなみに、ビタミンDとは、カルシウムとリンの吸収を促進する働きがある。ビタミンDの欠乏によりくる病をきたす。
3.〇 正しい。「肉類と緑黄色野菜を組み合わせて摂りましょう」と伝える。なぜなら、肉類から吸収率の高いヘム鉄を摂取でき、緑黄色野菜から非ヘム鉄やビタミンCなどを補うことで、効率よく鉄を摂取できるため。
4.〇 正しい。「必要に応じて鉄を含む補助食品を活用しましょう」と伝える。なぜなら、妊娠中期以降は母体の鉄需要が増大し、通常の食事だけでは必要な鉄量を確保しにくいことがあるため。妊娠中は、①母体赤血球量の増加、②胎児への鉄供給、③胎盤への鉄供給によって鉄の需要が増加する。したがって、食事内容や血液検査の結果によっては、①鉄強化食品、②鉄を含む補助食品、③必要であれば医師の指示による鉄剤を利用することがある。
5.× 「野菜に含まれる鉄は貧血予防には期待できません」と伝える必要はない。むしろ、野菜に含まれる鉄も、貧血予防に役立つ。なぜなら、野菜には非ヘム鉄が含まれており、吸収率はヘム鉄より低いものの、ビタミンCなどと組み合わせることで吸収を高めることができるため。
35 新生児に対する光線療法の開始基準で、実際の体重よりも少ない体重の児に対する基準値を用いるべき病態はどれか。2つ選べ。(※不適切問題:解なし)
1.多血症
2.敗血症
3.呼吸窮迫
4.低ナトリウム血症
5.代謝性アルカローシス
解答(※解なし)
理由:設問文が不明確であるため、採点対象から除外する。
解説
本来は「2.敗血症」「3.呼吸窮迫」を正解とする意図だった可能性が高いと考えられる。
不明確と考えられる点は、主に次の3つである。
①呼吸窮迫の重症度が不明である。 従来の基準では、PaO₂40mmHg以下、またはSpO₂85%以下が2時間以上持続するなどの条件が示されており、軽度の呼吸障害まで含めてよいか判断できない。
②使用する光線療法の基準が指定されていない。 出生体重別に1段階低い基準を用いる方法があるが、すべての治療基準が同じ方式ではない。
③「実際の体重」という表現が曖昧である。出生体重と測定時の体重のどちらを意味するか明確でない。
1.× 多血症は該当しない。なぜなら、多血症は、赤血球量の増加によってビリルビン産生量を増加させる病態ではあるものの、ビリルビンの神経毒性を直接高める代表的危険因子として規定されていないため。
2.〇 正しい。敗血症は、光線療法開始基準を低く設定する必要がある。なぜなら、敗血症は、感染症に該当し、ビリルビン脳症の危険性を高める病態であるため。感染症では、全身状態悪化、アシドーシス、低アルブミン血症、血液脳関門への影響などが重なり、遊離ビリルビンによる中枢神経障害の危険が高くなる可能性がある。そのため、同じ総ビリルビン値であっても、健康な児より早めに治療介入する考え方になる。
3.〇 正しい。呼吸窮迫は、光線療法開始基準を低く設定する必要がある。なぜなら、重度の呼吸窮迫では、低酸素血症やアシドーシスをきたし、ビリルビンによる中枢神経障害の危険性が高まるため。低酸素状態になると全身状態が悪化し、さらにアシドーシスを伴うと、アルブミンと結合していたビリルビンが解離しやすくなる。すると脳へ移行できる遊離ビリルビンが増える可能性がある。
4.× 低ナトリウム血症は該当しない。低ナトリウム血症は、血液中のナトリウム濃度が低下した状態である。重症例では意識障害やけいれんを起こすが、それ自体は光線療法の開始基準を引き下げる因子ではない。
5.× 代謝性アルカローシスは該当しない。治療基準を引き下げる危険因子は、代謝性アルカローシスではなくアシドーシスである。なぜなら、アシドーシスでは、ビリルビンとアルブミンの結合が弱まり、神経毒性をもつ遊離ビリルビンが増加しやすくなるため。
・代謝性アルカローシスとは、嘔吐などで起こる。嘔吐により胃液(酸性)が失われ、HCO3−が高値となるのが特徴である。
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