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31 てんかん合併妊娠について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.妊娠によって、てんかん発作の頻度は減少する。
2.妊娠中は抗てんかん薬の血中濃度を測定する。
3.妊娠中期から葉酸を補充する。
4.妊娠末期に母体にビタミンKを投与する。
5.分娩様式は帝王切開術となる。
解答:なし
※理由:現在の知見では②のみが正しく、「2つ選べ」を満たさないため解答なしとなっている(※参考:「第109回-表1出題問題の検討.pdf」)。
解説
てんかん合併妊娠とは、てんかんをもつ女性が妊娠している状態である。妊娠中は循環血液量や薬物代謝・排泄の変化により、抗てんかん薬の血中濃度が低下することがあるため、必要に応じて血中濃度を測定し、発作を予防することが重要である。葉酸は胎児の神経管閉鎖障害の予防を目的として妊娠前から補充することが望ましい。てんかんがあるだけで帝王切開の適応とはならず、多くは経腟分娩が可能である。母体への妊娠末期のビタミンK投与は現在、一律には推奨されていない。
1.× 必ずしも、妊娠によって、てんかん発作の頻度は減少する「とはいえない」。なぜなら、妊娠中の発作頻度は「減少・増加・不変」のいずれもあり得るため。日本産婦人科医会では、妊娠前と同じ抗てんかん薬を服用していても、発作頻度は「減少:7〜25%、増加:20〜33%、不変:50〜83%」とされている(※参考:「(1)てんかん合併妊娠の問題点」日本産婦人科医会様HPより)。
2.〇 正しい。妊娠中は、抗てんかん薬の血中濃度を測定する。なぜなら、妊娠により抗てんかん薬の血中濃度が変化し、発作抑制効果や副作用に影響するため。
3.× 「妊娠中期」ではなく妊娠前(非妊時)から葉酸(0.4㎎/日程度)を補充する。なぜなら、葉酸が予防に関与する神経管閉鎖障害は妊娠初期に発生するため。
・神経管閉鎖障害とは、脳、脊椎、脊髄に生じる先天異常の一種で、二分脊椎、脳瘤、無脳症などである。二分脊椎とは、神経管閉鎖障害のうち腰仙部の脊髄・脊椎・皮膚などにみられる先天奇形であり、特に脊髄髄膜瘤では約90%に水頭症、ほぼ前例にChiariⅡ型奇形(小脳扁桃、小脳中部下部、延髄、第4脳室が大孔を通って頸椎管内へ下降変位したもの。第2頚髄を越えて陥入することが多い)を合併する。二分脊椎症には①開放性(表面からはっきりわかるもの)と②潜在性(わかりにくいもの)がある。前者には脊髄披裂あるいは脊髄髄膜瘤などが含まれる。
4.△ 妊娠末期に母体にビタミンKを投与する「ことは、現在は推奨されていない(エビデ
ンスが明確でないとして削除された経緯がある)」。現在は出生後の新生児へのビタミン K 投与が標準化されている。
5.× 必ずしも、分娩様式は帝王切開術となる「とはいえない」。なぜなら、多くのてんかん合併妊婦は、通常の経腟分娩が可能(90%以上は通常の出産が可能)であり、てんかん自体は帝王切開の適応ではないため。
32 分娩時の努責について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.破水前に努責がかかることは少ない。
2.児頭の最大周囲が娩出する時は努責を継続する。
3.子宮口全開大前に努責がかかる場合は深呼吸を促す。
4.分娩時の努責は子宮の平滑筋の収縮によって起きる。
5.胎児娩出直前に腹圧の抑制がきかない状態を共圧陣痛と呼ぶ。
解答3・5
解説
分娩時の努責とは、胎児を産道から押し出すために、妊婦が腹筋や横隔膜を収縮させて腹圧を高める動作である。子宮口が全開大となり、児頭が下降して骨盤底や直腸を圧迫すると、反射的に「いきみたい」という感覚が生じる。子宮収縮に努責が加わることで胎児の娩出が促進される。子宮口全開大前は頸管損傷などを防ぐため、深呼吸などで努責を逃すことが重要である。
1.× 破水前に努責がかかること「が多い(少なくない)」。なぜなら、破水の有無と努責の発生は直接関係しないため。卵膜がまだ破れていなくても胎児が十分に下降すれば努責は起こる。破水前でも子宮収縮の圧力は羊水を介して胎児や産道に伝わるため、努責がかかることは少なくない。
2.× 児頭の最大周囲が娩出する時は、努責を継続する「必要はない」。なぜなら、児頭最大周囲の娩出時に強くいきむと、急速な娩出により会陰裂傷や児への負担が増えやすいため。児頭の最大周囲が通過する時期は、会陰が最も伸展される時期である。このタイミングでは、助産師・医師は会陰保護を行いながら、産婦に短促呼吸、つまり「ハッ、ハッ、ハッ」などの浅く短い呼吸を促し、努責を逃がす。
3.〇 正しい。子宮口全開大前に努責がかかる場合は、「深呼吸」を促す。なぜなら、子宮口全開大前に強く努責すると、頸管裂傷や子宮口浮腫を起こし、分娩進行を妨げるため。子宮口が全開大していない段階でいきむと、まだ十分に開いていない子宮頸管に児頭が強く押しつけられる。その結果、子宮口がむくむ、裂傷を起こす、産婦が疲労するなどのリスクとなる。
4.× 分娩時の努責は、「子宮の平滑筋」ではなく腹壁筋(腹直筋など)や横隔膜の収縮によって起きる。つまり、腹腔内圧が上昇する現象である。ちなみに、子宮の平滑筋収縮は「陣痛」である。
5.〇 正しい。胎児娩出直前に腹圧の抑制がきかない状態を「共圧陣痛」と呼ぶ。共圧陣痛とは、基本的には正常な生理的反応で、分娩が進んで胎児の頭が骨盤底や直腸を強く圧迫すると、陣痛に合わせて反射的に腹圧が加わり、自分では抑えにくい強い「いきみ」が生じるものを指す。
一方、異常な強すぎる陣痛は、過強陣痛という。過強陣痛とは、子宮口が十分に開いていないのに分娩直前の陣痛が過剰に強く起きる事をさす。子宮の収縮が非常に強く長く続くのが特徴で、定義として、子宮口7cmの過強陣痛(外側法)は、2分以上の陣痛持続時間の場合をいう。
【分娩第1期】
陣痛の開始から、子宮口(子宮頸部)が完全に開く(全開大、約10cm)までの期間を指す。
・分娩第1期
「①潜伏期」と「②活動期」に分けられる。
①潜伏期:陣痛がリズミカルになり、子宮頸部が薄くなり4cmほど開いた状態まで(初産婦で12時間・経産婦で5時間程度かかる)の時期を示す。
②活動期:子宮口が4センチから10cm(全開)に開き、胎児の一部が胎盤内に降りてくる(初産婦で3時間・経産婦で2時間程度かかる)。いきみたくなって来る段階である。
・分娩第2期:赤ちゃんが産道を通っている間
子宮口が完全に開大してから胎児を娩出するまでの期間を指す。この段階は初産婦では平均45~60分間、経産婦では15~30分間続く。
・分娩第3期:「後産」の時期
胎児を娩出してから胎盤を娩出するまでの期間である。この段階は数分間で終わるのが普通であるが、最大30分ほど続くこともある。
33 Aさん(28歳、経産婦)はオキシトシン点滴静脈内注射を使用し、体重3,000gの児を正常分娩で出産した。分娩所要時間は12時間、会陰裂傷はⅠ度で縫合せず、産道損傷はない。分娩時出血量は400mLだった。分娩後1時間のバイタルサインは異常所見なく、出血量30mL、子宮底は臍下1横指であった。分娩後2時間のバイタルサインは異常所見なく、出血量50mLであり、子宮底は臍下1横指で硬度は輪状マッサージにて良好であった。尿意はなく、膀胱充満をわずかに触知した。
このときのAさんへの助産師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
1.内診を行う。
2.トイレ歩行を促す。
3.1時間後に出血量を観察する。
4.飲食を控えるように説明する。
5.点滴静脈内留置針を抜去する。
解答2・3
解説
・Aさん(28歳、経産婦)
・オキシトシン点滴静脈内注射:体重3,000gの児を正常分娩で出産。
・分娩所要時間:12時間、会陰裂傷:Ⅰ度で縫合せず、産道損傷はない。
・分娩時出血量:400mL。
・分娩後1時間:異常所見なく、出血量30mL、子宮底は臍下1横指。
・分娩後2時間:異常所見なく、出血量50mL、子宮底は臍下1横指で硬度は輪状マッサージにて良好。
・尿意はなく、膀胱充満をわずかに触知した。
→ほかの選択肢が消去できる理由を挙げられるようにしよう。
1.× 内診を行うより優先されるものが他にある。なぜなら、内診が必要な産道損傷や血腫を疑う所見が乏しいため。産道損傷による出血では、子宮収縮が良好なのに鮮血性出血が持続する、血腫による強い会陰部痛や腟内圧迫感がある、バイタルサインが悪化するなどがみられる場合、医師に報告し、内診が必要である。
2.〇 正しい。トイレ歩行を促す。なぜなら、本症例に、「尿意はない」が膀胱充満をわずかに触知されているため。膀胱充満は、子宮収縮を妨げ、子宮復古不全や産後出血の原因になり得る。自然排尿を促すため、産後の排尿援助では、歩行可能でバイタルサインが安定していればトイレ歩行を促す。
3.〇 正しい。1時間後に出血量を観察する。なぜなら、Aさんはバイタルサインが安定している一方で、出血量が合計480mL(約500mL)と、出血増加の有無を経時的に確認する必要があるため。分娩後の異常出血は、経腟分娩では500mLを超える失血が一つの目安である。例えば、今後、出血がさらに増える、子宮が軟らかい、脈拍が増える、血圧が下がる場合は、弛緩出血などを疑って速やかな報告・対応が必要である。
4.× 飲食を控えるように説明する「必要はない」。なぜなら、Aさんは、正常分娩後でバイタルサインも安定しており、緊急手術や全身麻酔を前提とする状況ではないため。むしろ、産後は分娩による体力消耗があり、水分・栄養補給は回復や排尿促進のためにも重要である。
5.× 点滴静脈内留置針を抜去する「のは時期尚早である」。なぜなら、出血量が合計480mLと多めで、追加出血や子宮収縮不良への対応に静脈路が必要になる可能性があるため。本症例は、オキシトシン点滴静脈内注射を使用している。産後出血が増えた場合には、子宮収縮薬、輸液、採血、緊急対応のために静脈路を確保しておくことが安全である。
・オキシトシン点滴静脈内注射とは、分娩誘発、微弱陣痛、弛緩出血、胎盤娩出前後、子宮復古不全、流産、人工妊娠中絶などが適応として用いられる。
34 母子及び父子並びに寡婦福祉法に基づくひとり親家庭への支援で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.就業支援
2.生活扶助
3.不妊治療助成
4.保育所の優先入所
5.母性健康管理指導事項連絡カードの使用
解答1・4
解説
母子及び父子並びに寡婦福祉法とは、母子家庭等や寡婦に対する福祉資金の貸付け・就業支援事業等の実施・自立支援給付金の給付などの支援措置について定める日本の法律である。
1.〇 正しい。就業支援は、母子及び父子並びに寡婦福祉法に基づくひとり親家庭への支援に該当する(母子家庭就業支援事業等:第三十条)。なぜなら、ひとり親家庭の自立には、安定した就労と収入確保が重要であるため。
2.× 生活扶助は、生活保護法に基づく扶助である。
・生活保護法とは、『日本国憲法』25条の理念に基づき、生活困窮者を対象に、国の責任において、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長することを目的としている。8つの扶助(生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助)があり、原則現金給付であるが、医療扶助と介護扶助は現物給付である。
3.× 不妊治療助成は、母子及び父子並びに寡婦福祉法に基づくひとり親家庭への支援に該当しない。なぜなら、不妊治療助成は妊娠を希望する夫婦等への支援であり、ひとり親家庭の生活安定・自立支援とは目的が異なるため。
4.〇 正しい。保育所の優先入所は、母子及び父子並びに寡婦福祉法に基づくひとり親家庭への支援に該当する(特定教育・保育施設の利用等に関する特別の配慮:第二十八条)。なぜなら、ひとり親家庭では、保育サービスの確保が就労継続と生活安定に直結するため。
5.× 母性健康管理指導事項連絡カードの使用は、男女雇用機会均等法(第13条)に規定されている。これは、妊娠中や出産後の女性労働者が医師等から指導を受けた際に、その内容を事業主に的確に伝えるためのツールであり、法的な義務付けがある。
・男女雇用機会均等法の第十三条には「事業主は、その雇用する女性労働者が前条の保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするため、勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置を講じなければならない」と記載されている(※「男女雇用機会均等法」e-GOV法令検索様HPより)。
母性健康管理指導事項連絡カードとは、妊娠中および出産後の女性従業員が、病院やクリニックから指導を受けた内容を適切に事業主に伝達するための書類で、通称「母健連絡カード」と呼ばれる。母性健康管理指導事項連絡カードの記載は、助産師(もくしは医師も)が行える。
35 産科病棟で提供している授乳支援の成果を評価するための指標で適切なのはどれか。2つ選べ。
1.ケア計画の内容
2.褥婦のケア満足度
3.乳房トラブルの件数
4.ケアの判断過程の妥当性
5.助産師1人が担当する褥婦の数
解答2・3
解説
1.× ケア計画の内容は、成果指標ではなく過程指標(プロセス)である。ケア計画の内容は、支援を行う前または支援中の「計画・過程」に関する指標である。つまり、授乳支援の成果を評価するには、支援を受けた褥婦や児にどのような変化が生じたかをみる必要がある。
2.〇 正しい。褥婦のケア満足度は、産科病棟で提供している授乳支援の成果を評価するための指標に該当する。なぜなら、ケア満足度は、授乳支援を受けた褥婦が支援をどのように受け止めたかを示すアウトカムであるため。
3.〇 正しい。乳房トラブルの件数は、産科病棟で提供している授乳支援の成果を評価するための指標に該当する。なぜなら、乳房トラブルの発生状況は、授乳支援が適切に行われたかを反映する具体的なアウトカムであるため。
4.× ケアの判断過程の妥当性は、成果指標ではなく過程指標(プロセス)である。判断過程の妥当性は、助産師がどのようにアセスメントし、どのようにケアを選択したかを評価するものである。評価の枠組みでは、判断過程はプロセス、つまりケアの実施過程にあたる。
5.× 助産師1人が担当する褥婦の数は、成果指標ではなく構造指標(ストラクチャー)である。
・構造指標とは、人員配置、設備、物品、病棟体制など、ケアを提供する環境や資源を評価する指標である。
①ストラクチャー評価(企画評価):事業を実施するための仕組みや体制を評価するもの。
例:マンパワー、予算、会場の状況、関係機関との連携体制 等。
②プロセス評価(実施評価):事業の手順や実施過程、活動状況の妥当性を評価するもの。
例:事業参加者の募集方法、健康診査の従事者数・受診者数,事業の実施内容等。
③アウトプット評価:事業実施過程と参加状況などから直接生じた結果(数や量)を評価するもの。
④アウトカム評価(成果評価):事業の目的を達成したかどうかの最終的な成果を判断するもの。
例:参加者の6か月後のBMI値、糖尿病の治療継続者の割合、腹囲の減少率、参加者の運動回数 等。
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