第112回(R8)保健師国家試験 解説【午前16~20】

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16 リスクマネジメントの過程で正しいのはどれか。

1.リスク特定→リスク分析→リスク評価→リスク対応
2.リスク評価→リスク分析→リスク特定→リスク対応
3.リスク分析→リスク特定→リスク対応→リスク評価
4.リスク分析→リスク評価→リスク特定→リスク対応

解答

解説
1.〇 正しい。リスク特定→リスク分析→リスク評価→リスク対応
これが、リスクマネジメントの過程で正しい。なぜなら、リスクに対応するためには、最初にどのようなリスクが存在するかを明らか(特定)にし、そのリスクの大きさや影響を分析したうえで、対応の優先順位を判断・評価する必要があるため。
・リスク特定とは、発生しうる危険や問題を洗い出すことである。
・リスク分析とは、そのリスクが起こる可能性や影響の大きさを検討することである。
・リスク評価とは、分析結果をもとに、許容できるリスクか、対応が必要なリスクかを判断することである。
・リスク対応とは、リスクを回避、低減、移転、受容するなどの対策を行うことである。

2.× リスク評価→リスク分析→リスク特定→リスク対応
3.× リスク分析→リスク特定→リスク対応→リスク評価
4.× リスク分析→リスク評価→リスク特定→リスク対応
これらは、過程として不適切である。

 

 

 

 

 

17 A市では新しい健康づくり計画と計画に基づく事業経過をホームページに掲載し、市の方針を明確にしている。
 この活動の目的はどれか。

1.モニタリング
2.アカウンタビリティ
3.パブリックコメント
4.リスクコミュニケーション

解答

解説

1.× モニタリングとは、監視、観察、観測を意味し、対象の状態を継続または定期的に観察・記録することを指す。たとえば、健康づくり計画で「特定健康診査受診率を上げる」という目標を立てた場合、毎年の受診率、保健指導実施率、参加者数などを確認することがモニタリングである。

2.〇 正しい。アカウンタビリティがこの活動の目的である。なぜなら、市の健康づくり計画と事業経過を公表する行為(アカウンタビリティ)であるため。
・アカウンタビリティ(Accountability【直訳】結果に対する責任)とは、説明責任のことである。政府・企業・団体・政治家・官僚などの、社会に影響力を及ぼす組織で権限を行使する者が、株主や従業者(従業員)や国民といった直接的関係者だけでなく、消費者、取引業者、銀行、地域住民など、間接的関係を持つ全ての人・組織(利害関係者/ステークホルダー; 英: stakeholder)にその活動や権限行使の予定、内容、結果等の報告をする必要があるとする考えをいう。

3.× パブリックコメントとは、公的な機関が規則あるいは命令などの類のものを制定しようとするときに、広く公に、意見・情報・改善案などを求める手続きをいう。

4.× リスクコミュニケーション(リスクの意見交換)とは、個人・集団・組織間でリスクやその管理手法について相互に意見交換をすることである。交換のプロセスを通してリスクの受け止めしつつ、相互の信頼を深めることを目的としている。

(※引用:「リスクコミュニケーションについて」厚生労働省様HPより)

 

 

 

 

 

18 若い世代が多いA市では、子どもの発育や発達に関する相談が3年間で2倍に増加した。また、現在A市では保健師20人のうち5人が産前休業、育児休業、介護休業のいずれかを取得している。
 A市の保健師が行う業務管理はどれか。

1.職員の確保を行う。
2.保健事業の予算編成を行う。
3.保健事業の必要量を算出する。
4.育児休業明けの保健師のキャリアレベルを確認する。

解答

解説

MEMO

・若い世代が多いA市
・子どもの発育や発達に関する相談が3年間で2倍に増加。
・現在A市では保健師20人のうち5人が産前休業、育児休業、介護休業のいずれかを取得。
→相談件数が増加している一方で、休業により実働できる保健師数が減っているため、現在の事業ニーズに対してどの程度の業務量・人員・時間が必要かを明らかにする必要がある。

1.× 職員の確保を行うより優先されるものがほかにある。なぜなら、職員の確保を行うには、その前提として業務量や必要人員を明らかにする必要があるため。

2.× 保健事業の予算編成を行うより優先されるものがほかにある。なぜなら、予算編成を行うには、まず保健事業の必要量や必要な人員・資源を把握する必要があるため。

3.〇 正しい。保健事業の必要量を算出する。なぜなら、相談件数が増加している一方で、休業により実働できる保健師数が減っているため(人員不足の可能性が高い)。したがって、現在の事業ニーズに対して、どの程度の業務量・人員・時間が必要かを明らかにする必要がある。業務管理では、地域の健康課題、対象者数、相談件数、家庭訪問件数、健診後フォロー件数、会議・連携業務などを把握し、必要な業務量を見積もる。そのうえで、優先順位をつけ、人員配置、業務分担、事業の見直し、外部資源の活用などを検討する。

4.× 育児休業明けの保健師のキャリアレベルを確認するより優先されるものがほかにある。なぜなら、今回の課題は、発育・発達相談の増加と休業者の存在による業務量と人員配置の問題であるため。

 

 

 

 

 

19 全体の傾向をみることで、都道府県のがん検診が効果的に実施されているかを把握できるがん登録の統計情報はどれか。

1.進行度
2.生存率
3.罹患数
4.治療効果

解答

解説

1.〇 正しい。進行度は、全体の傾向をみることで、都道府県のがん検診が効果的に実施されているかを把握できるがん登録の統計情報である。なぜなら、進行度は、がんが発見された時点でどの程度進んでいるかを示す情報であるため。検診によって早期発見できているかを評価する手がかりになる。

2.× 生存率より優先されるものが他にある。なぜなら、生存率は、検診の効果だけでなく、多くの要因(治療法、医療体制、患者の年齢、併存疾患、がんの性質など)に影響される指標であるため。

3.× 罹患数より優先されるものが他にある。なぜなら、罹患数は、地域で新たに診断されたがんの数を示す情報であるため。検診の質や早期発見の状況までは分からない。つまり、罹患数は、人口規模、高齢化率、生活習慣、リスク因子、診断技術、検診受診率などの影響を受ける。

4.× 治療効果より優先されるものが他にある。なぜなら、治療効果は、がんが発見された後に行われた治療の成果を示すものであるため。

 

 

 

 

 

20 成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律〈成育基本法〉で定めているのはどれか。

1.不妊治療の保険適用
2.新生児マススクリーニング検査の実施
3.こどもまんなか社会の実現に向けた施策
4.成育過程における死亡原因に関する情報収集等の体制

解答

解説

成育基本法とは?

成育基本法とは、妊娠期から子育て期まで、子ども・保護者・妊産婦に必要な医療や支援を切れ目なく届けるため、国や自治体の施策を総合的に進める法律である。

1.× 不妊治療の保険適用は、医療保険制度における診療報酬上の取扱いである。

2.× 新生児マススクリーニング検査の実施は、主に母子保健施策として実施される検査である。

3.× こどもまんなか社会の実現に向けた施策は、主にこども基本法として実施される施策である。
・こども基本法とは、こども施策を社会全体で総合的・強力に推進するための包括的な基本法である。

4.〇 正しい。成育過程における死亡原因に関する情報収集等の体制は、成育基本法で定められている。これは、第十五条(記録の収集等に関する体制の整備等)に記載されている。成育過程にある者の死亡原因に関する情報を収集・管理・活用する体制整備を国および地方公共団体に求めている。

 

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