第109回(R8) 助産師国家試験 解説【午前16~20】

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16 新生児血液疾患の説明として正しいのはどれか。

1.新生児ビタミンD欠乏は凝固異常による出血症状と関連する。
2.遺伝性球状赤血球症に罹患した児の赤血球は小球状で変形しやすい。
3.頭血腫では出血の進展による播種性血管内凝固〈DIC〉の発症リスクが高い。
4.母体が血液型O型、児が血液型A型の場合、児の溶血をきたすリスクがある。

解答

解説
1.× 新生児「ビタミンD」ではなくビタミンK欠乏は、凝固異常による出血症状と関連する。
・ビタミンKとは、数種類の凝固因子の産生に必要な補助因子である。そのため、ビタミン K が欠乏すると消化管出血だけでなく、重症例では頭蓋内出血などを合併し、死亡する場合もある。
・ビタミンDとは、カルシウムとリンの吸収を促進する働きがある。ビタミンDの欠乏によりくる病をきたす。

2.× 遺伝性球状赤血球症に罹患した児の赤血球は、小球状であるが「変形しにくい」。なぜなら、遺伝性球状赤血球症では赤血球膜蛋白の異常により赤血球が球状となり、柔軟性・変形能が低下するため。
・遺伝性球状赤血球症とは、赤血球膜の遺伝的異常(常染色体優性遺伝)により赤血球が破壊される疾患である。貧血、黄疸、脾腫が主な症状であり、肝臓で処理される前の非抱合型ビリルビン(間接ビリルビン)による黄疸に対して光線療法を行う。

3.× 頭血腫では出血の進展による播種性血管内凝固〈DIC〉の発症リスクが、高い「とはいえない」。なぜなら、頭血腫は骨膜下出血であり、縫合線を越えず限局するため。
・頭血腫とは、骨膜の下に血がたまったものである。ただし、頭血腫が赤くなったり、液体が出てきたりする場合には、主治医に相談すべきである。
・播種性血管内凝固症候群〈DIC〉とは、小さな血栓が全身の血管のあちこちにできて、細い血管を詰まらせる病気である。血液凝固が増加することで出血の抑制に必要な血小板と凝固因子を使い果たしてしまい、過度の出血を引き起こす。感染、手術、出産時の合併症など、考えられる原因はいくつかある。妊娠高血圧症候群性の常位胎盤早期剥離では播種性血管内凝固症候群〈DIC〉を発生することが多い。

4.〇 正しい。母体が血液型O型、児が血液型A型の場合、児の溶血をきたすリスクがある。なぜなら、O型母体には、抗A抗体・抗B抗体があり、その一部であるIgG抗体が胎盤を通過して、A型またはB型児の赤血球を破壊することがあるため。これをABO血液型不適合による新生児溶血性疾患という。

ABO血液型不適合とは?

その他の血液型不適合が、同様の(しかし、より軽症の)溶血性疾患を引き起こすことがあります。例えば、母親の血液型がOで胎児の血液型がAかBである場合、母親の胎内では抗Aまたは抗Bの抗体が作られます。すると、その抗体が大量に胎盤を通過し、胎児の赤血球に結合してそれらを破壊します(溶血)。その結果、軽度の貧血と高ビリルビン血症が起きることがあります。このタイプの血液型不適合を、ABO血液型不適合といいます。ABO血液型不適合は、たいていはRh式血液型不適合と比べて軽い貧血を起こし、Rh式血液型不適合とは違ってその後妊娠するたびに軽くなっていくのが通常です。

(※一部引用:「新生児溶血性疾患」MSD家庭版より)

 

新生児溶血性疾患とは?

新生児溶血性疾患とは、母体の抗体によって赤血球が分解または破壊される病気です。溶血とは、赤血球が破壊される現象です。
・この病気は、母体の血液が胎児の血液に適合していない場合に起こることがあります。
・診断は母親と場合により父親の血液検査の結果に基づいて下されます。
・新生児がこの病気にかかるのを予防するために、ときに妊娠中の母親に免疫グロブリンが投与されることがあります。
・治療法としては、分娩前の胎児への輸血や、分娩後の新生児への輸血などがあります。
・溶血性疾患がある分娩後の新生児は、むくんでいたり、皮膚が青ざめていたり、黄色かったりすることがある(黄疸)ほか、肝臓や脾臓が大きかったり、貧血や体液の貯留がみられることがあります。

(※一部引用:「新生児溶血性疾患」MSD家庭版より)

 

 

 

 

17 乳幼児の食行動の発達についての組合せで適切なのはどれか。

1.生後6か月:片手にスプーンを持ちながら、手づかみ食べをする。
2.生後10か月:片手でコップを持って飲める。
3.1歳6か月:スプーンと茶碗を別々の手で持って食べられる。
4.3歳0か月:箸と茶碗を別々の手で持って食べられる。

解答

解説

den

(※図:日本版デンバー式発達スクリーニング検査)

1.× 片手にスプーンを持ちながら、手づかみ食べをする時期は「生後6か月」ではなく1歳頃である。
・生後6か月ごろは、離乳食を開始する時期である。この時期は、保護者がスプーンでなめらかにすりつぶした食物を与え、児は口唇を閉じて食物を取り込む練習する。

2.× 片手でコップを持って飲める時期は「生後10か月」ではなく1歳6か月頃である。
・生後10か月ごろは、離乳後期で、手づかみ食べが始まる時期である。この時期は、介助されながらコップ飲みを練習する段階と考える。

3.× スプーンと茶碗を別々の手で持って食べられる時期は「1歳6か月」ではなく2歳頃である。
・1歳6か月ごろは、手づかみ食べが盛んで、食具を持ちたがる時期ではある。スプーンを手のひら全体で握り、こぼしながら自分で食べようとする。

4.〇 正しい。3歳0か月:箸と茶碗を別々の手で持って食べられる
・3歳ごろには、手指の巧緻性と両手の協調運動が発達し、食具を使った自食がより安定してくる。

 

 

 

 

18 Aちゃん(生後11か月、男児)は居間でひとり遊びをしている。居間の環境を下に示す。
 このとき最も事故が起こると考えられるのはどれか。

1.①
2.②
3.③
4.④

別冊No.1

解答

解説

den

(※図:日本版デンバー式発達スクリーニング検査)

MEMO

・Aちゃん(生後11か月、男児)
・居間でひとり遊びをしている。
→生後11か月は、はいはい、つかまり立ち、伝い歩きが可能になり、保護者が思う以上に移動できる。
ちなみに、粗大運動では、支えなしで安定して座り、はいはいで移動し、家具につかまって立ち上がることができる。伝い歩きを始めたり、手を持ってもらえば歩けたりする児もいるが、一人歩きができなくても問題はない。微細運動では、親指と人差し指で小さな物をつまむ、物を左右の手に持ち替える、両手の物を打ち合わせる、手づかみ食べをするなどの動きがみられる時期である。ただし、発達には個人差がある。

1.× ①(窓)より優先されるものが他にある。なぜなら、11か月児が直接よじ登って転落するための足場がないため。したがって、転落リスクが高いとは言い切れない。

2.〇 正しい。②(浴室・浴槽)が最も事故が起こると考えられる。なぜなら、浴室のドアが開いていたり、浴槽に残り湯があったりすると、児が浴室へ入り、浴槽をのぞき込んだ際に頭から転落する危険があるため。また、誤飲予防のため、シャンプーやリンスなどのボトルも手の届かないところに収納しておくことが望ましい。

3.× ③(おもちゃ)より優先されるものが他にある。なぜなら、本児が手にしている大きめのおもちゃであり、誤飲・窒息につながるとは考えにくいため。一般的に、気をつけるべきアイテムとして、小さな玩具、ボタン電池、磁石、小部品などである。

4.× ④(暖房器具)より優先されるものが他にある。なぜなら、暖房器具を柵により児との間に隔たりを持たせているため。乳幼児では、ストーブ、ヒーター、アイロン、熱い飲み物などによる熱傷事故が起こりやすいため、暖房器具には安全柵を設け、コードやスイッチにも注意する必要がある。

 

 

 

 

 

19 令和5年(2023年)の人口統計資料集による年齢階級別人工妊娠中絶実施率(女子人口千対)の推移をグラフに示す。
 Aが示す年齢階級はどれか。

1.20歳未満
2.20~24歳
3.30~34歳
4.40~44歳

解答

解説

(※引用:「表6 人工妊娠中絶件数及び実施率の年次推移」厚生労働省様HPより)

1.× 20歳未満の年齢階級別人工妊娠中絶実施率は、3.8である。

2.〇 正しい。20~24歳は、図Aが示す年齢階級である。なぜなら、令和5年度の年齢階級別人工妊娠中絶実施率で、20~24歳が最も高い値を示しているため。人工妊娠中絶実施率は、20~24歳が10.8で最も高い年齢階級である。

3.× 30~34歳の年齢階級別人工妊娠中絶実施率は、7.2である。

4.× 40~44歳の年齢階級別人工妊娠中絶実施率は、2.9である。

 

 

 

 

 

20 Aさん(25歳、初妊婦、保育士)は妊娠13週である。妊娠初期の検査でサイトメガロウイルスIgG抗体が陰性であった。
 Aさんへのサイトメガロウイルスの母子感染を予防するための指導で適切なのはどれか。

1.ネコの飼育の禁止
2.園児のオムツ交換後の手洗い
3.家庭菜園の野菜収穫後の手洗い
4.出産後の児への母乳哺育の禁止

解答

解説

サイトメガロウイルスとは、一度感染が成立すると持続潜伏感染するウイルス(ヘルペスウイルス感染症)で、感染経路は母乳感染、尿や唾液による水平感染が主経路であり、産道感染、輸血による感染、性行為による感染なども認められている。 症状が出ないものから、発熱と疲労感が出るもの(伝染性単核球症に似たもの)、また、眼や脳、その他の内臓を侵す重い症状が生じるものまで、症状は多岐にわたる。

1.3.× ネコの飼育の禁止/家庭菜園の野菜収穫後の手洗いは、サイトメガロウイルスの母子感染を予防する指導とはいえない。なぜなら、ネコとの接触で問題になる代表はトキソプラズマ感染であるため。
・トキソプラズマとは、原虫の一種のトキソプラズマによる人獣共通感染症で、経胎盤感染で、児に水頭症や脳内石灰化、知的能力障害などを起こすことがある。加熱処理の不十分な肉に生存するシスト、土壌中やネコの糞中に存在するオーシストから水平感染する。

2.〇 正しい。園児のオムツ交換後の手洗いは、サイトメガロウイルスの母子感染を予防する指導である。なぜなら、サイトメガロウイルスは、乳幼児の尿や唾液に排泄され、オムツ交換後の手指を介して妊婦が感染する可能性があるため。
・Aさんは妊娠13週で、CMV IgG抗体陰性である。IgG抗体陰性とは、過去にCMVに感染した免疫が確認されていない状態を意味し、妊娠中の初感染に注意が必要である。

4.× 出産後の児への母乳哺育の禁止は、サイトメガロウイルスの母子感染を予防する指導とはいえない。なぜなら、本症例は妊娠13週であるため。つまり、予防すべきなのは妊娠中の初感染による胎内感染である。したがって、今行うべきことは、出産後の母乳禁止ではなく、妊娠中にサイトメガロウイルスへ初感染しないよう、乳幼児の尿・唾液との接触後の手洗いを徹底することである。

 

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