第109回(R2) 看護師国家試験 解説【午前96~100】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

次の文を読み94〜96の問いに答えよ。
 Aさん(56歳、男性、会社員)は、デスクワークが多い仕事をしている。40歳時の会社の健康診断で2型糖尿病と診断され、紹介されたクリニックで血糖降下薬を処方されて内服を継続していた。50歳ころから視力の低下と持続性蛋白尿を指摘され、腎臓内科を受診し食事指導を受けた。しかし、仕事が忙しく食事指導の内容を守れていなかった。1年前から、足のしびれが出現するようになった。

96 Aさんは、緊急血液透析によって全身状態が改善した。その後、シャント造設術を受け、週3回の血液透析となり、退院後は職場に近いクリニックで維持血液透析を受けることが決定した。Aさんから、退院後の生活について「仕事に復帰予定ですが、医療費の支払いが心配です」と発言があった。
 維持血液透析により身体障害者手帳を取得したAさんが利用できる医療費助成制度はどれか。

1.医療扶助
2.自立支援医療
3.訪問看護療養費
4.認定疾病に対する医療の給付

解答2

解説

本症例のポイント

・緊急血液透析:全身状態改善。
・その後:シャント造設術、血液透析(週3回)
・退院後:維持血液透析を受ける。
・Aさん「仕事に復帰予定ですが、医療費の支払いが心配です」と。
→本症例は、医療費の支払いを心配している。もともと仕事をしており、仕事に復帰予定であることから選択肢を絞っていく。身体障害者手帳をもっているAさんの場合、腎臓機能障害に対する人工透析が更生医療の対象となる。更生医療(自立支援医療)とは、身体障害者が日常生活、職業生活により適合するために、身体の機能障害を軽減または改善するための医療に関する助成制度のことである。

1.× 医療扶助とは、生活保護の一種で、困窮のため最低限度の生活ができない人に対して、原則として現物で医療を提供するものである。生活保護制度とは、『日本国憲法』25条の理念に基づき、生活困窮者を対象に、国の責任において、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長することを目的としている。8つの扶助(生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助)があり、原則現金給付であるが、医療扶助と介護扶助は現物給付である。
2.〇 正しい。自立支援医療が、維持血液透析により身体障害者手帳を取得したAさんが利用できる医療費助成制度である。自立支援医療とは、『障害者総合支援法』に定められている。障害者総合支援法とは、障害者と障害児を対象とした障害保健福祉施策についてまとめられた法律である。これにより障害者の範囲が拡大され、身体障害者、精神障害者、知的障害者、障害児の全てが対象とされている。そして、対象となっている者は、認定調査というものを受け「障害支援区分」という障害の重症度分類によって7区分(非該当、区分1~6)に分けられる。それにより受けられるサービス内容が変わってくる。①更生医療(自立支援医療)、②育成医療(軽減する手術等の治療によって確実に効果が期待できる者に対して提供される、生活の能力を得るために必要な自立支援医療費の支給を行うもの)、③精神通院医療(精神疾患の治療に掛かる医療費を軽減する公的な制度)、④育成医療(障害児の身体障害を除去、軽減する手術等の治療によって確実に効果が期待できる者に対して提供される)がある。
3.× 訪問看護療養費とは、『健康保険法』等を根拠に、日本の公的医療保険において、被保険者が受けた訪問看護について保険給付を行うものである。本症例は自ら通院できる状態にある。ちなみに、健康保険法とは、労働者及びその被扶養者の業務災害以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関する医療保険給付等について定めた日本の法律である。
4.× 認定疾病に対する医療の給付とは、『原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律』によるもので、広島・長崎に投下された原子爆弾の被爆者の支援を目的とするものである。認定疾病に対する医療の給付は、厚生労働大臣の認定をうけた人は、その認定をうけた病気やけがについて、厚生労働大臣の指定した医療機関等で、全額国費をもって医療をうけることができる。なお、この場合には、認定書と被爆者健康手帳をもって行かなければならない(※参考:「医療の給付」厚生労働省HPより)。

生活保護制度とは?

生活保護制度は、『日本国憲法』25条の理念に基づき、生活困窮者を対象に、国の責任において、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長することを目的としている。8つの扶助(生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助)があり、原則現金給付であるが、医療扶助と介護扶助は現物給付である。被保護人員は約216.4万人(平成27年度,1か月平均)で過去最高となっている。

生活扶助:日常生活に必要な費用
住宅扶助:アパート等の家賃
教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費
医療扶助:医療サービスの費用
介護扶助:介護サービスの費用
出産扶助:出産費用
生業扶助:就労に必要な技能の修得等にかかる費用
葬祭扶助:葬祭費用

【生活保護法の4つの基本原理】
①国家責任の原理:法の目的を定めた最も根本的原理で、憲法第25条の生存権を実現する為、国がその責任を持って生活に困窮する国民の保護を行う。
②無差別平等の原理:全ての国民は、この法に定める要件を満たす限り、生活困窮に陥った理由や社会的身分等に関わらず無差別平等に保護を受給できる。また、現時点の経済的状態に着目して保護が実施される。
③最低生活の原理:法で保障する最低生活水準について、健康で文化的な最低限度の生活を維持できるものを保障する。
④保護の補足性の原理:保護を受ける側、つまり国民に要請される原理で、各自が持てる能力や資産、他法や他施策といったあらゆるものを活用し、最善の努力をしても最低生活が維持できない場合に初めて生活保護制度を活用できる。

【4つの原則】
①申請保護の原則:保護を受けるためには必ず申請手続きを要し、本人や扶養義務者、親族等による申請に基づいて保護が開始。
②基準及び程度の原則:保護は最低限度の生活基準を超えない枠で行われ、厚生労働大臣の定める保護基準により測定した要保護者の需要を基とし、その不足分を補う程度の保護が行われる。
③必要即応の原則:要保護者の年齢や性別、健康状態等その個人又は世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効且つ適切に行われる。
④世帯単位の原則:世帯を単位として保護の要否及び程度が定められる。また、特別な事情がある場合は世帯分離を行い個人を世帯の単位として定めることもできる。

(※参考:「生活保護制度」厚生労働省HPより)
(※参考:「生活保護法の基本原理と基本原則」室蘭市HPより)

 

 

 

 

次の文を読み97〜99の問いに答えよ。
 Aさん(81歳、男性)は、妻(73歳)と2人暮らし。自宅でのADLは自立し、認知機能に障害はない。
 Aさんは食欲不振と腹部不快感、微熱を主訴に受診したところ、急性胆囊炎と診断され、その日のうちに入院した。Aさんのバイタルサインは、体温37.3℃、呼吸数22/分、脈拍90/分、血圧136/84mmHg。入院後は絶飲食の指示があり、持続点滴静脈内注射と抗菌薬の投与が開始された。トイレ歩行の許可は出ている。

97 Aさんの病室環境で適切なのはどれか。

1.座った時に膝関節が90度になる高さにベッドを調整する。
2.点滴スタンドをベッドに固定する。
3.ポータブルトイレを設置する。
4.離床センサーを設置する。

解答1

解説

本症例のポイント

・Aさん(81歳、男性、急性胆囊炎
・2人暮らし:妻(73歳)
ADL:自立、認知機能障害なし
・食欲不振と腹部不快感、微熱を主訴に入院。
・体温37.3℃、呼吸数22/分、脈拍90/分、血圧136/84mmHg。
・入院後:絶飲食の指示、持続点滴静脈内注射と抗菌薬の投与開始。
トイレ歩行の許可:出ている
→本症例は、急性胆嚢炎である。急性胆嚢炎とは、胆のうに炎症が生じた状態である。 胆のうがむくんで腫れ、炎症の進行とともに胆のうの壁が壊死していく。 症状は、初期には上腹部の不快感や鈍痛で、炎症の進行とともに右季肋部痛(右の肋骨の下あたり)になり、次第に激痛になる。原因の90%は、胆のうの中の胆石が胆嚢の出口に詰まることである。胆石は、脂質の多い食生活でみられやすい。

1.〇 正しい。座った時に膝関節が90度になる高さにベッドを調整する。なぜなら、転倒を予防するため。足底が床に着くようにする。
2~3.× 点滴スタンドをベッドに固定する/ポータブルトイレを設置する必要はない。なぜなら、本症例の自宅内ADLは自立しており、トイレ歩行が許可されているため。入院中にADLの低下を招かないようにすることが大切である。
4.× 離床センサーを設置する必要はない。なぜなら、本症例の認知機能に問題ないため。ちなみに、離床センサーとは、ベッドから離れたことを検知する装置であり、通常、ベッドに設置され、重量を感知することで、ベッドから離れたことを検知する。認知面が不安定で転倒の恐れがある場合や、睡眠の質を測定するために病院や介護施設で使用されることが多い。これにより、看護師や介護者は、高齢者や障害を持つ方が危険な状態に陥らないようにする。

 

 

 

 

 

次の文を読み97〜99の問いに答えよ。
 Aさん(81歳、男性)は、妻(73歳)と2人暮らし。自宅でのADLは自立し、認知機能に障害はない。
 Aさんは食欲不振と腹部不快感、微熱を主訴に受診したところ、急性胆囊炎と診断され、その日のうちに入院した。Aさんのバイタルサインは、体温37.3℃、呼吸数22/分、脈拍90/分、血圧136/84mmHg。入院後は絶飲食の指示があり、持続点滴静脈内注射と抗菌薬の投与が開始された。トイレ歩行の許可は出ている。

98 入院後2日、妻がAさんについて「入院してからよく寝ています。時々ここが病院だとわからないようです。話しかけても気づかず、天井を眺めていることもあるし、しゃべり続けることもあります」と看護師に訴えた。Aさんのバイタルサインは、体温36.9℃、呼吸数20/分、脈拍88/分、血圧144/80mmHg。
 Aさんの状態で最も考えられるのはどれか。

1.うつ病
2.せん妄
3.ナルコレプシー
4.急性ストレス反応

解答2

解説

本症例のポイント

・入院後2日:妻「入院してからよく寝ています。時々ここが病院だとわからないようです。話しかけても気づかず、天井を眺めていることもあるし、しゃべり続けることもあります」と。
・バイタルサイン:体温36.9℃、呼吸数20/分、脈拍88/分、血圧144/80mmHg。
→Aさんにみられているのは、環境変化を契機としたせん妄と考えられる。せん妄とは、疾患や全身疾患・外因性物質などによって出現する軽度~中等度の意識障害であり、睡眠障害や興奮・幻覚などが加わった状態をいう。高齢者は薬剤によってせん妄が引き起こされる場合も多い。

1.× うつ病とは、抑うつ感、希望や元気を失ったり、興味を失ったり、生産性が低下したり、睡眠障害、食欲の低下、身体症状などが2週間以上続いている状態である。原因は多岐にわたり、生物学的、環境的、社会的要因が関係していることが知られている。
2.〇 正しい。せん妄がAさんの状態で最も考えられる。せん妄とは、疾患や全身疾患・外因性物質などによって出現する軽度~中等度の意識障害であり、睡眠障害や興奮・幻覚などが加わった状態をいう。高齢者は薬剤によってせん妄が引き起こされる場合も多い。
3.× ナルコレプシーとは、日中の過度の眠気や、通常起きている時間帯に自分では制御できない眠気が繰り返し起こったり、突然の筋力低下(情動脱力発作)も伴う睡眠障害である。入眠時はレム睡眠となるため、入眠時の金縛り、中途覚醒、リアルな悪夢によってうなされることが多い。覚醒状態の維持やその他の症状(入眠時の幻覚、睡眠麻痺)をコントロールするために薬物療法を行う。
4.× 急性ストレス反応とは、「その人の生命を脅かすような大きな出来事に遭遇し、その最中またはその後に自分が麻痺してしまったような感覚が出現し、この出来事を想起させるような状況を避けるなどの症状が2日から4週間持続する反応」をいう。例えば、被災などによって大きなストレスにさらされた後に起こり、周囲や自分自身の現実が変わってしまったような感覚などの解離症状(自分が自分であるという感覚が失われている状態)を伴うものである。

せん妄とは?

せん妄とは、疾患や全身疾患・外因性物質などによって出現する軽度~中等度の意識障害であり、睡眠障害や興奮・幻覚などが加わった状態をいう。高齢者は薬剤によってせん妄が引き起こされる場合も多い。
【原因】脳疾患、心疾患、脱水、感染症、手術などに伴って起こることが多い。他にも、心理的因子、薬物、環境にも起因する。

【症状】
①意識がぼんやりする。
②その場にそぐわない行動をする。
③夜間に起こることが多い。 (夜間せん妄)
④通常は数日から1週間でよくなる。

【主な予防方法】
①術前の十分な説明や家族との面会などで手術の不安を取り除く。
②昼間の働きかけを多くし、睡眠・覚醒リズムの調整をする。
③術後早期からの離床を促し、リハビリテーションを行う。

 

 

 

 

 

次の文を読み97〜99の問いに答えよ。
 Aさん(81歳、男性)は、妻(73歳)と2人暮らし。自宅でのADLは自立し、認知機能に障害はない。
 Aさんは食欲不振と腹部不快感、微熱を主訴に受診したところ、急性胆囊炎と診断され、その日のうちに入院した。Aさんのバイタルサインは、体温37.3℃、呼吸数22/分、脈拍90/分、血圧136/84mmHg。入院後は絶飲食の指示があり、持続点滴静脈内注射と抗菌薬の投与が開始された。トイレ歩行の許可は出ている。

99 入院後3週、Aさんは症状が改善し、退院することになった。Aさんは「退院したら孫たちと温泉旅行をして、おいしいものをたくさん食べることが楽しみです。何か気を付けることはありますか」と看護師に話した。
 退院時のAさんへの指導で適切なのはどれか。

1.「上腹部の痛みがあったら受診してください」
2.「食事内容の制限はありません」
3.「運動は控えてください」
4.「入浴しないでください」

解答1

解説

本症例のポイント

・入院後3週:症状改善、退院する。
・Aさん「退院したら孫たちと温泉旅行をして、おいしいものをたくさん食べることが楽しみです。何か気を付けることはありますか」と。
→本症例は、急性胆嚢炎である。急性胆嚢炎とは、胆のうに炎症が生じた状態である。 胆のうがむくんで腫れ、炎症の進行とともに胆のうの壁が壊死していく。 症状は、初期には上腹部の不快感や鈍痛で、炎症の進行とともに右季肋部痛(右の肋骨の下あたり)になり、次第に激痛になる。原因の90%は、胆のうの中の胆石が胆嚢の出口に詰まることである。胆石は、脂質の多い食生活でみられやすい。

1.〇 正しい。「上腹部の痛みがあったら受診してください」と指導する。なぜなら、上腹部の痛みは、急性胆嚢炎の初期症状であるため。急性胆嚢炎とは、胆のうに炎症が生じた状態である。 胆のうがむくんで腫れ、炎症の進行とともに胆のうの壁が壊死していく。 症状は、初期には上腹部の不快感や鈍痛で、炎症の進行とともに右季肋部痛(右の肋骨の下あたり)になり、次第に激痛になる。
2.× 食事内容の制限は必要である。なぜなら、原因の90%は、胆のうの中の胆石が胆嚢の出口に詰まることであるため。胆石は、脂質の多い食生活でみられやすいため、食事の指導は必要である。
3~4.× 運動/入浴を制限する必要はない。なぜなら、本症例の治療は、「持続点滴静脈内注射と抗菌薬の投与」であるため。手術が必要なドレナージ術が施行された場合は、シャワー浴にするように指導することもある。また、バランスの良い食事適度な運動を心がける。

 

 

 

 

次の文を読み100〜102の問いに答えよ。
 Aさん(80歳、男性)は、妻(80歳)と2人暮らし。血管性認知症でパーキンソニズムがみられる。認知症高齢者の日常生活自立度判定基準ランクⅡb、要介護2。普段は妻がAさんの身の回りの世話をしているが、妻が入院したため短期入所療養介護のサービスを受けることになった。入所時のAさんは歩行開始困難、加速歩行、すくみ足などの歩行障害がみられた。Aさんは「最近、家の中でつまずくことが多くなりました」と入所中の施設の看護師に話した。

100 Aさんへの歩行指導で適切なのはどれか。

1.歩行時の方向転換は素早く行うようにする。
2.目線を足元に向けて歩くようにする。
3.足踏みをしてから歩くようにする。
4.歩行時はすり足で歩くようにする。

解答3

解説

本症例のポイント

・Aさん(80歳、男性、血管性認知症パーキンソニズム
・2人暮らし:妻(80歳)
・認知症高齢者の日常生活自立度判定基準ランクⅡb、要介護2。
・普段は妻がAさんの身の回りの世話をしている。
・妻が入院したため短期入所療養介護のサービスを受ける。
・入所時:歩行開始困難、加速歩行、すくみ足などの歩行障害がみられた。
・Aさん「最近、家の中でつまずくことが多くなりました」と。
→脳血管性パーキンソニズムとは、大脳基底核から中脳に至る部分の血管の病変(脳梗塞または脳出血)によって筋肉の固縮、緩慢動作、小刻み歩行(小歩)、姿勢保持反射障害などのParkinson病に似た症状が発現することである。一方で、脳血管性パーキンソニズムでは、安静時振戦は現れにくく、錐体路徴候が現れやすい。Parkinson病(パーキンソニズム)の歩行障害(小刻み歩行、突進現象、すくみ足など)の誘発因子は、狭路、障害物、精神的緊張などである。対応策として、①視覚(障害物を跨ぐ、床に目印をつける)、②聴覚(メトロノームなどのリズムや歩行に合わせてのかけ声)、③逆説的運動(階段昇降)である。

→短期入所療養介護とは、介護老人保健施設や診療所、病院などに短期間入所してもらい、医師や看護職員、理学療法士等による医療や機能訓練、日常生活上の支援などを行うサービスである。 一定期間、介護から解放される利用者家族にとって、自分の時間を持つことができたり介護負担の軽減を図ることができる。

1.× 歩行時の方向転換は、「素早く」ではなくゆっくり大きく曲がるようにする。なぜなら、素早く行うことで、より小刻み歩行、突進現象が助長するため。
2.× 目線は、「足元に向けて」ではなく目標より遠くの前方を見て歩くようにする。なぜなら、歩行時に目線を足元に向けると、より前傾姿勢を助長し、バランスを崩しやすく転倒の危険性が高まるため。
3.〇 正しい。足踏みをしてから歩くようにする。なぜなら、足踏みすることで、リズムをとれ、すり足歩行、小刻み歩行の予防につながるため。足踏みの延長ではじめの一歩を出すことができる。Parkinson病(パーキンソニズム)の歩行障害(小刻み歩行、突進現象、すくみ足など)の誘発因子は、狭路、障害物、精神的緊張などである。対応策として、①視覚(障害物を跨ぐ、床に目印をつける)、②聴覚(メトロノームなどのリズムや歩行に合わせてのかけ声)、③逆説的運動(階段昇降)である。
4.× 歩行時は、「すり足」ではなく、大股で足を上げて歩く。なぜなら、すり足で歩くと、ちょっとした段差につまずきやすく転倒につながるため。

矛盾性運動(逆説的運動)とは?

すくみ足の症状があっても、床の上の横棒をまたぐことができることをいう。リズムをとったり、視覚的な目標物を踏み越えさせたりすると、本来難易度が高いはずであるが、スムーズに足が出るといった現象である。ちなみに、階段昇降もこれに含まれ、平地歩行に比べて障害されにくい。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)