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31 平常時において災害を想定した保健活動を推進する上で有効なのはどれか。2つ選べ。
1.減災をテーマに健康教育を行う。
2.市町村は必要に応じて地域防災計画を作成する。
3.保健師は事業継続計画〈BCP〉の作成に参加する。
4.保健所は「避難情報に関するガイドライン」を作成する。
5.広域災害救急医療情報システム〈EMIS〉を活用して医療体制を確保する。
解答1・3
解説
1.〇 正しい。減災をテーマに健康教育を行うことは、平常時の保健活動である。なぜなら、災害時の健康被害は、平常時からの知識・準備・行動によって軽減できるため。
・減災とは、災害そのものを完全になくすのではなく、被害をできるだけ小さくする考え方である。保健活動では、災害発生後の感染症、脱水、低栄養、エコノミークラス症候群、生活不活発病、慢性疾患の悪化、メンタルヘルス不調などを予防する視点が重要である。
2.× 市町村は、「必要に応じて」ではなく必ず地域防災計画を作成する。災害対策基本法の第42条では、「市町村防災会議などが市町村地域防災計画を作成し、毎年検討を加え、必要があると認めるときは修正しなければならない」ことが記載されている(※引用:「災害対策基本法」e-GOV法令検索様HPより)。
3.〇 正しい。保健師は事業継続計画〈BCP〉の作成に参加することは、平常時の保健活動である。なぜなら、災害時にも継続すべき保健活動を、平常時から優先順位づけしておく必要があるため。
・事業継続計画とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことである(※参考:「業務継続計画(BCP)について」厚生労働省HPより)。
4.× 「保健所」ではなく内閣府が「避難情報に関するガイドライン」を作成する。避難情報に関するガイドラインは、内閣府の防災分野で示されるものである。警戒レベルや避難情報の運用に関する内容が整理されている。
5.× 広域災害救急医療情報システム〈EMIS〉を活用して医療体制を確保することは、「平常時」ではなく災害時の保健活動である。
・広域災害救急医療情報システム〈EMIS〉とは、主に災害時の医療機関の稼働状況や被災状況などを共有し、災害医療・救護活動を支援するシステムである。迅速かつ適切な医療・救護に関する情報を集約・提供するシステムとされている。

(※図引用:「災害時の医療救護活動のフェーズ区分と必要な活動」東京都保健医療局様HPより)
32 市町村の予算について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.次年度予算の決定権は首長にある。
2.特定財源は使途が決められている。
3.会計年度は1月1日から12月31日である。
4.執行管理はPDCAサイクルに基づいて行われる。
5.公衆衛生看護活動の主な予算は特別会計で賄われる。
解答2・4
解説
1.× 次年度予算の決定権は、「首長」ではなく議会にある。市町村の予算は、首長が調製(特定の規格や目的に合わせて、材料を配合したり整えたりして物品を作ること)して議会に提出し、議会の議決を経て成立するものである。つまり、首長にあるのは、主に予算案の作成・提出権である。
2.〇 正しい。特定財源は、使途が決められている。
・特定財源とは、特定の目的や事業に充てることが予定された財源である。
自治体財政では、どの経費にも使える財源を一般財源、使途が特定される財源を特定財源という。たとえば、特定の事業目的のための国庫補助金、負担金、使用料、手数料、目的税などが特定財源にあたる。
3.× 会計年度は、「1月1日から12月31日」ではなく4月1日から翌年3月31日である。
4.〇 正しい。執行管理は、PDCAサイクルに基づいて行われる。なぜなら、行政活動は、計画して実施し、評価して改善するという循環で管理する必要があるため。
・PDCAサイクルは、計画(Plan)→実行(Do)→測定・評価(Check)→対策・改善(Action)というサイクルのことを指す。
・執行管理とは、決定された予算や事業計画に基づき、事業が目的どおり適切に実施されているかを確認・調整することである。市町村では、予算を使って事業を行うだけでなく、実施状況や成果を評価し、課題を改善する必要がある。そのため、計画・実行・評価・改善のPDCAサイクルに基づいて行われるのである。
5.× 公衆衛生看護活動の主な予算は、「特別会計」ではなく一般会計で賄われる。一般会計は、福祉・教育・土木・衛生など、市町村の基本的施策を行うための会計であるため。自治体の歳出区分でも、衛生費には保健衛生、環境衛生、各種検診などの経費が含まれる。
・公衆衛生看護活動とは、地域社会の人々の健康を守るために、看護師が家庭や学校、地域に出向き、病気の予防や健康教育、生活支援などを行う活動のことである。病気になった人を治療するだけでなく、病気にならないように環境改善や啓発活動を行う点が特徴である。
33 自治体の保健師が新任期から担う管理機能はどれか。2つ選べ。
1.事例管理
2.人事管理
3.組織管理
4.事業・業務管理
5.地域のケアの質の管理
解答1・4
解説
・初任期から担う管理機能 → ①事例管理、②地区管理、③事業・業務管理 など。
・管理職や中堅で担う管理機能 → ④〜⑩(※上図参照)のようなより大きな視点での管理が増えていく。
・地区管理の特徴 → 所属組織を超えて「地域全体」を視野に入れて行う点が特徴。
1.〇 正しい。事例管理は、自治体の保健師が新任期から担う。なぜなら、新任期の保健師でも、担当した個別事例について責任をもって支援を進める必要があるため。
・事例管理とは、個人や家族の健康課題を把握し、支援計画を立て、必要なサービスや関係機関につなぎ、経過を評価することである。
2.× 人事管理は、管理職や中堅で担う管理機能である。
3.× 組織管理は、管理職や中堅で担う管理機能である。
4.〇 正しい。事業・業務管理は、自治体の保健師が新任期から担う。なぜなら、新任期の保健師でも、担当事業や担当業務を計画どおりに実施し、進捗を確認する責任があるため。
・事業、業務管理とは、担当事業の目的、対象、根拠法令、実施方法、スケジュール、記録、評価を把握して、適切に進めることである。
5.× 地域のケアの質の管理は、管理職や中堅で担う管理機能である。なぜなら、地域のケアの質の管理は、個別事例や担当事業を超えて、地域ケアシステム全体を評価・改善する高度な管理機能であるため。
34 国際生活機能分類〈ICF〉における疾病と障害の概念について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.国際疾病分類〈ICD〉に含まれる。
2.世界保健機関〈WHO〉が提唱した。
3.高齢者では別の分類が適用される。
4.人の生活機能を「心身機能」「身体構造」「参加」に分類している。
5.「健常」と「疾患・障害」を区分せず、すべての健康状態を対象とする。
解答2・5
解説

(※画像引用:Job Medley様HP)
ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health)は、人間の生活機能と障害分類法として2001年5月、世界保健機関(WHO)において採択された。これまでの ICIDH(国際障害分類、1980)が「疾病の帰結(結果)に関する分類」であったのに対し、ICF は「健康の構成要素に関する分類」であり、新しい健康観を提起するものとなった。生活機能上の問題は誰にでも起りうるものなので、ICF は特定の人々のためのものではなく、「全ての人に関する分類」である。
1.× 国際疾病分類〈ICD〉には「含まれない」含まれる。なぜなら、ICFはICDの下位分類ではなく、ICDを補完する別の国際分類であるため。
・国際疾病分類(ICD-10:疾病及び関連保健問題の国際統計分類)とは、異なる国や地域から、異なる時点で集計された死亡や疾病のデータの体系的な記録・分析・解釈および比較を行うため、世界保健機関憲章に基づき、世界保健機関(WHO)が作成した分類である。最新の分類は、10回目の改訂版として、1990年の第43回世界保健総会において採択されたものであり、ICD-10 (1990年版)と呼ばれている。
2.〇 正しい。世界保健機関〈WHO〉が提唱した。ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health)は、人間の生活機能と障害分類法として2001年5月、世界保健機関(WHO)において採択された。
3.× 高齢者では別の分類が適用される「ということはない」。なぜなら、ICFは年齢や疾患の有無にかかわらず、すべての人の健康状態や生活機能を対象とする分類であるため。
4.× 人の生活機能を「心身機能」「身体構造」「参加」ではなく「心身機能・身体構造」「活動」「参加」に分類している。
【生活機能】
①心身機能・身体構造とは、生物レベル、 生命レベルで、生命の維持に直接関係する、身体・精神の機能や構造で、これは心身機能と身体構造とを合わせたものである。
②活動とは、課題や行為の個人による遂行のことを指す。
③参加とは、生活へのかかわりあいである。
5.〇 正しい。「健常」と「疾患・障害」を区分せず、すべての健康状態を対象とする。なぜなら、ICFは、障害のある一部の人だけを対象にするのではなく、すべての人の健康状態と生活機能を連続的にとらえる分類であるため。ICFでは、障害を「特別な人だけの問題」とせず、人は誰でも病気、加齢、けが、環境の変化によって生活機能が低下しうると考える。そのため、健康状態、生活機能、活動、参加、環境因子を総合的にみる。
35 令和元年に改訂された地域・職域連携推進ガイドラインにおいて整理された、地域・職域連携のメリットで正しいのはどれか。2つ選べ。
1.小規模事業場へのアプローチが可能となる。
2.働く世代に特化した健康支援が可能となる。
3.医療機関と事業者が連携した取り組みができる。
4.タイムリーなハイリスクアプローチが可能となる。
5.地域と職域を含む地域全体の健康課題がより明確に把握できる。
解答1・5
解説

(※引用:「図3 地域・職域連携推進事業の意義 」厚生労働省様HPより)
1.〇 正しい。小規模事業場へのアプローチが可能となる。なぜなら、小規模事業場は産業保健サービスが届きにくいが、地域保健と職域保健が連携することで支援対象にできるため。
2.× 「働く世代に」特化するものだけでない健康支援が可能となる。地域・職域連携は、生涯を通じた継続的な健康支援を目指す。例えば、労働者だけでなく、被扶養者、退職者、自営業者、小規模事業場の労働者なども視野に入れる。
3.× 「医療機関と事業者」ではなく幅広い関係者(地域保健、職域保健、保険者、事業者、関係機関など)が連携した取り組みができる。
4.× タイムリーな「ハイリスクアプローチ」ではなくポピュレーションアプローチが可能となる。なぜなら、地域・職域連携では、個別の高リスク者に即時介入することよりも、地域と職域の情報・資源を共有して、保健サービスの機会拡大やポピュレーションアプローチを進めることが重視されるため。
・ポピュラーアプローチ(ポピュレーションストラテジー):対象を限定せず地域や職場など、集団全体に働きかけてリスクを下げる方法である。1次予防とされる。
・ハイリスクアプローチ(ハイリスクストラテジー):リスクの高いものに対象を絞り込んで働きかける方法である。2次予防とされる。個人への効果が高い。
5.〇 正しい。地域と職域を含む地域全体の健康課題がより明確に把握できる。なぜなら、地域保健と職域保健がそれぞれ保有する健康情報を共有・活用することで、地域全体の健康課題を幅広く把握できるため。たとえば、ある地域で働く世代の肥満、喫煙、睡眠不足、メンタルヘルス不調が多いと分かれば、市町村、保健所、協会けんぽ、事業場、商工会議所などが連携して、健康教育や職場での運動支援、禁煙支援、健診後フォローを企画できる。
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