第109回(R2) 看護師国家試験 解説【午後116~120】

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次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
 Aさん(75歳、男性)は、妻(70歳)と2人暮らし。2型糖尿病の治療中で、2年前から1日2回朝・夕食前に混合型インスリン注射が開始となった。その後、糖尿病性網膜症による視力障害が進んだため、現在は妻と一緒に単位数や針の確認をし、インスリンの自己注射を実施している。

116 インスリン治療開始後3年、Aさんは妻の付き添いで散歩を取り入れ運動療法にも取り組んでいたが、靴ずれが悪化し右第5趾に潰瘍ができた。そこで要介護1の認定を受けて訪問看護が週2回導入され、フットケアの指導が行われることになった。
 訪問看護師が行う妻への指導内容で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.絆創膏は足趾全体を覆うように貼る。
2.浸出液の臭いの変化に注意する。
3.泡立てた石けんで足を洗う。
4.足浴には42℃の湯を使う。
5.大きいサイズの靴を履く。

解答2・3

解説

本症例のポイント

・インスリン治療開始後3年:運動療法にも取り組む。
・靴ずれ悪化、右第5趾に潰瘍
・要介護1の認定、訪問看護を週2回導入。
フットケアの指導が行われる。
→本症例は、糖尿病の合併症をきたしていると考えられる。主に3大合併症として、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害があげられる。なかでも糖尿病性神経障害とは、糖尿病に合併する末梢神経障害である。症状は、①眼筋・眼瞼挙筋麻痺、③下肢の腱反射低下、④振動覚障害、しびれなどが特徴である。上肢よりも下肢,近位部よりも遠位部が障害されやすい。感覚障害は、手部や足部に左右対称におこることが多い。

1.× 絆創膏は、「足趾全体」ではなく部分的に覆うように貼る。なぜなら、足趾全体に絆創膏を巻くと、足趾の血流不全を起こしさらに細小血管障害を悪化させるため。
2.〇 正しい。浸出液の臭いの変化に注意する。なぜなら、腐敗しているようなくさい臭いがした場合、細菌による感染が疑われるため。
3.〇 正しい。泡立てた石けんで足を洗う。なぜなら、足の皮膚を傷つけないようにするため。感染予防にもつながるため、なるべく清潔に保つ。
4.× 足浴には、「42℃」ではなく37~40℃程度の湯を使う。なぜなら、高温のお湯を用いると熱傷のおそれがあるため。そのうえ、糖尿病神経障害により知覚が鈍麻している場合、熱傷に気づかないまま感染などをきたしてしまう可能性もある。また、足部が正常な足浴に関しても、足の皮膚温が全身の中で最も低いことに留意し、37~40℃程度の湯を使うことが多い。
5.× 靴は、「大きいサイズ」ではなく、ちょうどよいサイズを履く。なぜなら、大きいサイズの靴では、より靴ずれが悪化もしくは新たな靴ずれの発症の可能性があるため。他にも、靴の中に異物がないかの確認の習慣をつけたり、通気性の良い素材の靴下を履くことを心がけることが大切である。

 

 

 

 

 

次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
 Aさん(75歳、男性)は、妻(70歳)と2人暮らし。2型糖尿病の治療中で、2年前から1日2回朝・夕食前に混合型インスリン注射が開始となった。その後、糖尿病性網膜症による視力障害が進んだため、現在は妻と一緒に単位数や針の確認をし、インスリンの自己注射を実施している。

117 訪問看護が導入されて3か月、Aさんの妻が健康診査後の精査目的で数日間入院することになった。Aさんは妻の入院中もできる限り自宅で過ごしたいと考えている。妻の入院中の対応について、サービス担当者会議が開かれた。
 この時に訪問看護師が行うAさんへの提案で優先度が高いのはどれか。

1.通所介護を利用する。
2.訪問介護を利用する。
3.配食サービスを利用する。
4.訪問看護の回数を増やす。

解答4

解説

本症例のポイント

・訪問看護導入3か月:妻が数日間入院する。
・Aさん:自宅で過ごしたい
→Aさんは、「糖尿病性網膜症による視力障害が進んだため、現在は妻と一緒に単位数や針の確認をしインスリンの自己注射を実施している」。したがって、自宅生活の継続には、できれば専門職の支援が必要であると考えられる。ちなみに、訪問看護とは、看護を必要とする患者が在宅でも療養生活を送れるよう、かかりつけの医師の指示のもとに看護師や保健師などが訪問して看護を行うことである。

1.× 通所介護を利用する優先度は低い。なぜなら、Aさんの「できる限り自宅で過ごしたい」という希望を満たすことができないため。ちなみに、デイサービス(通所介護)とは、要介護認定を受けた方が、自宅での生活を続けていけるように、身体機能の維持・向上を目指し、機能訓練をしたり、他者との交流を通して社会的孤立感の解消や認知症予防を図るところである。
2.× 訪問介護を利用するより優先度が高いものが他にある。なぜなら、Aさんにはインスリンの自己注射の支援が必要であり、できれば専門職の支援が必要であると考えられるため。ちなみに、訪問介護とは、訪問介護員(ホームヘルパー)などが利用者の自宅を訪問して身体介護や調理、洗濯、掃除などの生活援助を行うサービスである。
3.× 配食サービスを利用する優先度は低い。なぜなら、Aさんの「できる限り自宅で過ごしたい」という希望を満たす条件は、「食事」に関することより「インスリンの自己注射の支援」のほうが優先度としては高いため。
4.〇 正しい。訪問看護の回数を増やす。Aさんは、「糖尿病性網膜症による視力障害が進んだため、現在は妻と一緒に単位数や針の確認をしインスリンの自己注射を実施している」。したがって、自宅生活の継続には、できれば専門職の支援が必要であると考えられる。ちなみに、訪問看護とは、看護を必要とする患者が在宅でも療養生活を送れるよう、かかりつけの医師の指示のもとに看護師や保健師などが訪問して看護を行うことである。

 

 

 

 

次の文を読み118〜120の問いに答えよ。
 Aさん(20歳、女性、外国籍)は、6月に来日し、9月に大学に入学した。入学して1週後、Aさんは大学でめまいを起こして座り込み、同じ国から昨年留学生として来日した友人に付き添われ病院の内科外来を受診した。外来では多くの患者が受診を待っており、診察までに時間がかかっていた。Aさんは、日常会話程度の日本語が話せ「身体がだるくて立っていられません」と看護師に伝えた。

118 外来の看護師の対応で優先するのはどれか。

1.外国語が話せる医師を呼びに行く。
2.付き添ってきた友人に通訳を依頼する。
3.Aさんに外来の処置室で横になってもらう。
4.Aさんの母国語で書かれた問診表を取りに行く。

解答3

解説

本症例のポイント

・Aさん(20歳、女性、外国籍
・6月に来日、9月に大学入学。
・入学して1週後:大学でめまいを発症。
日常会話程度の日本語が話せる
・「身体がだるくて立っていられません」と。
→本症例は、外国籍とはいえ、日常会話程度の日本語が話せる。外国籍問わず、治療者はなるべく専門用語を使用せず、患者が自ら治療方針を選択できるよう分かりやすい言葉で説明する。

1~2.4.× 外国語が話せる医師を呼びに行く/付き添ってきた友人に通訳を依頼する/Aさんの母国語で書かれた問診表を取りに行く必要はない。なぜなら、Aさんは日常会話程度の日本語が話せるため。また、現在Aさんは「身体がだるくて立っていられません」と訴えているため、Aさんから離れることは急変が起こった時に対応できない。まずは、安楽な体位で安静にできるよう援助することを優先される。
3.〇 正しい。Aさんに外来の処置室で横になってもらう。現在Aさんは「身体がだるくて立っていられません」と訴えているため、安楽な体位で安静にできるよう援助することを優先する。

 

 

 

 

 

次の文を読み118〜120の問いに答えよ。
 Aさん(20歳、女性、外国籍)は、6月に来日し、9月に大学に入学した。入学して1週後、Aさんは大学でめまいを起こして座り込み、同じ国から昨年留学生として来日した友人に付き添われ病院の内科外来を受診した。外来では多くの患者が受診を待っており、診察までに時間がかかっていた。Aさんは、日常会話程度の日本語が話せ「身体がだるくて立っていられません」と看護師に伝えた。

119 Aさんは、急性骨髄性白血病と診断され、血液内科病棟の2人部屋に緊急入院になった。病棟看護師が入院オリエンテーションをするため病室を訪れたところ、同室の患者から「Aさんの香水の香りが強いので、つらい」と訴えがあり、看護師もその香りが気になった。
 看護師の対応で適切なのはどれか。

1.同室の患者に別室への移動を勧める。
2.Aさんに香水を洗い流すよう説明する。
3.Aさんに香水の使用は医師の許可が必要と説明する。
4.Aさんに香りが本人および同室の患者の治療に及ぼす影響を説明する。

解答4

解説

本症例のポイント

・急性骨髄性白血病
・血液内科病棟の2人部屋に緊急入院。
・同室の患者から「Aさんの香水の香りが強いので、つらい」と。
・看護師もその香りが気になった。
→基本的には、香水が身体に影響することは少ないが、それがストレスとなり不眠や食欲の減少、疲労感につながりかねない。できれば多様な国籍や文化が入り混じる病院であるため穏便に解決できるように努める。

1.× 同室の患者に別室への移動を勧める必要はない。なぜなら、訴えのあった同室の患者を一時的に移動するだけでは、次にAさんと同室になった患者も同じ訴えを起こす可能性があるため。したがって、Aさんに変化を起こさない限り、根本的な解決には至らない。
2.× Aさんに香水を洗い流すよう説明する優先度は低い。なぜなら、一方的な行動の指示に感じ取れ、患者との信頼関係の破綻につながるため。香水がいけない理由や根拠などを説明する必要がある。
3.× Aさんに香水の使用は、医師の許可が必要と説明する優先度は低い。なぜなら、香水の使用に医師の許可は必要なく、看護師が虚偽を述べていることになるため。
4.〇 正しい。Aさんに香りが本人および同室の患者の治療に及ぼす影響を説明する。基本的には、香水が身体に影響することは少ないが、それがストレスとなり不眠や食欲の減少、疲労感につながりかねない。できれば多様な国籍や文化が入り混じる病院であるため穏便に解決できるように努める。

 

 

 

 

 

次の文を読み118〜120の問いに答えよ。
 Aさん(20歳、女性、外国籍)は、6月に来日し、9月に大学に入学した。入学して1週後、Aさんは大学でめまいを起こして座り込み、同じ国から昨年留学生として来日した友人に付き添われ病院の内科外来を受診した。外来では多くの患者が受診を待っており、診察までに時間がかかっていた。Aさんは、日常会話程度の日本語が話せ「身体がだるくて立っていられません」と看護師に伝えた。

120 Aさんが入院したという知らせを受けて、Aさんの家族が来日し、病棟に見舞いに来た。Aさんの家族は、Aさんの身の回りの世話を泊まり込みで行うために、大量の私物を持ち込んでいる。
 看護師の対応で最も適切なのはどれか。

1.Aさんと家族が納得できる解決策を話し合う。
2.希望通りAさんの病室に泊まることを許可する。
3.日本では家族の泊まり込みはできないと説明する。
4.近隣のホテルに泊まって、日中のみ通うよう勧める。

解答1

解説

本症例のポイント

・家族:来日、見舞いに来た。
・家族:Aさんの身の回りの世話を泊まり込みで行うために、大量の私物を持ち込んでいる。
→家族は、泊まり込みを行う方針であるが、このまま泊まり込みを行った場合、同室の患者にも迷惑・ストレスとなってしまう。解決策としては、泊まり込みも可能な部屋に移動してもらうこと、泊まり込みを辞めてもらうことなどが考えられる。複数の解決策があり得る状況であるが、看護師は病院のシステムやAさんの治療について熟知しているため、まずはそれぞれの選択の利点・欠点を説明するなどして、Aさんと家族が納得できる解決策を得るために話し合うと良い。

1.〇 正しい。Aさんと家族が納得できる解決策を話し合う。複数の解決策があり得る状況であるが、看護師は病院のシステムやAさんの治療について熟知しているため、まずはそれぞれの選択の利点・欠点を説明するなどして、Aさんと家族が納得できる解決策を得るために話し合うと良い。
2.× 希望通りAさんの病室に泊まることを許可することはできない。なぜなら、同室の患者にも迷惑・ストレスとなってしまうため。また、病院によっては、家族分の泊まり込みの料金を請求するところもある。
3.× 日本では家族の泊まり込みはできないと説明することはできない。なぜなら、必要に応じて日本では家族の泊まり込みを許可している病院もあるため。つまり虚偽の発言となってしまう。
4.× 近隣のホテルに泊まって、日中のみ通うよう勧める優先度は低い。なぜなら、ほかにも解決策があげられるため。選択肢がこれだけしかないと、家族の反感も生みやすいため、まずは病院のシステムAさんの治療について説明し、そのうえでAさんと家族が納得できる解決策を出してもらうのが良い。

 

 

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。

 

問題引用:第106回保健師国家試験、第103回助産師国家試験、第109回看護師国家試験の問題および正答について

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