第108回(H31) 看護師国家試験 解説【午後31~35】

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31 自殺対策基本法で都道府県に義務付けられているのはどれか。

1.自殺総合対策推進センターの設置
2.自殺総合対策大綱の策定
3.ゲートキーパーの養成
4.自殺対策計画の策定

解答4

解説

自殺対策基本法とは?

自殺対策基本法は、①自殺の防止と②自殺者の親族などの支援の充実を図り、国民が健康で生きがいをもって暮らすことのできる社会の実現を目的としている。年間の日本における自殺者数が3万人を超えていた日本の状況に対処するため制定された法律である。2006年6月21日に公布、同年10月28日に施行された。主として厚生労働省が所管し、同省に特別の機関として設置される自殺総合対策会議が、「自殺対策の大綱」を定める。

1.× 自殺総合対策推進センターは、「都道府県」ではなく国立精神・神経医療研究センターに設置されている。自殺総合対策推進センターとは、全国の各地域センターが管内自治体に対し、地域自殺対策計画の策定・進捗管理、検証などについて効果的な支援が行えるよう様々なサポートをしている。平成28年(2016年)4月の『自殺対策基本法』改正により、自殺対策を推進する中核的存在である。
2.× 自殺総合対策大綱の策定は、「都道府県」ではなく厚生労働省が行う。自殺総合対策大綱は、自殺対策基本法に基づき、政府(厚生労働省)が推進すべき自殺対策の指針として,自殺総合対策大綱を定めなければならない。
3.× ゲートキーパーの養成は、「都道府県」ではなく市町村などが行う。ゲートキーパーの養成は、自殺総合対策大綱に含まれ、自殺総合対策における当面の重点施策である。ちなみに、ゲートキーパーとは、自殺の危険を示すサインに気づき、適切な対応(悩んでいる人に気づき、声をかけ、話を聞いて、必要な支援につなげ、見守る)を図ることができる人のことをいう。つまり、「命の門番」とも位置付けられる人のことである。 自殺対策では、悩んでいる人に寄り添い、関わりを通して「孤立・孤独」を防ぎ、支援することが重要である。
4.〇 正しい。自殺対策計画の策定は、自殺対策基本法で都道府県に義務付けられている。自殺対策基本法13条において、「(都道府県自殺対策計画等)都道府県は、自殺総合対策大綱及び地域の実情を勘案して、当該都道府県の区域内における自殺対策についての計画(次項及び次条において「都道府県自殺対策計画」という。)を定めるものとする」と規定されている(※引用:「自殺対策基本法」e-GOV法令検索様HPより)。ちなみに、自殺対策計画は区域内の自殺対策の計画を定めるものである。

自殺対策基本法12~14条

第二章 自殺総合対策大綱及び都道府県自殺対策計画等
(自殺総合対策大綱)
第十二条 政府は、政府が推進すべき自殺対策の指針として、基本的かつ総合的な自殺対策の大綱(次条及び第二十三条第二項第一号において「自殺総合対策大綱」という。)を定めなければならない。
都道府県自殺対策計画等
第十三条 都道府県は、自殺総合対策大綱及び地域の実情を勘案して、当該都道府県の区域内における自殺対策についての計画(次項及び次条において「都道府県自殺対策計画」という。)を定めるものとする。
2 市町村は、自殺総合対策大綱及び都道府県自殺対策計画並びに地域の実情を勘案して、当該市町村の区域内における自殺対策についての計画(次条において「市町村自殺対策計画」という。)を定めるものとする。
(都道府県及び市町村に対する交付金の交付)
第十四条 国は、都道府県自殺対策計画又は市町村自殺対策計画に基づいて当該地域の状況に応じた自殺対策のために必要な事業、その総合的かつ効果的な取組等を実施する都道府県又は市町村に対し、当該事業等の実施に要する経費に充てるため、推進される自殺対策の内容その他の事項を勘案して、厚生労働省令で定めるところにより、予算の範囲内で、交付金を交付することができる。(※引用:「自殺対策基本法」e-GOV法令検索様HPより)

 

 

 

 

 

32 ハヴィガースト,R.J.の発達課題に関する説明で適切なのはどれか。

1.成長に伴い発達課題は消失する。
2.各発達段階の発達課題は独立している。
3.身体面の変化と発達課題は無関係である。
4.発達課題の達成は個人の生活と関連する。

解答4

解説

ハヴィガースト.R.J.とは?

発達段階に対応する発達課題の概念を最初に提唱したとされるアメリカの教育学者である。ライフサイクルを6つの段階に分け、それぞれの時期において乗り越えなければならない代表的な課題を発達課題として示した。発達課題とは、「発達段階に対応する発達課題(能力・役割)」である。つまり、「発達課題とは人生の各段階の時期に生じる課題で、それを達成すれば人は幸福になり、次の発達段階の課題の達成も容易になるが、失敗した場合にはその人は不幸になり、社会から承認されず、次の発達段階の課題を成し遂げることが困難となる課題」とし、人間が健全で幸福な発達を遂げるために各発達段階で達成しておかなければならない課題を提唱した。

1.× 成長に伴い発達課題は、「消失する」のではなく存在する。ハヴィガースト.R.J.は、ライフサイクルを6つの段階に分け、それぞれの時期において乗り越えなければならない代表的な課題を発達課題として示している。老年期(高齢期)にも発達課題がある。
2.× 各発達段階の発達課題は、「独立」ではなく連結している。ハヴィガースト.R.J.は、「発達課題とは、人生の各段階の時期に生じる課題で、それを達成すれば人は幸福になり、次の発達段階の課題の達成も容易になるが、失敗した場合にはその人は不幸になり、社会から承認されず、次の発達段階の課題を成し遂げることが困難となる課題」と述べている。つまり、「各発達段階の発達課題の達成」により、次の段階への移行できる。
3.× 身体面の変化と発達課題は、「無関係」ではなく関係する。たとえば、青年期では、「 自己の身体構造を理解し、男性または女性としての役割を理解すること」が発達課題として説明されている。
4.〇 正しい。発達課題の達成は、個人の生活と関連する。たとえば、青年期では、「経済的独立に関する自信の確立」することが発達課題として説明されている。この達成により、「結婚と家庭生活の準備」に入る。したがって、個人の生活にも大いに関連していることがわかる。

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【13問】発達課題についての問題「まとめ・解説」

1.乳幼児期

(1) 歩行の学習
(2) 固形の食物をとることの学習
(3) 話すことの学習
(4) 大小便の排泄を統御することの学習(排泄習慣の自立)
(5) 性の相違及び性の慎みの学習
(6) 生理的安定の獲得
(7) 社会や事物についての単純な概念形成
(8) 両親、兄弟及び他人に自己を情緒的に結びつけることの学習
(9) 正・不正を区別することの学習と良心を発達させること

2.児童期

(1) 普通のゲーム(ボール遊び、水泳など)に必要な身体的技能の学習
(2) 成長する生活体としての自己に対する健全な態度の養成
(3) 同年齢の友達と仲良くすることの学習
(4) 男子または女子としての正しい役割の学習
(5) 読み、書き、計算の基礎的技能を発達させること
(6) 日常生活に必要な概念を発達させること
(7) 良心、道徳性、価値の尺度を発達させること(内面的な道徳の支配、道徳律に対する尊敬、合理的価値判断力を発達させること)
(8) 人格の独立性を達成すること(自立的な人間形成)
(9) 社会的集団ならびに諸機関に対する態度を発達させること(民主的な社会的態度の発達)

3.青年期

(1) 同年齢の男女両性との洗練された新しい関係
(2) 自己の身体構造を理解し、男性または女性としての役割を理解すること
(3) 両親や他の大人からの情緒的独立
(4) 経済的独立に関する自信の確立
(5) 職業の選択及び準備
(6) 結婚と家庭生活の準備
(7) 市民的資質に必要な知的技能と概念を発達させること(法律、政治機構、経済学、地理学、人間性、あるいは社会制度などの知識、民主主義の問題を処理するために必要な言語と合理的思考を発達させること)
(8) 社会的に責任のある行動を求め、かつ成し遂げること
(9) 行動の指針としての価値や論理の体系の学習、適切な科学的世界像と調和した良心的価値の確立(実現しうる価値体系をつくる。自己の世界観を持ち、他人と調和しつつ自分の価値体系を守る)

4.壮年初期

(1) 配偶者の選択
(2) 結婚相手との生活の学習
(3) 家庭生活の出発(第一子をもうけること)
(4) 子どもの養育
(5) 家庭の管理
(6) 就職
(7) 市民的責任の負担(家庭外の社会集団の福祉のために責任を負うこと)
(8) 適切な社会集団の発見

5.中年期

(1) 大人としての市民的社会的責任の達成
(2) 一定の経済的生活水準の確立と維持
(3) 十代の子どもたちが、信頼できる幸福な大人になれるよう援助すること
(4) 大人の余暇活動を充実すること
(5) 自分と自分の配偶者をひとりの人間として結びつけること
(6) 中年期の生理的変化を理解し、これに適応すること
(7) 老年の両親への適応

6.老年期(高齢期)

(1) 肉体的な強さと健康の衰退に適応すること
(2) 隠退と減少した収入に適応すること
(3) 配偶者の死に適応すること
(4) 自分と同年輩の老人たちと明るい親密な関係を確立すること
(5) 肉体的生活を満足におくれるよう準備態勢を確立すること

 

 

 

 

33 風疹の疑いがある入院患者の隔離予防策で適切なのはどれか。

1.標準予防策
2.標準予防策と接触感染予防策
3.標準予防策と飛沫感染予防策
4.標準予防策と空気感染予防策

解答3

解説

感染経路と感染症

感染には、①接触感染、②空気感染、③飛沫感染がある。

①接触感染(例:流行性角結膜炎、疥癬、ノロウイルス感染症など)
(1)直接接触感染:感染者の皮膚粘膜との直接接触による伝播・感染する。
(2)間接接触感染:感染者の微生物で汚染された衣類、周囲の器物、環境などとの接触による伝播・感染する。

飛沫感染(例:風疹、流行性耳下腺炎、 インフルエンザ、マイコプラズマ、百日咳など)
咳やくしゃみなどに伴って発生する飛沫(粒径5μm以上の粒子)が経気道的にヒトの粘膜に付着し感染する。飛散する範囲は1m以内であることが特徴。

③空気感染(例:結核、水痘、麻疹など)
飛沫核 (粒径5μm未満の粒子に付着した微生物)が長期間空中を浮遊し、これを吸い込むことで感染が伝播・感染する。

(※参考:「医療施設等における感染対策ガイドライン」厚生労働省様HPより)

1.× 標準予防策(スタンダードプリコーション:standard precautions)とは、院内感染の防止策として推奨されている方法である。感染の有無に関わらず入院患者すべてに適用される予防対策であり、患者の血液や体液、分泌、排泄されるすべての湿性物質、粘膜、創傷の皮膚などは感染の恐れがあるとみなして、対応、行動する方法である。今回は、感染症または感染の疑い(風疹)がある場合は、感染経路別予防策も加えて必要となる。
2.× 標準予防策と「接触」感染予防策は該当しない。接触感染の例として、流行性角結膜炎、疥癬、ノロウイルス感染症などがあげられる。①直接接触感染:感染者の皮膚粘膜との直接接触による伝播・感染する。②間接接触感染:感染者の微生物で汚染された衣類、周囲の器物、環境などとの接触による伝播・感染する。
3.〇 正しい。標準予防策と「飛沫」感染予防策は、風疹の疑いがある入院患者の隔離予防策である。風疹とは、風疹ウイルスに感染することで引き起こされる感染症である。俗に「三日ばしか」と呼ばれる。風疹ウイルスに感染してからおよそ2~3週間の潜伏期間を経て、発疹や発熱などの症状が現れる。ただし、症状がない、もしくは気付かないほど軽いこともある。一般的な症状として、発熱、皮膚の発疹、リンパ節の腫れ、関節痛などである。多くの場合、特別な治療をしなくても自然に治るため、症状を和らげる治療が行われるが、妊娠中に風疹にかかると赤ちゃんに悪影響が出ることもあるため、予防接種をすることがすすめられる。
4.× 標準予防策と「空気」感染予防策は該当しない。空気感染の例として、結核、水痘、麻疹などがあげられる。飛沫核 (粒径5μm未満の粒子に付着した微生物)が長期間空中を浮遊し、これを吸い込むことで感染が伝播・感染する。

 

 

 

 

 

34 死後の処置で適切なのはどれか。

1.枕は氷枕にする。
2.義歯を装着する。
3.肛門には青梅綿、脱脂綿の順で詰める。
4.和装の更衣の場合、襟は右前に合わせる。

解答2

解説

死後の処置が行われる目的

①死後に起こる身体的な変化を目立たないようにすること。
②死後に行われる儀式にむけて生前の姿に近づけること。
③患者の身体を清潔にし病原菌が飛散するのを防止すること。

1.× 枕は氷枕にする必要はない。なぜなら、より死斑が発生しやすく、かえって外見の悪化につながるため。ちなみに、死斑とは、死んだ人の皮膚に現れる、紫赤色あるいは紫青色の斑点のことを指す。血液が自重で沈降するために生じ、下側となった部分に死後2、30分から現れ、6~10時間後には全面に及ぶ。遺体が傷まないように部屋の温度を低めに設定して、主に胸部・腹部を冷やす。
2.〇 正しい。義歯を装着する。なぜなら、生前の姿に近づけるため。死後硬直は顎関節から始まり、体幹→上肢→下肢へと下方に広がっていく。筋肉が弛緩しているうちに装着しておく。また、時間が経つにつれ、開口してくるため、枕を高くすることも大切である。
3.× 逆である。肛門には「青梅綿、脱脂綿の順」ではなく「脱脂綿、青梅綿の順」で詰める。なぜなら、青梅綿は水分をはじき、脱脂綿は水分を吸収するという性質があるため。
4.× 和装の更衣の場合、襟は「右前」ではなく左前に合わせる(仏式の葬儀の場合、死者の和装)。また、ひもは縦結びにするのが習わしとなっている。

エンゼルケアとは?

エンゼルケアとは、死後に行う処置、保清、エンゼルメイクなどの全ての死後ケアのことで、逝去時ケアとも呼ばれる。病院であれば、患者が亡くなった後、お見送りするまでを含めていう。以前は、死後処置と呼ばれたこともある。エンジェルケアではないことに注意する。

 

 

 

 

35 嚥下障害を評価する改訂水飲みテストで正しいのはどれか。

1.嚥下後10秒間で評価する。
2.嚥下動作の準備期を評価する。
3.嚥下後の呼吸状態を評価する。
4.80mLの水の嚥下状況を評価する。

解答3

解説

改訂水飲みテストとは?

改訂水飲みテストとは、3mlの冷水を口腔内に入れて嚥下を行わせ、嚥下反射誘発の有無、むせ、呼吸の変化を評価する。嚥下あり、呼吸良好、むせない状態で、追加嚥下運動(空嚥下)が2回/30秒可能であれば、最高点数の5点である。

嚥下の過程

①先行期・・・飲食物の形や量、質などを認識する。
②準備期・・・口への取り込み。飲食物を噛み砕き、飲み込みやすい形状にする。
③口腔期・・・飲食物を口腔から咽頭に送り込む。
④咽頭期・・・飲食物を咽頭から食道に送り込む。
⑤食道期・・・飲食物を食道から胃に送り込む。

1.× 嚥下後10秒間で評価するという規定はない。改訂水飲みテストとは、3mlの冷水を口腔内に入れて嚥下を行わせ、嚥下反射誘発の有無、むせ、呼吸の変化を評価する。嚥下あり、呼吸良好、むせない状態で、追加嚥下運動(空嚥下)が2回/30秒可能であれば、最高点数の5点である。
2.× 嚥下動作の「準備期」ではなく口腔期~食道期を評価する。ちなみに、準備期とは、口への取り込み、飲食物を噛み砕き、飲み込みやすい形状にする時期である。
3.〇 正しい。嚥下後の呼吸状態を評価する。改訂水飲みテストとは、3mlの冷水を口腔内に入れて嚥下を行わせ、嚥下反射誘発の有無、むせ、呼吸の変化を評価する。嚥下あり、呼吸良好、むせない状態で、追加嚥下運動(空嚥下)が2回/30秒可能であれば、最高点数の5点である。
4.× 「80mL」ではなく、3mLの水の嚥下状況を評価する。

反復唾液嚥下テストとは?

反復唾液嚥下テストとは、30秒間の空嚥下を実施してもらい、嚥下反射の随意的な能力を評価する。3回/30秒以上から嚥下の反復ができれば正常である。

詳しい説明:検査者は中指で、被検者の「喉仏」を軽く押さえた状態のまま、30秒間唾液を飲み続け、連続して飲み込みができるか(嚥下反射が起きるか)を確認する。喉仏が中指をしっかりと乗り越えた場合のみを有効としてカウントし、3回/30秒以上であれば正常、3回/30秒未満の場合は嚥下機能に障害がある可能性がある。

 

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