第109回(R2) 看護師国家試験 解説【午後76~80】

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76 朝9時に大規模地震が発生した。病棟の患者と職員の安全は確認できた。病棟内の壁や天井に破損はなかったが、病院は、停電によって自家発電装置が作動した。
 病棟の看護師長が行う対応で適切なのはどれか。

1.災害対策本部を設置する。
2.災害時マニュアルを整備する。
3.隣接する病棟に支援を要請する。
4.スタッフに避難経路の安全確認を指示する。

解答4

解説

ポイント

・朝9時に大規模地震が発生した。
・病棟の患者と職員の安全は確認できた。
・病棟内の壁や天井に破損はなかった。
・病院は、停電によって自家発電装置が作動した。
→災害発生時の対応として、「災害医療の7つのポイント CSCATTT」があげられる。CSCATTT とは、災害時の組織体制と医療支援の7つの原則の頭文字をとった言葉である。組織体制のCSCAとは、Command and Control(指揮・統制)、Safety(安全)、Communication(情報伝達)、Assessment(評価)の頭文字である。医療支援のTTTとは、Triage(トリアージ)、Treatment(治療)、Transport(搬送)である。

1.× 災害対策本部を設置するのは、「病棟の看護師長」ではなく都道府県知事または市町村長が行う。災害対策本部は、災害が発生、または災害が発生するおそれがある都道府県知事または市町村長が設置する。『災害対策基本法』の23条において定められている。(※参考:「災害対策基本法」e-GOV法令検索様HPより)
2.× 災害時マニュアルを整備するのは、「災害後」ではなく災害前である。ちなみに、災害前に行うこととして、①災害時地域応急体制の樹立、②避難行動要支援者のリスト化、③災害対策マニュアル作成、④生活用品・防災用品の備蓄、⑤避難場所、災害時の連絡方法の確認、⑥住民の自助・共助の支援、⑦近隣ボランティアの育成、⑧防災訓練、⑨災害時対応のための研修、⑩関係機関との定期的な連絡会議などである。
3.× 支援を要請する場合、「隣接する病棟」ではなく災害対策本部に行う。なぜなら、各病棟の看護師長が、隣接する病棟へ支援を要請した場合、指示系統が雑乱としてしまうため。
4.〇 正しい。スタッフに避難経路の安全確認を指示するのは、病棟の看護師長が行う対応である。組織体制のCSCAのSafety(安全)に該当する。これは、①自分自身の安全、②職場の安全、③スタッフ・患者・面会者の安全が含まれる。したがって、いつでも避難を開始できる経路を確認しておく必要がある。

 

 

 

 

 

77 Aさん(28歳、男性)。海外出張で訪れたアフリカ地域から帰国後1週に39℃の発熱と解熱を繰り返すため外来を受診した。腹部症状は特にない。
 予測される感染症はどれか。

1.マラリア
2.コレラ
3.赤痢
4.破傷風

解答1

解説

本症例のポイント

・Aさん(28歳、男性)
・アフリカ地域から帰国後1週:39℃の発熱と解熱を繰り返す。
・腹部症状は特にない。

1.〇 正しい。マラリアが予測される感染症である。マラリアとは、世界の三大感染症に入り、マラリア原虫という寄生虫で引き起こされる疾患で、マラリア原虫が感染した蚊に刺されることで伝搬される。刺されてから発症するのは1週間位後で、はじめは発熱や頭痛、そして寒気や吐き気といった風邪に似た症状が多い。したがって、マラリアだと気づきにくいのが特徴である。その後、脳症や、じん臓・肝臓の機能障害、重症貧血といった合併症で死に至る危険がある。ちなみに、三日熱マラリアは、48時間おき、4日熱マラリアでは72時間おきの発熱が特徴である。
2.× コレラとは、コレラ菌に汚染された水や食物を摂取することにより感染する疾患である。潜伏期間は、12時間〜5日で、小腸で増殖し、腸毒素(コレラ毒素)を放出する。症状は、下痢・嘔吐、それらに伴う脱水症状を生じる。
3.× 赤痢とは、赤痢菌に汚染された水や食物を摂取することにより感染する疾患である。潜伏期間は、通常1~3日であり、症状は、発熱とともに腹痛や下痢が初発し、その後しぶり腹(テネスムス)、頻回の膿粘血便、膿性下痢便などがみられる。近年では重症例は少なく、数回の下痢や軽度の発熱で経過する事例が多い。
4.× 破傷風とは、破傷風菌により発生し、主に傷口に菌が入り込んで感染を起こし毒素を通して、さまざまな神経に作用する。感染して3日から3週間からの症状のない期間があった後、口を開けにくい、首筋が張る、体が痛いなどの症状があらわれる。その後、体のしびれや痛みが体全体に広がり、全身を弓なりに反らせる姿勢や呼吸困難が現れたのちに死亡する。

 

 

 

 

78 看護師の特定行為で正しいのはどれか。

1.診療の補助である。
2.医師法に基づいている。
3.手順書は看護師が作成する。
4.特定行為を指示する者に歯科医師は含まれない。

解答1

解説

特定行為とは?

特定行為とは、高度な技能と知識を必要とされる診療の補助行為のことを指す。診療の補助であり、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされる行為のことである。

1.〇 正しい。看護師の特定行為は、診療の補助である。特定行為とは、高度な技能と知識を必要とされる診療の補助行為のことを指す。診療の補助であり、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされる行為のことである。
2.× 医師法ではなく、『保健師助産師看護師法』に基づいている。医師法とは、医師全般の職務・資格などを規定する日本の法律である。つまり、一般人には禁止されている医療行為を、医師という有資格者に限って許可する法律である。
3.× 手順書は、「看護師」ではなく医師または歯科医師が作成する。これは、保健師助産師看護師法第3条(手順書)「手順書は、医師又は歯科医師が看護師に診療の補助を行わせるためにその指示として作成するものとする」と記載されている(※一部引用:「保健師助産師看護師法」e-GOV法令検索様HPより)
4.× 特定行為を指示する者に、歯科医師も含まれる。これは、保健師助産師看護師法第3条(手順書)「手順書は、医師又は歯科医師が看護師に診療の補助を行わせるためにその指示として作成するものとする」と記載されている(※一部引用:「保健師助産師看護師法」e-GOV法令検索様HPより)

特定行為一覧

一 経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整
二 侵襲的陽圧換気の設定の変更
三 非侵襲的陽圧換気の設定の変更
四 人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整
五 人工呼吸器からの離脱
六 気管カニューレの交換
七 一時的ペースメーカの操作及び管理
八 一時的ペースメーカリードの抜去
九 経皮的心肺補助装置の操作及び管理
十 大動脈内バルーンパンピングからの離脱を行うときの補助の頻度の調整
十一 心嚢ドレーンの抜去
十二 低圧胸腔内持続吸引器の吸引圧の設定及びその変更
十三 胸腔ドレーンの抜去
十四 腹腔ドレーンの抜去(腹腔内に留置された穿刺針の抜針を含む。)
十五 胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換
十六 膀胱ろうカテーテルの交換
十七 中心静脈カテーテルの抜去
十八 末梢留置型中心静脈注射用カテーテルの挿入
十九 褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去
二十 創傷に対する陰圧閉鎖療法
二十一 創部ドレーンの抜去
二十二 直接動脈穿刺法による採血
二十三 橈骨動脈ラインの確保
二十四 急性血液浄化療法における血液透析器又は血液透析濾過器の操作及び管理
二十五 持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整
二十六 脱水症状に対する輸液による補正
二十七 感染徴候がある者に対する薬剤の臨時の投与
二十八 インスリンの投与量の調整
二十九 硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整
三十 持続点滴中のカテコラミンの投与量の調整
三十一 持続点滴中のナトリウム、カリウム又はクロールの投与量の調整
三十二 持続点滴中の降圧剤の投与量の調整
三十三 持続点滴中の糖質輸液又は電解質輸液の投与量の調整
三十四 持続点滴中の利尿剤の投与量の調整
三十五 抗けいれん剤の臨時の投与
三十六 抗精神病薬の臨時の投与
三十七 抗不安薬の臨時の投与
三十八 抗癌剤その他の薬剤が血管外に漏出したときのステロイド薬の局所注射及び投与量の調整

(※引用:「保健師助産師看護師法」e-GOV法令検索様HPより)

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【5問】特定行為/医療行為についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

79 ( )の組織を還流した血液は心臓に戻る前に肝臓を通過する。
 ( )に入るのはどれか。

1.舌
2.食道
3.小腸
4.腎臓
5.下肢

解答3

解説

(※図引用:「看護師イラスト集」看護roo!様HPより)

門脈とは?

門脈は、だいたいの消化管から得られた栄養を肝臓へと運ぶ働きを持つ機能血管である。胃、腸、膵臓、脾臓、胆嚢の毛細管から静脈血を集める。

1.× 舌(舌静脈)を循環した血液は、上大静脈心臓に至る。
2.× 食道を循環した血液は、奇静脈上大静脈心臓に至る。
3.〇 正しい。小腸を循環した血液は、門脈から肝臓に流入し、肝静脈から下大静脈を経て心臓に至る。
4.× 腎臓を循環した血液は、腎静脈下大静脈を経て心臓に至る。
5.× 下肢を循環した血液は、外腸骨静脈総腸骨静脈下大静脈心臓に至る。

 

 

 

 

80 「安静時呼吸」、「深呼吸」、「徐々に深くなっていく呼吸」に伴う肺容量の変化を図に示す。
 肺活量を示すのはどれか。

1.①
2.②
3.③
4.④
5.⑤

解答5

解説

1.× ①は、残気量である。残気量とは、最大に呼出させた後、なおも肺内に残っている空気量のことをいう。
2.× ②は、最大吸気量である。最大吸気量とは、安静に呼気した状態から深呼吸する際に吸った空気の量である。最大吸気量 = 1回換気量 + 予備吸気量で表せる。
3.× ③は、機能的残気量である。機能的残気量とは、安静時に呼気した状態からさらに吐き出すことのできる空気の量(予備呼気量)と残気量を合わせたものである。
4.× ④は、全肺気量である。肺活量と残気量の合計が全肺気量である。 
5.〇 正しい。⑤は、肺活量である。肺活量とは、[最大吸気量 + 予備呼気量]のことをいう。つまり、限界まで吸い、限界まで吐いたときの空気の量である。

 

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