第108回(H31) 看護師国家試験 解説【午前6~10】

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6 業務に従事する看護師は、( )年ごとに保健師助産師看護師法に定める届出をしなければならない。
( )に入る数字はどれか。

1.1
2.2
3.3
4.4

解答2

解説

保健師助産師看護師法とは?

保健師助産師看護師法とは、保健師・助産師および看護師の資質を向上し、もって医療および公衆衛生の普及向上を図ることを目的とする日本の法律である。通称は保助看法。(※一部引用:「保健師助産師看護師法」厚生労働省HPより)

保健師助産師看護師法の33条に「業務に従事する保健師、助産師、看護師又は准看護師は、厚生労働省令で定める二年ごとの年の十二月三十一日現在における氏名、住所その他厚生労働省令で定める事項を、当該年の翌年一月十五日までに、その就業地の都道府県知事に届け出なければならない」と記載されている(※引用:「保健師助産師看護師法」e-GOV法令検索様HPより)。

したがって、業務に従事する看護師は、( 2 )年ごとに保健師助産師看護師法に定める届出をしなければならない。つまり、選択肢2.2が正しい。

 

 

 

 

 

7 胎児循環で酸素を最も多く含む血液が流れているのはどれか。

1.肺動脈
2.肺静脈
3.臍動脈
4.臍静脈

解答4

解説

(※図引用:「看護師イラスト集」看護roo!)

胎児循環とは?

胎児循環とは、胎児における血液の流れ方のことで、肺のかわりを胎盤が果たす胎盤循環が主体である。胎児の下腹部で大動脈から出た左右の臍動脈は、胎盤で母体の血液とガス交換および栄養分・老廃物交換を行った後、1本の臍静脈として胎児体内に戻る。その後肝臓を通じ、あるいは静脈管を通って下大静脈から右心房に入る。この血液と上大静脈から右心房に入った血液の大部分は、心房中隔にあいている卵円孔を通じて直接左心房に移り、左心室から大動脈に出る。一部の右心房から右心室に入った血液は、肺動脈に出るが、肺がまだ活動していないので、その主体は動脈管を通じて大動脈に流入する。

1.× 肺動脈は、最も酸素を豊富とはいえない。肺動脈とは、心臓(右心房)から肺に血液を送り出す血管である。胎盤で酸素化された血液は、下大静脈で静脈血と混ざり右心系へ流入する。胎児のガス交換(血液の酸素化)は、胎盤で行われる。肺循環の必要性が低いため、右心房の血液は卵円孔を、肺動脈の血液は動脈管を通って体循環へ流入する。
2.× 肺静脈は、最も酸素を豊富とはいえない。肺静脈とは、肺から心臓(左心房)に血液を送り出す血管である。肺動脈は、脱酸素化された血液を運ぶ唯一の動脈である。一方、肺静脈は、酸素化された血液を運ぶ唯一の静脈である。
3.× 臍動脈は、最も酸素を豊富とはいえない。臍動脈とは、胎児循環で胎児から胎盤に血液を送る血管のことである。したがって、胎児の体内で発生した二酸化炭素や老廃物を多く含む静脈血が流れる。
4.〇 正しい。臍静脈は、胎児循環で酸素を最も多く含む血液が流れている。臍静脈とは、胎児循環で胎盤から胎児に血液を送る血管である。胎盤で酸素と栄養を受け取った動脈血の約50%は、臍帯の臍静脈を経て胎児の体内に入り、胎児の静脈管を通過して下大静脈に合流する。つまり、胎児は胎盤で主にガス交換を行う。

 

 

 

 

8 母乳中に含まれている免疫グロブリンで最も多いのはどれか。

1.IgA
2.IgE
3.IgG
4.IgM

解答1

解説

1.〇 正しい。IgAは、母乳中に含まれている免疫グロブリンで最も多い。新生児ではほとんど産生されていないが、母乳中には母親由来のIgAが豊富に含まれている。IgAとは、体内では2番目に多い免疫グロブリンで、鼻汁、涙腺、唾液、消化管、膣など、全身の粘膜に存在している。IgAは、粘膜の表面で病原体やウイルスと結合し、病原体やウイルスが持っている毒素を無効化して感染しないように阻止する働きがある。
2.× IgEは、母乳には含まれていない。IgEとは、肥満細胞や好塩基球の細胞表面に存在している。ヒスタミン遊離によりアレルギー疾患を引き起こす。生後6か月以降の乳幼児では、しばしばアトピー性アレルギー疾患の進行に伴って血清中のIgE抗体が上昇する。したがって、I型反応(即時型、アナフィラキシー型)のアレルギー反応に関与する。
3.× IgGは、母乳には含まれていない。IgGとは、分子量が最も小さい抗体であるため、唯一、胎盤を通過する免疫グロブリンである。IgMが生成された後に生成され始め、血中で最も多く存在する抗体である。一般的に抗体検査というとこのIgGを調べることが多い。比較的長期間持続されるとされており、その期間は数ヶ月〜数年とウイルスによって異なる。
4.× IgMは、母乳には含まれていない。IgMとは、新生児由来であり、児に感染が起きたときに産生される免疫グロブリンである。しかし、感染防御力は低い。出生直後の新生児の血中IgMが高値の場合は、胎内または分娩時の感染が示唆される。感染の初期に発現し、生体防御の初段階を担うのはこのIgMに属するいずれかの抗体で、それらは症状が進むと再び発現するようになる。

(※引用:「アレルギー総論」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

 

9 思春期にある人が親密な関係を求める対象はどれか。

1.教師
2.祖父母
3.友人
4.両親

解答3

解説

心理的離乳とは?

心理的離乳とは、思春期に親や家族に反発する第二次反抗期がみられることである。 親などから精神的に自立し、友人関係が重要となる。 

学童期までのに依存する状態から脱却して、親から心理的に自立するようになる第二次反抗期と呼ばれる。それよりも、同性同年輩の友人との関係が親密となり、そのなかで自己像を見つめなおし、アイデンティティを確立させていく。思春期には、友人に親密な関係を求めるようになる。よって、選択肢3.友人が正しい。

エリクソン発達理論

 エリクソンとは、人間のライフサイクルを乳児期~老年期の8段階に分け、各段階の発達課題と心理・社会的危機があるとする発達理論を提唱した。

乳児期(0歳~1歳6ヶ月頃):基本的信頼感vs不信感
幼児前期(1歳6ヶ月頃~4歳):自律性vs恥・羞恥心
幼児後期(4歳~6歳):積極性(自発性)vs罪悪感
児童期・学童期(6歳~12歳):勤勉性vs劣等感
青年期(12歳~22歳):同一性(アイデンティティ)vs同一性の拡散
前成人期(就職して結婚するまでの時期):親密性vs孤立
成人期(結婚から子供が生まれる時期):生殖性vs自己没頭
壮年期(子供を産み育てる時期):世代性vs停滞性
老年期(子育てを終え、退職する時期~):自己統合(統合性)vs絶望

 

 

 

 

10 平成28年(2016年)の国民健康・栄養調査の結果で、該当年代の男性における肥満者(BMI≧25.0)の割合が最も高い年代はどれか。

1.15〜19歳
2.30〜39歳
3.50〜59歳
4.70歳以上

解答3

解説

肥満及びやせの状況

肥満者(BMI≧25kg/m2)の割合は男性31.3%、女性20.6%であり、この10年間でみると、男女とも有意な増減はみられない。やせの者(BMI<18.5kg/m2)の割合は男性4.4%、女性で11.6%であり、この10年間でみると、女性では有意に増加している。なお、20歳代女性のやせの者の割合は20.7%である。65歳以上の高齢者の低栄養傾向の者(BMI≦20kg/m2)の割合は17.9%である。男女別にみると男性12.8%、女性22.0%であり、この10年間でみると男性では有意な増減はなく、女性では有意に増加している。性・年齢階級別にみると、男女とも85歳以上でその割合が高い。

(※引用:「平成28(2016)年の国民健康・栄養調査」厚生労働省HPより)

(※図引用:「平成28(2016)年の国民健康・栄養調査」厚生労働省HPより)

1.× 15〜19歳は、10.6%となっている。
2.× 30〜39歳は、28.6%となっている。
3.〇 正しい。50〜59歳は、該当年代の男性における肥満者(BMI≧25.0)の割合が最も高い年代である。36.5%となっている。
4.× 70歳以上は、28.6%となっている。

BMI(Body Mass Index)

BMI(Body Mass Index)とは、ボディマス指数と呼ばれ、体重と身長から算出される肥満度を表す体格指数である。

体重(kg)÷[身長(m)]2で算出される。
18.5未満が低体重(やせ)、18.5以上25未満が普通、25以上が肥満と判定される。

国民健康・栄養調査とは?

国民健康・栄養調査とは、国民の健康状態、生活習慣や栄養素摂取量を把握するための調査である。 毎年、食生活状況、各種身体・血液検査や飲酒、喫煙、運動習慣などを調べており、国における健康増進対策や生活習慣病対策に不可欠な調査となっている。国民健康・栄養調査は、『健康増進法』に基づき、国民の身体の状況、栄養素等摂取状況および生活習慣の状況についての調査で、標本調査により実施される。

【国民健康・栄養調査の調査項目】
1)身体状況調査票
ア.身長、体重(満1歳以上)
イ.腹囲(満6歳以上)
ウ.血圧測定(満20歳以上)
エ.血液検査(満20歳以上)
オ.問診<服薬状況、糖尿病の治療の有無、運動>(満20歳以上)

2)栄養摂取状況調査票
満1歳以上の世帯員の食品摂取量、栄養素等摂取量、食事状況(欠食・外食等)、1日の身体活動量(歩数:満20歳以上)

3)生活習慣調査票
満20歳以上が対象。食生活、身体活動・運動、休養(睡眠)、飲酒、喫煙、歯の健康等に関する生活習慣全般を把握。

(※参考「国民健康・栄養調査」厚生労働省HPより)

 

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