【13問】発達課題についての問題「まとめ・解説」

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※問題の引用:厚生労働省より

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105回 午前

49 ハヴィガースト,R.J.による発達課題のうち、老年期の発達課題はどれか。

1.健康の衰退に適応する。
2.大人の余暇活動を充実する。
3.個人としての自立を達成する。
4.大人の社会的な責任を果たす。

解答1

解説

ハヴィガースト.R.J.とは?

発達段階に対応する発達課題の概念を最初に提唱したとされるアメリカの教育学者である。ライフサイクルを6つの段階に分け、それぞれの時期において乗り越えなければならない代表的な課題を発達課題として示した。発達課題とは、「発達段階に対応する発達課題(能力・役割)」である。つまり、「発達課題とは人生の各段階の時期に生じる課題で、それを達成すれば人は幸福になり、次の発達段階の課題の達成も容易になるが、失敗した場合にはその人は不幸になり、社会から承認されず、次の発達段階の課題を成し遂げることが困難となる課題」とし、人間が健全で幸福な発達を遂げるために各発達段階で達成しておかなければならない課題を提唱した。

1.〇 正しい。健康の衰退に適応するのは、老年期の発達課題である。
2.× 大人の余暇活動を充実することは、中年期の発達課題である。
3.× 個人としての自立を達成することは、青年期の発達課題である。
4.× 大人の社会的な責任を果たすことは、青年期の発達課題である。

1.乳幼児期

(1) 歩行の学習
(2) 固形の食物をとることの学習
(3) 話すことの学習
(4) 大小便の排泄を統御することの学習(排泄習慣の自立)
(5) 性の相違及び性の慎みの学習
(6) 生理的安定の獲得
(7) 社会や事物についての単純な概念形成
(8) 両親、兄弟及び他人に自己を情緒的に結びつけることの学習
(9) 正・不正を区別することの学習と良心を発達させること

 

2.児童期

(1) 普通のゲーム(ボール遊び、水泳など)に必要な身体的技能の学習
(2) 成長する生活体としての自己に対する健全な態度の養成
(3) 同年齢の友達と仲良くすることの学習
(4) 男子または女子としての正しい役割の学習
(5) 読み、書き、計算の基礎的技能を発達させること
(6) 日常生活に必要な概念を発達させること
(7) 良心、道徳性、価値の尺度を発達させること(内面的な道徳の支配、道徳律に対する尊敬、合理的価値判断力を発達させること)
(8) 人格の独立性を達成すること(自立的な人間形成)
(9) 社会的集団ならびに諸機関に対する態度を発達させること(民主的な社会的態度の発達)

3.青年期

(1) 同年齢の男女両性との洗練された新しい関係
(2) 自己の身体構造を理解し、男性または女性としての役割を理解すること
(3) 両親や他の大人からの情緒的独立
(4) 経済的独立に関する自信の確立
(5) 職業の選択及び準備
(6) 結婚と家庭生活の準備
(7) 市民的資質に必要な知的技能と概念を発達させること(法律、政治機構、経済学、地理学、人間性、あるいは社会制度などの知識、民主主義の問題を処理するために必要な言語と合理的思考を発達させること)
(8) 社会的に責任のある行動を求め、かつ成し遂げること
(9) 行動の指針としての価値や論理の体系の学習、適切な科学的世界像と調和した良心的価値の確立(実現しうる価値体系をつくる。自己の世界観を持ち、他人と調和しつつ自分の価値体系を守る)

4.壮年初期

(1) 配偶者の選択
(2) 結婚相手との生活の学習
(3) 家庭生活の出発(第一子をもうけること)
(4) 子どもの養育
(5) 家庭の管理
(6) 就職
(7) 市民的責任の負担(家庭外の社会集団の福祉のために責任を負うこと)
(8) 適切な社会集団の発見

5.中年期

(1) 大人としての市民的社会的責任の達成
(2) 一定の経済的生活水準の確立と維持
(3) 十代の子どもたちが、信頼できる幸福な大人になれるよう援助すること
(4) 大人の余暇活動を充実すること
(5) 自分と自分の配偶者をひとりの人間として結びつけること
(6) 中年期の生理的変化を理解し、これに適応すること
(7) 老年の両親への適応

6.老年期(高齢期)

(1) 肉体的な強さと健康の衰退に適応すること
(2) 隠退と減少した収入に適応すること
(3) 配偶者の死に適応すること
(4) 自分と同年輩の老人たちと明るい親密な関係を確立すること
(5) 肉体的生活を満足におくれるよう準備態勢を確立すること

 

 

 

107回 午前

47 老年期の心理社会的藤を「統合」対「絶望」と表現した人物はどれか。

1.ペック,R.C.
2.バトラー,R.N.
3.エリクソン,E.H.
4.ハヴィガースト,R.J.

解答3

解説

エリクソン発達理論

乳児期(0歳~1歳6ヶ月頃):基本的信頼感vs不信感
幼児前期(1歳6ヶ月頃~4歳):自律性vs恥・羞恥心
幼児後期(4歳~6歳):積極性(自発性)vs罪悪感
児童期・学童期(6歳~12歳):勤勉性vs劣等感
青年期(12歳~22歳):同一性(アイデンティティ)vs同一性の拡散
前成人期(就職して結婚するまでの時期):親密性vs孤立
成人期(結婚から子供が生まれる時期):生殖性vs自己没頭
壮年期(子供を産み育てる時期):世代性vs停滞性
老年期(子育てを終え、退職する時期~):自己統合(統合性)vs絶望

1.× ペック,R.C.とは、老年期における心理・社会的発達課題として、定年退職、子どもの独立といった役割の喪失という危機があるなかで、①新たに人生の価値を見いだすこと(自我の分化)、②身体的健康の危機を超越して快適に生きること、③死への危機に立ち向かうこと(自我の超越)の3つを挙げている。これらは社会的・生物学的・存在論的存在としての人間の危機を表しており、この時期に直面する問題の複雑さを推測することができる。
2.× バトラー,R.N.とは、年齢差別を意味する「エイジズム」を提唱した医師であり、高齢者への「回想法」の意義について述べた。高齢者のこれまでの人生経験を思い出す行為(追憶)は、人格の再統合を図り、死への準備をするという意味の心理過程であると指摘している。ちなみに、エイジズムとは、年齢による差別、特に高齢者に対する偏見や差別をいう。具体的には、年齢が高いというだけで高齢者を画一的集団としてとらえ、役に立たない、能力が低下しているなどの否定的な考えのもと、高齢者を差別することである。
3.〇 正しい。エリクソン,E.H.は、老年期の心理社会的藤を「統合」対「絶望」と表現した。エリクソンとは、人間のライフサイクルを乳児期~老年期の8段階に分け、各段階の発達課題と心理・社会的危機があるとする発達理論を提唱した。
4.× ハヴィガースト,R.J.とは、発達段階に対応する発達課題の概念を最初に提唱したとされるアメリカの教育学者である。ライフサイクルを6つの段階に分け、それぞれの時期において乗り越えなければならない代表的な課題を発達課題として示した。発達課題とは、「発達段階に対応する発達課題(能力・役割)」である。つまり、「発達課題とは人生の各段階の時期に生じる課題で、それを達成すれば人は幸福になり、次の発達段階の課題の達成も容易になるが、失敗した場合にはその人は不幸になり、社会から承認されず、次の発達段階の課題を成し遂げることが困難となる課題」とし、人間が健全で幸福な発達を遂げるために各発達段階で達成しておかなければならない課題を提唱した。

 

 

 

108回 午前

9 思春期にある人が親密な関係を求める対象はどれか。

1.教師
2.祖父母
3.友人
4.両親

解答3

解説

心理的離乳とは?

心理的離乳とは、思春期に親や家族に反発する第二次反抗期がみられることである。 親などから精神的に自立し、友人関係が重要となる。 

学童期までのに依存する状態から脱却して、親から心理的に自立するようになる第二次反抗期と呼ばれる。それよりも、同性同年輩の友人との関係が親密となり、そのなかで自己像を見つめなおし、アイデンティティを確立させていく。思春期には、友人に親密な関係を求めるようになる。よって、選択肢3.友人が正しい。

エリクソン発達理論

 エリクソンとは、人間のライフサイクルを乳児期~老年期の8段階に分け、各段階の発達課題と心理・社会的危機があるとする発達理論を提唱した。

乳児期(0歳~1歳6ヶ月頃):基本的信頼感vs不信感
幼児前期(1歳6ヶ月頃~4歳):自律性vs恥・羞恥心
幼児後期(4歳~6歳):積極性(自発性)vs罪悪感
児童期・学童期(6歳~12歳):勤勉性vs劣等感
青年期(12歳~22歳):同一性(アイデンティティ)vs同一性の拡散
前成人期(就職して結婚するまでの時期):親密性vs孤立
成人期(結婚から子供が生まれる時期):生殖性vs自己没頭
壮年期(子供を産み育てる時期):世代性vs停滞性
老年期(子育てを終え、退職する時期~):自己統合(統合性)vs絶望

 

 

 

108回 午後

8 エリクソン,E.H.の乳児期の心理・社会的発達段階で正しいのはどれか。

1.親密
2.同一性
3.自主性
4.基本的信頼

解答4

解説

エリクソン発達理論

 エリクソンとは、人間のライフサイクルを乳児期~老年期の8段階に分け、各段階の発達課題と心理・社会的危機があるとする発達理論を提唱した。

乳児期(0歳~1歳6ヶ月頃):基本的信頼感vs不信感
幼児前期(1歳6ヶ月頃~4歳):自律性vs恥・羞恥心
幼児後期(4歳~6歳):積極性(自発性)vs罪悪感
児童期・学童期(6歳~12歳):勤勉性vs劣等感
青年期(12歳~22歳):同一性(アイデンティティ)vs同一性の拡散
前成人期(就職して結婚するまでの時期):親密性vs孤立
成人期(結婚から子供が生まれる時期):生殖性vs自己没頭
壮年期(子供を産み育てる時期):世代性vs停滞性
老年期(子育てを終え、退職する時期~):自己統合(統合性)vs絶望

1.× 親密は、成人期の発達課題である。
2.× 同一性は、青年期の発達課題である。ちなみに、自己同一性とは、心理学や社会学において、「自分は何者なのか」という概念をさす。
3.× 自主性(積極性、自発性)は、幼児期の発達課題である。
4.〇 正しい。基本的信頼は、乳児期の発達課題となる。

 

 

 

108回 午後

32 ハヴィガースト,R.J.の発達課題に関する説明で適切なのはどれか。

1.成長に伴い発達課題は消失する。
2.各発達段階の発達課題は独立している。
3.身体面の変化と発達課題は無関係である。
4.発達課題の達成は個人の生活と関連する。

解答4

解説

ハヴィガースト.R.J.とは?

発達段階に対応する発達課題の概念を最初に提唱したとされるアメリカの教育学者である。ライフサイクルを6つの段階に分け、それぞれの時期において乗り越えなければならない代表的な課題を発達課題として示した。発達課題とは、「発達段階に対応する発達課題(能力・役割)」である。つまり、「発達課題とは人生の各段階の時期に生じる課題で、それを達成すれば人は幸福になり、次の発達段階の課題の達成も容易になるが、失敗した場合にはその人は不幸になり、社会から承認されず、次の発達段階の課題を成し遂げることが困難となる課題」とし、人間が健全で幸福な発達を遂げるために各発達段階で達成しておかなければならない課題を提唱した。

1.× 成長に伴い発達課題は、「消失する」のではなく存在する。ハヴィガースト.R.J.は、ライフサイクルを6つの段階に分け、それぞれの時期において乗り越えなければならない代表的な課題を発達課題として示している。老年期(高齢期)にも発達課題がある。
2.× 各発達段階の発達課題は、「独立」ではなく連結している。ハヴィガースト.R.J.は、「発達課題とは、人生の各段階の時期に生じる課題で、それを達成すれば人は幸福になり、次の発達段階の課題の達成も容易になるが、失敗した場合にはその人は不幸になり、社会から承認されず、次の発達段階の課題を成し遂げることが困難となる課題」と述べている。つまり、「各発達段階の発達課題の達成」により、次の段階への移行できる。
3.× 身体面の変化と発達課題は、「無関係」ではなく関係する。たとえば、青年期では、「 自己の身体構造を理解し、男性または女性としての役割を理解すること」が発達課題として説明されている。
4.〇 正しい。発達課題の達成は、個人の生活と関連する。たとえば、青年期では、「経済的独立に関する自信の確立」することが発達課題として説明されている。この達成により、「結婚と家庭生活の準備」に入る。したがって、個人の生活にも大いに関連していることがわかる。

1.乳幼児期

(1) 歩行の学習
(2) 固形の食物をとることの学習
(3) 話すことの学習
(4) 大小便の排泄を統御することの学習(排泄習慣の自立)
(5) 性の相違及び性の慎みの学習
(6) 生理的安定の獲得
(7) 社会や事物についての単純な概念形成
(8) 両親、兄弟及び他人に自己を情緒的に結びつけることの学習
(9) 正・不正を区別することの学習と良心を発達させること

2.児童期

(1) 普通のゲーム(ボール遊び、水泳など)に必要な身体的技能の学習
(2) 成長する生活体としての自己に対する健全な態度の養成
(3) 同年齢の友達と仲良くすることの学習
(4) 男子または女子としての正しい役割の学習
(5) 読み、書き、計算の基礎的技能を発達させること
(6) 日常生活に必要な概念を発達させること
(7) 良心、道徳性、価値の尺度を発達させること(内面的な道徳の支配、道徳律に対する尊敬、合理的価値判断力を発達させること)
(8) 人格の独立性を達成すること(自立的な人間形成)
(9) 社会的集団ならびに諸機関に対する態度を発達させること(民主的な社会的態度の発達)

3.青年期

(1) 同年齢の男女両性との洗練された新しい関係
(2) 自己の身体構造を理解し、男性または女性としての役割を理解すること
(3) 両親や他の大人からの情緒的独立
(4) 経済的独立に関する自信の確立
(5) 職業の選択及び準備
(6) 結婚と家庭生活の準備
(7) 市民的資質に必要な知的技能と概念を発達させること(法律、政治機構、経済学、地理学、人間性、あるいは社会制度などの知識、民主主義の問題を処理するために必要な言語と合理的思考を発達させること)
(8) 社会的に責任のある行動を求め、かつ成し遂げること
(9) 行動の指針としての価値や論理の体系の学習、適切な科学的世界像と調和した良心的価値の確立(実現しうる価値体系をつくる。自己の世界観を持ち、他人と調和しつつ自分の価値体系を守る)

4.壮年初期

(1) 配偶者の選択
(2) 結婚相手との生活の学習
(3) 家庭生活の出発(第一子をもうけること)
(4) 子どもの養育
(5) 家庭の管理
(6) 就職
(7) 市民的責任の負担(家庭外の社会集団の福祉のために責任を負うこと)
(8) 適切な社会集団の発見

5.中年期

(1) 大人としての市民的社会的責任の達成
(2) 一定の経済的生活水準の確立と維持
(3) 十代の子どもたちが、信頼できる幸福な大人になれるよう援助すること
(4) 大人の余暇活動を充実すること
(5) 自分と自分の配偶者をひとりの人間として結びつけること
(6) 中年期の生理的変化を理解し、これに適応すること
(7) 老年の両親への適応

6.老年期(高齢期)

(1) 肉体的な強さと健康の衰退に適応すること
(2) 隠退と減少した収入に適応すること
(3) 配偶者の死に適応すること
(4) 自分と同年輩の老人たちと明るい親密な関係を確立すること
(5) 肉体的生活を満足におくれるよう準備態勢を確立すること

 

 

 

109回 午後

6 エリクソン,E.H.の発達理論で青年期に生じる葛藤はどれか。

1.生殖性 対 停滞
2.勤勉性 対 劣等感
3.自主性 対 罪悪感
4.同一性 対 同一性混乱

解答4

解説

エリクソン発達理論

 エリクソンとは、人間のライフサイクルを乳児期~老年期の8段階に分け、各段階の発達課題と心理・社会的危機があるとする発達理論を提唱した。

乳児期(0歳~1歳6ヶ月頃):基本的信頼感vs不信感
幼児前期(1歳6ヶ月頃~4歳):自律性vs恥・羞恥心
幼児後期(4歳~6歳):積極性(自発性)vs罪悪感
児童期・学童期(6歳~12歳):勤勉性vs劣等感
青年期(12歳~22歳):同一性(アイデンティティ)vs同一性の拡散
前成人期(就職して結婚するまでの時期):親密性vs孤立
成人期(結婚から子供が生まれる時期):生殖性vs自己没頭
壮年期(子供を産み育てる時期):世代性vs停滞性
老年期(子育てを終え、退職する時期~):自己統合(統合性)vs絶望

1.× 生殖性 対 停滞は、壮年期の葛藤である。
2.× 勤勉性 対 劣等感は、学童期の葛藤である。
3.× 自主性 対 罪悪感は、幼児期の葛藤である。
4.〇 正しい。同一性 対 同一性混乱は、青年期の葛藤である。自己同一性(アイデンティティ)とは、心理学や社会学において、「自分は何者なのか」という概念をさす。青年期は、独自の自己像とその感覚(自信)といった同一性(アイデンティティ)を確立する時期で、その形成過程で葛藤し混乱する発達危機に直面することがある。

 

 

 

 

110回 午前

8 ハヴィガースト.R.J.が提唱する老年期の発達課題はどれか。

1.子どもを育てる。
2.退職と収入の減少に適応する。
3.社会的責任をともなう行動を望んでなしとげる。
4.男性あるいは女性としての社会的役割を獲得する。

解答2

解説

ハヴィガースト.R.J.とは?

発達段階に対応する発達課題の概念を最初に提唱したとされるアメリカの教育学者である。ライフサイクルを6つの段階に分け、それぞれの時期において乗り越えなければならない代表的な課題を発達課題として示した。発達課題とは、「発達段階に対応する発達課題(能力・役割)」である。つまり、「発達課題とは人生の各段階の時期に生じる課題で、それを達成すれば人は幸福になり、次の発達段階の課題の達成も容易になるが、失敗した場合にはその人は不幸になり、社会から承認されず、次の発達段階の課題を成し遂げることが困難となる課題」とし、人間が健全で幸福な発達を遂げるために各発達段階で達成しておかなければならない課題を提唱した。

1.× 子どもを育てるのは、壮年期の発達課題である。このほか壮年初期の発達課題には、①配偶者の選択、②結婚相手との生活の学習、③家庭生活の出発、④家庭の管理、⑤就職、⑥市民的責任の負担、⑦適切な社会集団の発見があげられる。
2.〇 正しい。退職と収入の減少に適応するのは、老年期の発達課題である。このほか、老年期の発達課題には、①肉体的な強さと健康の衰退に適応すること、②配偶者の死に適応すること、③自分と同年輩の老人たちと明るい親密な関係を確立すること、④肉体的生活を満足におくれるよう準備態勢を確立することがあげられる。
3~4.× 社会的責任をともなう行動を望んでなしとげる/男性あるいは女性としての社会的役割を獲得するのは、青年期の発達課題である。このほか青年期の発達課題には、①同年齢の男女両性との洗練された新しい関係、②両親や他の大人からの情緒的独立、③経済的独立に関する自信の確立、④職業の選択及び準備、⑤結婚と家庭生活の準備、⑥市民的資質に必要な知的技能と概念を発達させること、⑦行動の指針としての価値や論理の体系の学習、適切な科学的世界像と調和した良心的価値の確立があげられる。

1.乳幼児期

(1) 歩行の学習
(2) 固形の食物をとることの学習
(3) 話すことの学習
(4) 大小便の排泄を統御することの学習(排泄習慣の自立)
(5) 性の相違及び性の慎みの学習
(6) 生理的安定の獲得
(7) 社会や事物についての単純な概念形成
(8) 両親、兄弟及び他人に自己を情緒的に結びつけることの学習
(9) 正・不正を区別することの学習と良心を発達させること

2.児童期

(1) 普通のゲーム(ボール遊び、水泳など)に必要な身体的技能の学習
(2) 成長する生活体としての自己に対する健全な態度の養成
(3) 同年齢の友達と仲良くすることの学習
(4) 男子または女子としての正しい役割の学習
(5) 読み、書き、計算の基礎的技能を発達させること
(6) 日常生活に必要な概念を発達させること
(7) 良心、道徳性、価値の尺度を発達させること(内面的な道徳の支配、道徳律に対する尊敬、合理的価値判断力を発達させること)
(8) 人格の独立性を達成すること(自立的な人間形成)
(9) 社会的集団ならびに諸機関に対する態度を発達させること(民主的な社会的態度の発達)

3.青年期

(1) 同年齢の男女両性との洗練された新しい関係
(2) 自己の身体構造を理解し、男性または女性としての役割を理解すること
(3) 両親や他の大人からの情緒的独立
(4) 経済的独立に関する自信の確立
(5) 職業の選択及び準備
(6) 結婚と家庭生活の準備
(7) 市民的資質に必要な知的技能と概念を発達させること(法律、政治機構、経済学、地理学、人間性、あるいは社会制度などの知識、民主主義の問題を処理するために必要な言語と合理的思考を発達させること)
(8) 社会的に責任のある行動を求め、かつ成し遂げること
(9) 行動の指針としての価値や論理の体系の学習、適切な科学的世界像と調和した良心的価値の確立(実現しうる価値体系をつくる。自己の世界観を持ち、他人と調和しつつ自分の価値体系を守る)

4.壮年初期

(1) 配偶者の選択
(2) 結婚相手との生活の学習
(3) 家庭生活の出発(第一子をもうけること)
(4) 子どもの養育
(5) 家庭の管理
(6) 就職
(7) 市民的責任の負担(家庭外の社会集団の福祉のために責任を負うこと)
(8) 適切な社会集団の発見

5.中年期

(1) 大人としての市民的社会的責任の達成
(2) 一定の経済的生活水準の確立と維持
(3) 十代の子どもたちが、信頼できる幸福な大人になれるよう援助すること
(4) 大人の余暇活動を充実すること
(5) 自分と自分の配偶者をひとりの人間として結びつけること
(6) 中年期の生理的変化を理解し、これに適応すること
(7) 老年の両親への適応

6.老年期(高齢期)

(1) 肉体的な強さと健康の衰退に適応すること
(2) 隠退と減少した収入に適応すること
(3) 配偶者の死に適応すること
(4) 自分と同年輩の老人たちと明るい親密な関係を確立すること
(5) 肉体的生活を満足におくれるよう準備態勢を確立すること

 

 

 

 

111回 午前

52 老年期の発達課題を引退の危機、身体的健康の危機および死の危機の3つの段階で示したのはどれか。

1.エリクソン(Erikson,E.H.)
2.レビンソン(Revinson,D.J.)
3.ペック(Peck,R.)
4.ユング(Jung,C.G.)

解答3

解説
1.× エリクソンとは、人間のライフサイクルを乳児期~老年期の8段階に分け、各段階の発達課題と心理・社会的危機があるとする発達理論を提唱した。
2.× レビンソンとは、人生の発達段階・ライフサイクルを四季(人生の四季)になぞらえ4つの発達期があると提唱した。「人生は約25年つづく発達期が繰り返され、各発達期は互いに重なる約5年の過渡期でつながっている」としている。
3.〇 正しい。ペックが、老年期の発達課題を引退の危機、身体的健康の危機および死の危機の3つの段階で示した。ペックとは、老年期における心理・社会的発達課題として、定年退職、子どもの独立といった役割の喪失という危機があるなかで、①新たに人生の価値を見いだすこと(自我の分化)、②身体的健康の危機を超越して快適に生きること、③死への危機に立ち向かうこと(自我の超越)の3つを挙げている。
4.× ユングとは、個人の無意識のさらに下に、人類に共通する「集合的無意識」があることを提唱した。内向・外向の性格分類を提唱した。

エリクソン発達理論

乳児期(0歳~1歳6ヶ月頃):基本的信頼感vs不信感
幼児前期(1歳6ヶ月頃~4歳):自律性vs恥・羞恥心
幼児後期(4歳~6歳):積極性(自発性)vs罪悪感
児童期・学童期(6歳~12歳):勤勉性vs劣等感
青年期(12歳~22歳):同一性(アイデンティティ)vs同一性の拡散
前成人期(就職して結婚するまでの時期):親密性vs孤立
成人期(結婚から子供が生まれる時期):生殖性vs自己没頭
壮年期(子供を産み育てる時期):世代性vs停滞性
老年期(子育てを終え、退職する時期~):自己統合(統合性)vs絶望

 

 

 

111回 午後

7 ハヴィガースト,R.J.の発達課題で善悪の区別を学習するのはどれか。(※不適切問題:問題としては適切)

1.乳幼児期
2.児童期
3.青年期
4.中年期

解答1(採点対象外)
理由:問題として適切であるが、必修問題としては妥当でないため。

解説
1.〇 正しい。乳幼児期は、善悪の区別を学習する。乳幼児期は、①歩行の学習、②固形の食物をとることの学習、③話すことの学習、④大小便の排泄を統御することの学習(排泄習慣の自立)、⑤性の相違及び性の慎みの学習、⑥生理的安定の獲得、⑦社会や事物についての単純な概念形成、⑧両親、兄弟及び他人に自己を情緒的に結びつけることの学習、⑨正・不正を区別することの学習と良心を発達させることがあげられる。
2~4.× 児童期/青年期/中年期のハヴィガースト,R.J.の発達課題は、下記を参照してほしい。

ハヴィガースト.R.J.とは?

発達段階に対応する発達課題の概念を最初に提唱したとされるアメリカの教育学者である。ライフサイクルを6つの段階に分け、それぞれの時期において乗り越えなければならない代表的な課題を発達課題として示した。発達課題とは、「発達段階に対応する発達課題(能力・役割)」である。つまり、「発達課題とは人生の各段階の時期に生じる課題で、それを達成すれば人は幸福になり、次の発達段階の課題の達成も容易になるが、失敗した場合にはその人は不幸になり、社会から承認されず、次の発達段階の課題を成し遂げることが困難となる課題」とし、人間が健全で幸福な発達を遂げるために各発達段階で達成しておかなければならない課題を提唱した。

1.乳幼児期

(1) 歩行の学習
(2) 固形の食物をとることの学習
(3) 話すことの学習
(4) 大小便の排泄を統御することの学習(排泄習慣の自立)
(5) 性の相違及び性の慎みの学習
(6) 生理的安定の獲得
(7) 社会や事物についての単純な概念形成
(8) 両親、兄弟及び他人に自己を情緒的に結びつけることの学習
(9) 正・不正を区別することの学習と良心を発達させること

2.児童期

(1) 普通のゲーム(ボール遊び、水泳など)に必要な身体的技能の学習
(2) 成長する生活体としての自己に対する健全な態度の養成
(3) 同年齢の友達と仲良くすることの学習
(4) 男子または女子としての正しい役割の学習
(5) 読み、書き、計算の基礎的技能を発達させること
(6) 日常生活に必要な概念を発達させること
(7) 良心、道徳性、価値の尺度を発達させること(内面的な道徳の支配、道徳律に対する尊敬、合理的価値判断力を発達させること)
(8) 人格の独立性を達成すること(自立的な人間形成)
(9) 社会的集団ならびに諸機関に対する態度を発達させること(民主的な社会的態度の発達)

3.青年期

(1) 同年齢の男女両性との洗練された新しい関係
(2) 自己の身体構造を理解し、男性または女性としての役割を理解すること
(3) 両親や他の大人からの情緒的独立
(4) 経済的独立に関する自信の確立
(5) 職業の選択及び準備
(6) 結婚と家庭生活の準備
(7) 市民的資質に必要な知的技能と概念を発達させること(法律、政治機構、経済学、地理学、人間性、あるいは社会制度などの知識、民主主義の問題を処理するために必要な言語と合理的思考を発達させること)
(8) 社会的に責任のある行動を求め、かつ成し遂げること
(9) 行動の指針としての価値や論理の体系の学習、適切な科学的世界像と調和した良心的価値の確立(実現しうる価値体系をつくる。自己の世界観を持ち、他人と調和しつつ自分の価値体系を守る)

4.壮年初期

(1) 配偶者の選択
(2) 結婚相手との生活の学習
(3) 家庭生活の出発(第一子をもうけること)
(4) 子どもの養育
(5) 家庭の管理
(6) 就職
(7) 市民的責任の負担(家庭外の社会集団の福祉のために責任を負うこと)
(8) 適切な社会集団の発見

5.中年期

(1) 大人としての市民的社会的責任の達成
(2) 一定の経済的生活水準の確立と維持
(3) 十代の子どもたちが、信頼できる幸福な大人になれるよう援助すること
(4) 大人の余暇活動を充実すること
(5) 自分と自分の配偶者をひとりの人間として結びつけること
(6) 中年期の生理的変化を理解し、これに適応すること
(7) 老年の両親への適応

6.老年期(高齢期)

(1) 肉体的な強さと健康の衰退に適応すること
(2) 隠退と減少した収入に適応すること
(3) 配偶者の死に適応すること
(4) 自分と同年輩の老人たちと明るい親密な関係を確立すること
(5) 肉体的生活を満足におくれるよう準備態勢を確立すること

 

 

 

 

112回 午前

問題8 ハヴィガースト,R.J.(Havighust,R.J.) が提唱する成人期の発達課題はどれか。

1.経済的に自立する。
2.身体的衰退を自覚する。
3.正、不正の区別がつく。
4.読み、書き、計算ができる。

解答

解説
1.〇 正しい。経済的に自立することは、ハヴィガースト,R.J.(Havighust,R.J.) が提唱する成人期(青年期)の発達課題である。成人期とは、医学的には20歳前後から60歳前後とされる場合が多い。一方、青年期は、医学的には10歳から30歳とされる場合が多い。ほかの選択肢が、消去法で除外されるため、この選択肢がおのずと優先度が高くなる。
2.× 身体的衰退を自覚することは、老年期(高齢期)の発達課題である。
3.× 正、不正の区別がつくことは、乳幼児期の発達課題である。
4.× 読み、書き、計算ができることは、児童期の発達課題である。

ハヴィガースト.R.J.とは?

発達段階に対応する発達課題の概念を最初に提唱したとされるアメリカの教育学者である。ライフサイクルを6つの段階に分け、それぞれの時期において乗り越えなければならない代表的な課題を発達課題として示した。発達課題とは、「発達段階に対応する発達課題(能力・役割)」である。つまり、「発達課題とは人生の各段階の時期に生じる課題で、それを達成すれば人は幸福になり、次の発達段階の課題の達成も容易になるが、失敗した場合にはその人は不幸になり、社会から承認されず、次の発達段階の課題を成し遂げることが困難となる課題」とし、人間が健全で幸福な発達を遂げるために各発達段階で達成しておかなければならない課題を提唱した。

1.乳幼児期

(1) 歩行の学習
(2) 固形の食物をとることの学習
(3) 話すことの学習
(4) 大小便の排泄を統御することの学習(排泄習慣の自立)
(5) 性の相違及び性の慎みの学習
(6) 生理的安定の獲得
(7) 社会や事物についての単純な概念形成
(8) 両親、兄弟及び他人に自己を情緒的に結びつけることの学習
(9) 正・不正を区別することの学習と良心を発達させること

2.児童期

(1) 普通のゲーム(ボール遊び、水泳など)に必要な身体的技能の学習
(2) 成長する生活体としての自己に対する健全な態度の養成
(3) 同年齢の友達と仲良くすることの学習
(4) 男子または女子としての正しい役割の学習
(5) 読み、書き、計算の基礎的技能を発達させること
(6) 日常生活に必要な概念を発達させること
(7) 良心、道徳性、価値の尺度を発達させること(内面的な道徳の支配、道徳律に対する尊敬、合理的価値判断力を発達させること)
(8) 人格の独立性を達成すること(自立的な人間形成)
(9) 社会的集団ならびに諸機関に対する態度を発達させること(民主的な社会的態度の発達)

3.青年期

(1) 同年齢の男女両性との洗練された新しい関係
(2) 自己の身体構造を理解し、男性または女性としての役割を理解すること
(3) 両親や他の大人からの情緒的独立
(4) 経済的独立に関する自信の確立
(5) 職業の選択及び準備
(6) 結婚と家庭生活の準備
(7) 市民的資質に必要な知的技能と概念を発達させること(法律、政治機構、経済学、地理学、人間性、あるいは社会制度などの知識、民主主義の問題を処理するために必要な言語と合理的思考を発達させること)
(8) 社会的に責任のある行動を求め、かつ成し遂げること
(9) 行動の指針としての価値や論理の体系の学習、適切な科学的世界像と調和した良心的価値の確立(実現しうる価値体系をつくる。自己の世界観を持ち、他人と調和しつつ自分の価値体系を守る)

4.壮年初期

(1) 配偶者の選択
(2) 結婚相手との生活の学習
(3) 家庭生活の出発(第一子をもうけること)
(4) 子どもの養育
(5) 家庭の管理
(6) 就職
(7) 市民的責任の負担(家庭外の社会集団の福祉のために責任を負うこと)
(8) 適切な社会集団の発見

5.中年期

(1) 大人としての市民的社会的責任の達成
(2) 一定の経済的生活水準の確立と維持
(3) 十代の子どもたちが、信頼できる幸福な大人になれるよう援助すること
(4) 大人の余暇活動を充実すること
(5) 自分と自分の配偶者をひとりの人間として結びつけること
(6) 中年期の生理的変化を理解し、これに適応すること
(7) 老年の両親への適応

6.老年期(高齢期)

(1) 肉体的な強さと健康の衰退に適応すること
(2) 隠退と減少した収入に適応すること
(3) 配偶者の死に適応すること
(4) 自分と同年輩の老人たちと明るい親密な関係を確立すること
(5) 肉体的生活を満足におくれるよう準備態勢を確立すること

 

 

 

112回 午後

問題8 エリクソン(Erikson, E.H.)が提唱する発達理論において、学童期に達成すべき心理社会的課題はどれか。

1.親密 対 孤立
2.自律性 対 恥疑惑
3.勤勉性 対 劣等感
4.自我同一性〈アイデンティティ〉の確立 対 自我同一性〈アイデンティティ〉の拡散

解答

解説
1.× 親密 対 孤立は、前成人期(就職して結婚するまでの時期)に達成すべき心理社会的課題である。
2.× 自律性 対 恥疑惑は、幼児前期(1歳6ヶ月頃~4歳)に達成すべき心理社会的課題である。
3.〇 正しい。勤勉性 対 劣等感は、学童期(児童期:6歳~12歳)に達成すべき心理社会的課題である。
4.× 自我同一性〈アイデンティティ〉の確立 対 自我同一性〈アイデンティティ〉の拡散は、青年期(12歳~22歳)に達成すべき心理社会的課題である。

エリクソン発達理論

エリクソンとは、人間のライフサイクルを乳児期~老年期の8段階に分け、各段階の発達課題と心理・社会的危機があるとする発達理論を提唱した。

乳児期(0歳~1歳6ヶ月頃):基本的信頼感vs不信感
幼児前期(1歳6ヶ月頃~4歳):自律性vs恥・羞恥心
幼児後期(4歳~6歳):積極性(自発性)vs罪悪感
児童期・学童期(6歳~12歳):勤勉性vs劣等感
青年期(12歳~22歳):同一性(アイデンティティ)vs同一性の拡散
前成人期(就職して結婚するまでの時期):親密性vs孤立
成人期(結婚から子供が生まれる時期):生殖性vs自己没頭
壮年期(子供を産み育てる時期):世代性vs停滞性
老年期(子育てを終え、退職する時期~):自己統合(統合性)vs絶望

 

 

 

 

 

113回 午後

7 第二次性徴が発現し始めた思春期に関心が向くのはどれか。

 1.善悪の区別
 2.仕事と家庭の両立
 3.自己の身体の変化
 4.経済力の確保と維持

解答

解説

第二次性徴とは

二次性徴とは、性ホルモンの分泌が促進されることにより、性器および身体に現れる変化である。第二次性徴に関わるホルモンは、男性の場合はアンドロゲン、女性の場合はエストロゲンとプロゲステロンである。アンドロゲンは精巣から、エストロゲンとプロゲステロンは卵巣から分泌される。

平均的に見ると男児の場合は、10歳前後に始まり約5年間続く。 体の成長には決まった順番があり、①睾丸の発達→②陰毛の発生→③精通→④声変わり→⑤体型の変化という順番をたどる。女児の場合は、8歳前後から始まり①乳房発育→②陰毛発生→③初経という順に進行することが一般的である。その評価にはTanner分類が用いられている。

 1.× 善悪の区別は、ハヴィガースト.R.Jによると乳幼児期に関心が向くものである。
 2.× 仕事と家庭の両立は、ハヴィガースト.R.Jによると壮年期に関心が向くものである。
 3.〇 正しい。自己の身体の変化は、第二次性徴が発現し始めた思春期に関心が向く。
 4.× 経済力の確保と維持は、ハヴィガースト.R.Jによると中年期に関心が向くものである。

ハヴィガースト.R.J.とは?

発達段階に対応する発達課題の概念を最初に提唱したとされるアメリカの教育学者である。ライフサイクルを6つの段階に分け、それぞれの時期において乗り越えなければならない代表的な課題を発達課題として示した。発達課題とは、「発達段階に対応する発達課題(能力・役割)」である。つまり、「発達課題とは人生の各段階の時期に生じる課題で、それを達成すれば人は幸福になり、次の発達段階の課題の達成も容易になるが、失敗した場合にはその人は不幸になり、社会から承認されず、次の発達段階の課題を成し遂げることが困難となる課題」とし、人間が健全で幸福な発達を遂げるために各発達段階で達成しておかなければならない課題を提唱した。

1.乳幼児期

(1) 歩行の学習
(2) 固形の食物をとることの学習
(3) 話すことの学習
(4) 大小便の排泄を統御することの学習(排泄習慣の自立)
(5) 性の相違及び性の慎みの学習
(6) 生理的安定の獲得
(7) 社会や事物についての単純な概念形成
(8) 両親、兄弟及び他人に自己を情緒的に結びつけることの学習
(9) 正・不正を区別することの学習と良心を発達させること

2.児童期

(1) 普通のゲーム(ボール遊び、水泳など)に必要な身体的技能の学習
(2) 成長する生活体としての自己に対する健全な態度の養成
(3) 同年齢の友達と仲良くすることの学習
(4) 男子または女子としての正しい役割の学習
(5) 読み、書き、計算の基礎的技能を発達させること
(6) 日常生活に必要な概念を発達させること
(7) 良心、道徳性、価値の尺度を発達させること(内面的な道徳の支配、道徳律に対する尊敬、合理的価値判断力を発達させること)
(8) 人格の独立性を達成すること(自立的な人間形成)
(9) 社会的集団ならびに諸機関に対する態度を発達させること(民主的な社会的態度の発達)

3.青年期

(1) 同年齢の男女両性との洗練された新しい関係
(2) 自己の身体構造を理解し、男性または女性としての役割を理解すること
(3) 両親や他の大人からの情緒的独立
(4) 経済的独立に関する自信の確立
(5) 職業の選択及び準備
(6) 結婚と家庭生活の準備
(7) 市民的資質に必要な知的技能と概念を発達させること(法律、政治機構、経済学、地理学、人間性、あるいは社会制度などの知識、民主主義の問題を処理するために必要な言語と合理的思考を発達させること)
(8) 社会的に責任のある行動を求め、かつ成し遂げること
(9) 行動の指針としての価値や論理の体系の学習、適切な科学的世界像と調和した良心的価値の確立(実現しうる価値体系をつくる。自己の世界観を持ち、他人と調和しつつ自分の価値体系を守る)

4.壮年初期

(1) 配偶者の選択
(2) 結婚相手との生活の学習
(3) 家庭生活の出発(第一子をもうけること)
(4) 子どもの養育
(5) 家庭の管理
(6) 就職
(7) 市民的責任の負担(家庭外の社会集団の福祉のために責任を負うこと)
(8) 適切な社会集団の発見

5.中年期

(1) 大人としての市民的社会的責任の達成
(2) 一定の経済的生活水準の確立と維持
(3) 十代の子どもたちが、信頼できる幸福な大人になれるよう援助すること
(4) 大人の余暇活動を充実すること
(5) 自分と自分の配偶者をひとりの人間として結びつけること
(6) 中年期の生理的変化を理解し、これに適応すること
(7) 老年の両親への適応

6.老年期(高齢期)

(1) 肉体的な強さと健康の衰退に適応すること
(2) 隠退と減少した収入に適応すること
(3) 配偶者の死に適応すること
(4) 自分と同年輩の老人たちと明るい親密な関係を確立すること
(5) 肉体的生活を満足におくれるよう準備態勢を確立すること

 

 

 

113回 午後

48 家族周期における発達段階で、高齢者が配偶者を失った後の段階はどれか。

 1.完結期
 2.教育期
 3.充実期
 4.分離期

解答

解説

家族の発達段階

【1段階:家族の誕生】互いに満足できる結婚生活を確立し、調和のとれた親族ネットワークを楽き、家族計面を立てる。
【2段階:出産家族(第1子が2歳6ヶ月未満)】家族員個々の発達ニーズを満たし、新しい役割(父親、母親など)を学習する。家族で役割の調整を行い、家族機能や家族関係を拡大する。
【3段階:学齢前期の子どもをもつ家族(第1子が2歳6ヶ月から6歳末満)】子どもが役割を取得できるように育て、事故や健康被害を予防する。第1子のニーズを満たしながら、第2子のニーズを満たす。親役制と夫婦役割、親子関係を調整する。
【4段階:学童期の子どもをもつ家族(年長児が6~12歳未満)】子どもの社会化を促し、子どもが学業に励むように配慮する。子どもが親から分離できるように促す。円満な夫婦関係を維持する。
【5段階:10代の子どものいる家族】子どもの自由や責任を認め、子どもを巣立たせる準備をする。家族の統合を徐々に緩め、子どもを解き放していく。両親と子どもとの間に開放的なコミュニケーションを確立する。
【6段階:新たな出発の時期にある家族(第1子が家庭を巣立ってから末子が巣立つまで)】第1子の巣立ちを援助し、その他の子どもには巣立たせる準備をする。子どもの結婚により新しい家族を迎え、家族を拡張する。子ども夫婦のライフスタイルや価値観を認め、夫婦役割を調整し再確立する。
【7段階:壮年期の家族(空の巣から退職まで)】成長した子どもとの関係を再定義しながら子どもから独立することに取り組む。健康的な環境を整える。年老いた両親や孫との有意義な関係を維持する。夫婦関係を強固なものにする。
【8段階:退職後の高齢者家族(配偶者の退職から死まで)】満足できる生活状況を維持し、減少した収入での生活に適応し夫婦関係を維持する。家族の絆を統合させたものとして維持する。配偶者の喪失に適応し人生を振り返り自分の存在の意味を見出す。

 1.〇 正しい。完結期は、高齢者が配偶者を失った後の段階である。完結期は、家族の発達段階の8段階である。満足できる生活状況を維持し、減少した収入での生活に適応し夫婦関係を維持する。家族の絆を統合させたものとして維持する。配偶者の喪失に適応し人生を振り返り自分の存在の意味を見出す。
 2.× 教育期は、家族の発達段階の4段階である。子どもの社会化を促し、子どもが学業に励むように配慮する。子どもが親から分離できるように促す。円満な夫婦関係を維持する。
 3.× 充実期は、家族の発達段階の1段階である。互いに満足できる結婚生活を確立し、調和のとれた親族ネットワークを楽き、家族計面を立てる。
 4.× 分離期は、家族の発達段階の6段階である。第1子の巣立ちを援助し、その他の子どもには巣立たせる準備をする。子どもの結婚により新しい家族を迎え、家族を拡張する。子ども夫婦のライフスタイルや価値観を認め、夫婦役割を調整し再確立する。

家族発達理論とは?

家族発達理論とは、家族の変化過程を家族そのものの発達、成長であると捉え、その家族のたどる周期的変化の各期を家族周期(ファミリー・ライフサイクル)で表し、それぞれの時期に特有の家族の発達課題があると考える理論のことをいう。2つの基本的な考え方があり、①家族は時間的経過のなかで連続的な発達段階をたどること、②家族は発達段階に応じた固有の発達課題を持つことの考え方がベースになっている。

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