第115回(R8) 看護師国家試験 解説【午後56~60】

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56 老人性皮膚搔痒症の特徴はどれか。

1.水痘の感染歴と関連する。
2.症状の範囲は全身性である。
3.治療は原因物質の除去である。
4.強い痒みを伴う紅斑性丘疹である。

解答

解説

老人性皮膚搔痒症とは?

老人性皮膚搔痒症とは、高齢者に多い皮膚の乾燥や皮脂分泌低下などにより、明らかな発疹がないのにかゆみを感じる状態である。背中・腰・手足などから全身に広がることがある。

1.× 水痘の感染歴との「関連はない」。なぜなら、老人性皮膚搔痒症は、加齢に伴う皮膚乾燥や皮膚バリア機能低下が主な背景であるため。ちなみに、水痘の感染歴が関係する代表疾患は、帯状疱疹である。水痘・帯状疱疹ウイルスが神経節に潜伏し、免疫低下などで再活性化すると、神経支配領域に沿って痛みや水疱を生じる。

2.〇 正しい。症状の範囲は、全身性である。なぜなら、老人性皮膚搔痒症は局所の接触刺激や感染ではなく、加齢に伴う皮膚全体の乾燥・バリア機能低下を背景にするため。特に、乾燥しやすい下腿、背部、上肢などで目立つ。

3.× 治療は、「原因物質の除去」ではなく皮膚乾燥への対策と保湿である。ちなみに、原因物質の除去が中心となるのは、接触皮膚炎などのアレルギー性・刺激性皮膚疾患であるため。

4.× 強い痒みを伴う紅斑性丘疹であるのは、疥癬や痒疹などである。
・紅斑性丘疹とは、赤く盛り上がった小さな発疹のことです。強いかゆみを伴う紅斑性丘疹をみた場合は、湿疹、虫刺症、疥癬、痒疹、薬疹などが考えられる。
・疥癬とは、接触感染で、疥癬虫(ヒゼンダニ)による皮膚の角層内感染症で、強い痒み、丘疹が特徴である。(※読み:かいせん)

 

 

 

 

 

57 加齢による「もの忘れ」はどれか。

1.昨晩、夕食を食べたことを覚えていない。
2.家族から電話がかかってきたことを忘れてしまった。
3.友人の顔を見て名前を思い出すのに時間がかかった。
4.買い物に出たが、自分が今どこにいるのか分からない。

解答

解説

1.× 昨晩、夕食を食べたことを覚えていない。
これは、加齢によるもの忘れではなく、認知症を疑うもの忘れである。なぜなら、「夕食を食べたこと自体」を忘れており、体験全体の記憶が抜けているため。加齢によるもの忘れでは、たとえば「夕食を食べたことは覚えているが、何を食べたか思い出せない」というように、体験の一部を忘れる。

2.× 家族から電話がかかってきたことを忘れてしまった。
これは、加齢によるもの忘れではなく、認知症を疑うもの忘れである。なぜなら、「電話があった」という出来事そのものを忘れているため。加齢によるもの忘れでは、「娘から電話があったのは覚えているが、用件を忘れた」というように、体験の一部を忘れる。

3.〇 正しい。友人の顔を見て名前を思い出すのに時間がかかった
これは、加齢によるもの忘れである。なぜなら、顔を見て相手が友人であることは分かっており、名前という情報の想起に時間がかかっているだけであるため。加齢によるもの忘れでは、記憶そのものが完全に失われるというより、思い出す力、つまり想起のスピードが低下する。

4.× 買い物に出たが、自分が今どこにいるのか分からない。
これは、加齢によるもの忘れではなく、認知症を疑うもの忘れである。自分がいる場所が分からないのは、場所の見当識障害であるため。
・見当識障害とは、「今がいつか(時間)」「ここがどこか(場所)」がわからなくなる状態である。自分の周囲の状況や、 自分が置かれている状況(人や時間、 場所)が正しく理解できなくなる。

 

 

 

 

58 Aさん(70歳、男性)は1人で暮らしており、日常生活動作〈ADL〉は自立している。高血圧症で内服治療をしている。受診時にAさんから「最近、昼間に眠くなって、夜よく眠れない。どうしたらよいか」と看護師に相談があった。Aさんの1日の過ごし方を図に示す。
 Aさんへの看護師の説明で適切なのはどれか。

1.午前中に散歩を取り入れる。
2.昼食後に入浴する。
3.午睡の時間を延ばす。
4.夕食後は水分を摂らない。

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(70歳、男性)
・1人暮らし:日常生活動作〈ADL〉は自立。
・高血圧症で内服治療をしている。
・受診時にAさんから「最近、昼間に眠くなって、夜よく眠れない。どうしたらよいか」と。
・Aさんの1日の過ごし方:日中にテレビ視聴が多く、身体活動が少ない生活である。
→厚生労働省の睡眠ガイドでも、高齢者では長い昼寝を避け、活動的に過ごすこと、生活習慣や睡眠環境を見直すことが推奨されている。

1.〇 正しい。午前中に散歩を取り入れる。なぜなら、午前中の散歩は、日光を浴びて体内時計を整え、日中の活動量を増やして夜間睡眠を促すことができるため。

2.× 昼食後に入浴するより優先されるものが他にある。なぜなら、昼食後の入浴は、夜間睡眠を改善する入浴タイミングとして適切とはいえず、Aさんの睡眠・覚醒リズムの乱れを十分に改善しないため。入浴は、就寝1〜2時間前が最も効果的で、朝や昼の入浴では睡眠改善効果は期待しにくい。

3.× 午睡の時間を延ばす「必要はない」。なぜなら、長い昼寝は夜間の睡眠の質を低下させ、昼夜逆転を助長するため。短時間(30分以内)の昼寝で、午後からの覚醒度の向上や夜間睡眠の質の向上が期待できる報告もある。

4.× あえて、夕食後は水分を摂らない「という指導は必要ない」。なぜなら、、高齢者に水分を完全制限すると脱水の危険があるため。

 

 

 

 

 

59 Aさん(77歳、男性)は妻(80歳)と2人で暮らしている。5年前に認知症と診断された。最近、Aさんが妻の介助を拒否し、怒鳴ることが多くなったため、通所介護を利用するようになった。通所施設の看護師が入浴を勧めると「今日はやめておく」「今は忙しくて時間がない」と答えた。
 Aさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。

1.今後は全身清拭を行う。
2.浴槽の使い方を説明する。
3.自宅で入浴することを勧める。
4.時間をおいてから再度入浴を勧める。

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(77歳、男性、5年前:認知症
・2人暮らし:妻(80歳)
・最近、Aさんが妻の介助を拒否し、怒鳴ることが多くなったため、通所介護を利用するようになった。
通所施設の看護師が入浴を勧めると「今日はやめておく」「今は忙しくて時間がない」と答えた。
→ほかの選択肢が消去できる理由をあげられるようにしよう。

1.× 今後は全身清拭を行う「必要はない」。なぜなら、Aさんの入浴拒否の理由が明確になっていないため。Aさんは、入浴を完全に拒否しているというより、その場面・タイミングで応じられていない状態と考えらえる。まずは理由を聞いたり考えたりすることと、声かけやタイミングを工夫する。

2.× 浴槽の使い方を説明する「必要はない」。なぜなら、Aさんは「浴槽の使い方が分からない」と言っているわけではないため。また、Aさんは5年前に認知症を発症しているため、もし入浴の拒否の理由が使い方が分からなかった場合でも、説明したところで理解できるか、評価が必要である。

3.× 自宅で入浴することを勧める「必要はない」。なぜなら、通所介護を利用している目的の一つは、妻の介護負担を軽減することであるため。自宅入浴を勧めると、妻の介護負担を増やす可能性がある。

4.〇 正しい。時間をおいてから再度入浴を勧める。なぜなら、認知症の入浴拒否では、強制せず本人の気分や理解の変化を待って再度声をかけることが有効であるため。認知症の人は、その時の気分、環境への不安、羞恥心、職員との関係性、認知機能の変動などによって入浴を拒否することがある。その場で無理に勧めると、「嫌なことをされた」という記憶や不快感が残り、その後の入浴拒否が強くなる可能性がある。そのため、一度断られたらしつこくせず、時間をおいて再度声をかけるのが適切である。

 

 

 

 

 

60 乳児の呼吸器の解剖学的な特徴で正しいのはどれか。

1.肋骨はほぼ水平位である。
2.肺胞数は成人に比べて多い。
3.胸郭の左右径は前後径の2倍である。
4.気道内径は成人に比べて相対的に太い。

解答

解説

1.〇 正しい。肋骨はほぼ水平位である。なぜなら、乳児では、胸郭の発達が未熟であるため。したがって、肋骨を動かして胸郭を大きく広げる力が弱く、横隔膜呼吸に依存する。成人では、肋骨が斜め下方に走っており、吸気時に肋骨が挙上すると胸郭の前後径・左右径が広がる。これにより胸腔が拡大し、空気を吸い込みやすくなる。

2.× 肺胞数は、成人に比べて「多い」ではなく少ない。なぜなら、乳児は肺が未熟であるため。したがって、ガス交換の予備能力も小さく、感染や気道閉塞が起こると、成人より早く低酸素状態になりやすい。
・肺胞とは、酸素と二酸化炭素を交換する小さな袋状の構造である。ガス交換の場であり、肺胞数が多いほどガス交換面積が大きくなる。

3.× 胸郭の左右径は、前後径の2倍であるのは、「健常者(成人)」である。健常成人の胸郭は、左右径が前後径より大きい楕円形である。一般に左右径は前後径の約2倍とされる。乳児では前後径と左右径がほぼ同じ円筒形に近く、成長とともに成人型へ変化する。

4.× 気道内径は、成人に比べて相対的に「太い」ではなく狭い。なぜなら、小児は体全体が小さく、気管や気管支も未発達で細いため。したがって、少し粘膜が腫れたり、痰や鼻汁が増えたりするだけで気道抵抗が大きく増える。
・気道内径とは、空気の通り道である気道の「内側の広さ・太さ」のことである。気管や気管支の内腔の直径を指す。気道内径が狭くなると、空気が通りにくくなり、呼吸困難や喘鳴が起こりやすくなる。

 

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