第108回(H31) 看護師国家試験 解説【午前1~5】

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※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。

 

問題引用:第105回保健師国家試験、第102回助産師国家試験、第108回看護師国家試験の問題および正答について

 

 

1 疾病や障害に対する二次予防はどれか。

1.早期治療
2.予防接種
3.生活習慣の改善
4.リハビリテーション

解答1

解説

疾病予防の概念

疾病の進行段階に対応した予防方法を一次予防、二次予防、三次予防と呼ぶ。

一次予防:「生活習慣を改善して健康増進し、生活習慣病等を予防すること」
二次予防:「健康診査等による早期発見・早期治療」
三次予防:「疾病が発症した後、必要な治療を受け、機能の維持・回復を図ること」と定義している。

(※健康日本21において)

1.〇 正しい。早期治療は、二次予防である。
2~3.× 予防接種/生活習慣の改善は、一次予防である。
4.× リハビリテーションは、三次予防である。

 

 

 

 

 

2 日本における平成28年(2016年)の部位別にみた悪性新生物の死亡数で、男性で最も多い部位はどれか。

1.胃
2.肝及び肝内胆管
3.気管、気管支及び肺
4.結腸と直腸S状結腸移行部及び直腸

解答3

解説

(※図引用:「平成28年人口動態統計月報年計(概数)の概況」厚生労働省HPより)

部位別にみた悪性新生物

悪性新生物の主な部位別に死亡率(人口 10 万対)をみると、男では「肺」がもっとも高く、平成5年以降第1位となり、平成 28 年の死亡数は 5 万 2415 人、死亡率は 86.1 となっている。女では「大腸」と「肺」が高く、「大腸」は平成 15 年以降第1位となり、平成 28 年の死亡数は 2 万 3063 人、死亡率は 35.9 となっている。

(※引用:「平成28年人口動態統計月報年計(概数)の概況」厚生労働省HPより)

1.× 胃は、第2位である。
2.× 肝及び肝内胆管は、第4位である。
3.〇 正しい。気管、気管支及び肺は、第1位である。
4.× 結腸と直腸S状結腸移行部及び直腸は、第3位である。

 

 

 

 

3 セリエ,H.が提唱した理論はどれか。

1.危機モデル
2.ケアリング
3.セルフケア
4.ストレス反応

解答4

解説

1.× 危機モデルは、フィンク,S.L.アギュララ,D.C.らが提唱した。アギュララは、ストレスの多い出来事によって精神の均衡状態が崩れると,その均衡を回復させる一定の働きが生じると考えた。人が危機状態から回復するには、①現実的出来事に対する知覚、②適切な対処機制、③適切な社会的支持の3つのバランス要因が必要だとした。
2.× ケアリングは、メイヤロフ.M.が提唱した。ちなみに、ケアリングとは、他者の自己実現を援助する行動である。そこでは、ケアするひとがケアされるひとを受け容れることが求められるのだが、それと同時に、ケアされるひともケアするひとを受け容れる必要がある。つまり、ケアリングにおいては、ケアするひとの働きかけとケアされるひとの応答が要請されるのである。
3.× セルフケアは、オレムが提唱した。オレムは「セルフケアとは、個人が生命、健康、安寧を維持するために自分自身で 開始し、遂行する諸活動の実践である」と定義している。オレムは、とくに疾病にかかった患者のみでなく、人々が生きるために日々みずからおこなう実践活動すべてをセルフケアとしている。
4.〇 正しい。ストレス反応は、セリエ,H.が提唱した。ストレス反応とは、物体に外部から加わる刺激(ストレッサー)に対し、内部に生じる歪みと元に戻ろうとする反作用をいう。

フィンクの危機モデルとは?

フィンクの危機モデルは、外傷性脊髄損傷患者の臨床研究と障害や喪失に関する文献をもとに、突然の予期せぬ出来事との遭遇から障害受容にいたるプロセスをモデル化したものである。

①衝撃:脅威にさらされ心理的衝撃を受けること(例:何を言っているんだ?)
②防衛的退行:危機に抵抗し自分を守ること(例:信じられない!)
③承認:逃げられないと悟り、現実を吟味し始めること(例:こうするしかないのか・・・)
④適応:建設的な方法で、積極的に現実に対処すること(例:対策して前を向こう!)

 

 

 

 

 

4 介護保険制度における保険者はどれか。

1.市町村及び特別区
2.都道府県
3.保健所
4.国

解答1

解説

介護保険制度とは?

介護保険制度とは、寝たきりや認知症等で常時介護を必要とする状態(要介護状態)になった場合や、家事や身支度等の日常生活に支援が必要であり、特に介護予防サービスが効果的な状態(要支援状態)になった場合に、介護の必要度合いに応じた介護サービスを受けることができる。

【目標】
予防とリハビリテーションの重視
高齢者による選択
在宅ケアの推進
利用者本位のサービスの提供
社会連帯による支え合い
介護基盤の整備
重層的で効率的なシステム

【基本理念】
自己決定の尊重
生活の継続
自己支援(残存能力の活用)

介護保険の保険者は、市町村及び特別区である。よって、選択肢1.市町村及び特別区が正しい。保険者は、その地域に在住する40歳以上の方々を介護保険の加入者(被保険者)とし、保険料の納付を受ける。また、被保険者が介護が必要な状態となった場合には、介護保険サービスの給付を行う。

(※画像引用:「要介護認定の仕組みと手順」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

5 呼びかけに反応のない患者に対し、医療従事者が行う一次救命処置(BLS)で最も優先するのはどれか。(※不適切問題:解答なし)

1.気道確保
2.胸骨圧迫
3.人工呼吸
4.除細動

解答(解答なし)
理由:設問が不十分で正答が得られないため:採点対象外

解説

一次救命処置とは?

 一次救命処置とは、呼吸が止まり、心臓も動いていないと見られる人の救命へのチャンスを維持するため、特殊な器具や医薬品を用いずに行う救命処置であり、胸骨圧迫と人工呼吸からなる心肺蘇生法(CPR)、そしてAEDの使用を主な内容とする。

(※画像引用:「BLSとは?」日本ACLS協会ガイド様HPより)

1~2.△ 気道確保/胸骨圧迫のどちらを優先するか判断できない。なぜなら、「呼びかけに反応がない(意識のない患者)」は、気道閉塞(呼吸停止)しているか?、心停止しているか?で、優先されるものが異なるため。つまり、設問文中には呼吸の有無についての記載がなく、現時点でどちらが優先かは判断できないため、不適切問題となったと考えられる。
3~4.× 人工呼吸/除細動より、まず気道確保や胸骨圧迫が優先される。

胸骨圧迫とは?

胸骨圧迫とは、心停止した傷病者の心臓付近を圧迫することにより脳や心臓に血液の循環を促す心肺蘇生を目的とした一次救命処置である。成人と幼児で適する力の入れ具合や胸骨の沈み具合が異なる。成人では胸骨が、5cmほど沈むように胸骨圧迫をする。一方で、幼児では年齢に応じた体格の差があるため、成人のような絶対値を当てはめることができない。そのため、幼児においては個別の体格を判断したうえで、胸の厚さの1/3程度が沈む強さで胸骨圧迫を行うことが推奨されている。年齢にかかわらず100~120回を目安に行う。

 

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