第106回(H29) 看護師国家試験 解説【午後66~70】

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66 公的年金制度について正しいのはどれか。

1.学生は申請によって納付が免除される。
2.生活保護を受けると支給が停止される。
3.保険料が主要財源である。
4.任意加入である。
5.積立方式である。

解答3

解説

公的年金制度とは?

公的年金制度とは、高齢者世帯の生活を支えるための社会保障で20歳以上の全国民が強制加入する制度である。公的年金制度には、大きく分けて20歳以上の者を対象とする①国民年金と、加えて雇用されているものがさらに対象となる②厚生年金保険・共済年金とがある。現役世代が納めた保険料を、そのときの年金受給者への支払いに充てる方式(賦課方式)を採用している。公的年金は、現役時代から考えて、45年から60年後といった老後までの長い期間に、経済社会がどのように変わろうとも、その社会で従前の生活と大きく変わらない暮らしのできる年金を保障することを目的としており、賃金や物価の水準の上昇に応じて年金の水準を改定する仕組みである。

1.× すべての学生が、申請によって納付が免除されるわけではない。所得が一定額以下の学生である国民年金の第1号被保険者から申請があったときは、一定期間保険料の納付を免除することができる。これを学生納付特例制度という。
2.× 生活保護を受けると支給が停止されるわけではない。年金を受けながら、年金分との差額の生活保護費を受給できる。保護の補足性の原理という。
3.〇 正しい。保険料が主要財源である。財源の構成は、年金制度によって異なるが、保険料・国庫負担が主な財源である。
4.× 「任意加入」ではなく強制加入である。20歳以上の国民全員が加入する強制加入の制度である。
5.× 「積立方式」ではなく、年金受給者の給付費を現役世代の保険料で賄う賦課方式である。賦課方式(ふかほうしき)とは、保険料を積み立てないでそのときの給付の財源にあてる方式である。

 

 

 

 

 

67 健康に影響を及ぼす生活環境とそれを規定している法律の組合せで正しいのはどれか。

1.上水道:水質汚濁防止法
2.飲食店:食品衛生法
3.家庭ごみ:悪臭防止法
4.学校環境:教育基本法
5.住宅用の建築材料:環境基本法

解答2

解説
1.× 上水道は、「水質汚濁防止法」ではなく水道法である。水道法とは、上水道事業について定める日本の法律である。第4条において水質基準が定められている(※参考:「水道法」厚生労働省HPより)。ちなみに、水質汚濁防止法とは、公共用水域の水質汚濁の防止に関する日本の法律である。
2.〇 正しい。飲食店は、食品衛生法である。食品衛生法とは、日本において飲食によって生ずる危害の発生を防止するための日本の法律である。所管官庁は、厚生労働省と消費者庁である。食品と添加物などの基準、表示、検査などの原則を定めている。
3.× 家庭ごみは、「悪臭防止法」ではなく廃棄物の処理及び清掃に関する法律である。廃棄物の処理及び清掃に関する法律とは、廃棄物の排出抑制と処理の適正化により、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることを目的とした法律である。ちなみに、悪臭防止法とは、工場やその他の事業場における事業活動に伴って発生する悪臭を規制することにより、悪臭防止対策を推進し、生活環境を保全、国民の健康の保護に資することを目的とする法律である。
4.× 学校環境は、「教育基本法」ではなく学校保健安全法である。学校保健安全法とは、学校における児童生徒等及び職員の健康の保持増進を図るための法律である。主に①学校保健、②学校安全の体制、③健康診断などを定めている。ちなみに、教育基本法とは、教育についての原則を定めた日本の法律である。①日本の教育の目的及び理念、②義務教育や学校教育といった教育の実施に関する基本、③教育行政について定められている。また、学習指導要領とは、全国のどの地域で教育を受けても、一定の水準の教育を受けられるようにするため、文部科学省では、学校教育法等に基づき、各学校で教育課程(カリキュラム)を編成する際の基準を定めているものをさす。学習指導要領では、小学校、中学校、高等学校等ごとに、それぞれの教科等の目標や大まかな教育内容を定めている。
5.× 住宅用の建築材料は、「環境基本法」ではなく建築基準法である。建築基準法とは、国民の生命・健康・財産を守るために、建築物の敷地・構造・設備・用途に関する最低基準を定めた法律である。建築物の安全を確保することにより、公共の福祉を増進させることを目的としている。ちなみに、環境基本法とは、日本の環境政策の根幹を定める基本法である。国・地方公共団体・事業者・国民の責務、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築、国際的協調による地球環境保全の積極的推進、環境基本計画や環境基準の策定などを規定している。

 

 

 

 

 

68 チェーンソーの使用によって生じるのはどれか。

1.じん肺
2.視力低下
3.心筋梗塞
4.肘関節の拘縮
5.Raynaud<レイノー>現象

解答5

解説

VDT作業とは?

VDT作業とは、ディスプレイを持つ画面表示装置(VDT:Visual Display Terminals) を用いた作業のこと。コンピュータや監視カメラを用いた作業を指す。 VDT作業はVDT症候群のように、心身の負担を感じさせることにつながるため、厚生労働省においても「VDT作業における労働衛生環境管理のためのガイドライン」を定めている。

【作業環境管理】
(1)照明及び採光
①室内は、できるだけ明暗の対照が著しくなく、かつ、まぶしさを生じさせないようにすること。
②ディスプレイを用いる場合のディスプレイ画面上における照度は500ルクス以下、書類上及びキーボード上における照度は300ルクス以上とすること。また、ディスプレイ画面の明るさ、書類及びキーボード面における明るさと周辺の明るさの差はなるべく小さくすること。
③ディスプレイ画面に直接又は間接的に太陽光等が入射する場合は、必要に応じて窓にブラインド又はカーテン等を設け、適切な明るさとなるようにすること。

(2)一連続作業時間及び作業休止時間
一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10分~15分の作業休止時間を設け、かつ、一連続作業時間内において1回~2回程度の小休止を設けること。

(3)その他
換気、温度及び湿度の調整、空気調和、静電気除去、休憩等のための設備等について事務所
衛生基準規則に定める措置等を講じること。

(※一部引用:「VDT作業における労働衛生環境管理のためのガイドライン」厚生労働省HPより)

1.× じん肺とは、主に小さな土ホコリや金属の粉などの無機物または鉱物性の粉塵の発生する環境で仕事をしている人が、その粉塵を長い年月にわたって多量に吸い込むことで肺組織が線維化してしまった状態である。肺線維症のひとつで、微細な無機粉じんに分類される鉱物由来の粒子(ケイ酸、アスベスト)などを長期にわたり吸入したことで肺胞に沈着し、肺が線維化して呼吸困難が生じる。
2.× 視力低下は、主にディスプレイ画像表示の端末機での作業(VDT作業)により起こりやすい。VDT(Visual Display Terminals)作業とは、ディスプレイ画面を見続けることによって生じる眼精疲労、視力低下、ドライアイなどの視機能障害や、キーボード操作・座位姿勢を保つことによって生じる頚肩腕症候群などの問題となることである。つまり、主な症状として、①眼の症状、②肩や首、手の症状、③精神的な症状があげられる。
3.× 心筋梗塞とは、心筋が壊死に陥った状態のことである。心電図の特徴は、STの上昇である。症状として、胸痛や血圧低下、不整脈などである。危険因子として、①高血圧、②喫煙、③糖尿病、④脂質代謝異常などである。
4.× 肘関節の拘縮は、関節の滑膜が炎症を起こす関節リウマチなどで起こりやすい。
5.〇 正しい。Raynaud<レイノー>現象は、チェーンソーの使用によって生じやすい。なぜなら、チェーンソーなどの手持ち動力工具による中・高周波数の振動で発生する末梢循環障害が生じるため。ちなみに、Raynaud現象とは、四肢(特に手指)が蒼白化、チアノーゼを起こす現象である。手指の皮膚が寒冷刺激や精神的ストレスにより蒼白になり、それから紫色を経て赤色になり、元の色調に戻る一連の現象をいう。

”関節リウマチとは?”

関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。

(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

 

69 Aさん(61歳、男性)は、水分が飲み込めないため入院した。高度の狭窄を伴う進行食道癌と診断され、中心静脈栄養が開始された。入院後1週、Aさんは口渇と全身倦怠感を訴えた。意識は清明であり、バイタルサインは脈拍108/分、血圧98/70mmHgであった。尿量は1,600mL/日で、血液検査データは、アルブミン3.5g/dL、AST<GOT>45IU/L、ALT<GPT>40IU/L、クレアチニン1.1mg/dL、血糖190mg/dL、Hb11.0g/dLであった。
 Aさんの口渇と全身倦怠感の要因として最も考えられるのはどれか。

1.貧血
2.低栄養
3.高血糖
4.腎機能障害
5.肝機能障害

解答3

解説

本症例のポイント

・Aさん(61歳、男性、高度の狭窄を伴う進行食道癌
・水分が飲み込めないため入院した。
中心静脈栄養が開始された。
・入院後1週:口渇と全身倦怠感を訴えた。
・意識清明、脈拍108/分、血圧98/70mmHg。
尿量1,600mL/日アルブミン3.5g/dL、AST<GOT>45IU/L、ALT<GPT>40IU/L、クレアチニン1.1mg/dL血糖190mg/dLHb11.0g/dL
→中心静脈栄養法(TPN:Total Parenteral Nutrition)とは、消化管の消化吸収障害があり、口から栄養を補給できない場合に、中心静脈(上大静脈、下大静脈)にカテーテルを留置して、高カロリーの輸液を行う方法である。高カロリー輸液を行うため、高血糖、肝機能障害などの合併症、血流感染や静脈炎などのリスクがある。そのため、衛生面など管理には細心の注意が必要である。また、腸管粘膜が萎縮し、消化機能が低下し、血栓が形成されることがある。

1.× 貧血が直接、口渇が起こるとは考えにくい。ちなみに、血液中のヘモグロビン(Hb)の正常な値は、成人男性の場合13.0~16.6g/dL、成人女性の場合11.4~14.6g/dLである。本症例は、Hb11.0g/dLである。
2.× 低栄養が直接、口渇が起こるとは考えにくい。ちなみに、アルブミンの基準範囲(正常値)は4.0以上とされ、これ以下の数値が出た場合、特に3.5以下の場合は何らかの病気や栄養障害が疑われる。本症例は、アルブミン3.5g/dLである。
3.〇 正しい。高血糖が、口渇と全身倦怠感が生じていると考えられる。なぜなら、本症例の血糖190mg/dLであり高血糖であることが分かるため。ちなみに、空腹時の正常値範囲は、70~110mg/dLが目安である。
4.× 腎機能障害は起こっていない。なぜなら、本症例は、尿量1,600mL/日、クレアチニン1.1mg/dLであるため。ちなみに、通常尿量は成人では1日1000~1500mlである。血清クレアチニンの正常値は、男性1.2mg/dl以下、女性1.0mg/dl以下である。
5.× 肝機能障害は起こっていない。なぜなら、AST<GOT>45IU/L、ALT<GPT>40IU/Lであるため。ちなみに、正常値として、AST<GOT>7~38 IU/L、ALT<GPT> 4~44 IU/Lである。

高血糖症状とは?

高血糖症状は、著しい口渇、多飲、多尿、全身倦怠感などがある。これは、高血糖状態が続くと血漿浸透圧が上昇し、利尿が進むことで水・電解質の喪失が起こり、脱水状態に来す。高血糖の他にも、肝機能障害などの合併症、血流感染や静脈炎などのリスクがある。

 

 

 

 

 

70 病的な老化を示すのはどれか。

1.肝臓の萎縮
2.動脈の粥状硬化
3.毛様体筋の機能低下
4.心筋の弾性線維の減少
5.膀胱の平滑筋の線維化

解答2

解説

MEMO

老化は、①生理的老化と、②病的老化に分類される。
①生理的老化とは、身体および精神のいかなる疾患の影響も受けることなく、加齢のみの影響によって生体に起こる変化である。
②病的老化とは、老化が異常に加速され、病的状態を引き起こすような変化をいう。加齢に加えて外的ストレスの影響によって生じる老化である。例えば、骨粗鬆症や動脈硬化症、アルツハイマー病、白内障などがそれにあたる。

1.3~5.× 肝臓の萎縮/毛様体筋の機能低下(老眼の状態)/心筋の弾性線維の減少/膀胱の平滑筋の線維化は、生理的老化である。
2.〇 正しい。動脈の粥状硬化は、病的老化である。なぜなら、動脈硬化は、喫煙・高血圧などのストレスによって進行し、それにより多くの二次的な疾患(心筋梗塞や脳梗塞)を引き起こすため。

 

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