第110回(R3) 看護師国家試験 解説【午前11~15】

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11 後頭葉にあるのはどれか。

1.嗅覚野
2.視覚野
3.聴覚野
4.体性感覚野

解答2

解説

1.× 嗅覚野は側頭葉にある。
2.〇 正しい。視覚野は後頭葉にある。
3.× 聴覚野は側頭葉にある。
4.× 体性感覚野は頭頂葉にある。

 

 

 

 

 

 

12 胃から分泌される消化管ホルモンはどれか。

1.ガストリン
2.セクレチン
3.胃抑制ペプチド
4.コレシストキニン

解答1

解説

1.〇 正しい。ガストリンは、胃から分泌される消化管ホルモンである。胃から分泌されるホルモンはガストリンのみである。ガストリンとは、胃幽門前庭部と十二指腸上部のG細胞から分泌され、胃酸・ペプシノーゲンの分泌促進や胃運動促進の作用がある。
2.× セクレチンは、十二指腸のS細胞から分泌される。胃酸分泌抑制や炭酸水素イオン分泌促進、膵液の分泌促進の作用がある。
3.× 胃抑制ペプチド(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)は、十二指腸と上部小腸から分泌される。胃液分泌抑制、インスリン分泌促進の作用がある。
4.× コレシストキニンは、十二指腸と上部小腸から分泌される。膵酵素分泌促進、胆嚢収縮作用がある。コレシストキニンもセクレチンと同じく、膵液の分泌を促すホルモンであるが、この膵液は消化酵素を多く含む。

胃液分泌の3相

頭相:視覚や嗅覚刺激、口腔粘膜刺激により胃液分泌が起きる。
胃相:幽門洞の粘膜が刺激されることにより、ガストリンが内分泌され、胃酸分泌、ペプシノゲン分泌が起きる。
腸相:十二指腸上部粘膜の消化食物による刺激により、セクレチンが内分泌されガストリンの分泌を抑制し、また、胃の運動が抑制される。

 

 

 

 

13 キューブラー・ロス.E.による死にゆく人の心理過程で第5段階はどれか。

1.怒り
2.否認
3.死の受容
4.取り引き

解答3

解説

キューブラー・ロスとは?

キューブラー・ロスとは、アメリカ合衆国の精神科医で、死と死ぬことについて関する書『死ぬ瞬間』の著者として知られる。死にゆく人の心理過程を提唱し、人が死を自覚したときから死を受容するまでのこころの反応とその経過が示されている。第1段階「否認(「何かの間違いだ」『信じられない」といった反応を示し、病を現実のものと受け止めることができない段階)」、第2段階「怒り(「自分だけがこんな目に遭うなんて」といった怒りが込み上げてる段階)」、第3段階「取り引き(「病気を治してくれたら。二度と悪いことはしない」などと、神や人と何らかの取り引きをしようとする段階)」、第4段階「抑うつ(「もうだめだ」「生きていても仕方ない」と抑うつ状態になる段階)」、第5段階「受容(自らのおかれた状況を理解しそれを受け入れることができる段階)」とされているが、段階的に一方向に移行するというよりは、重なり合ったり、行ったり来たりを繰り返しながら進み、必ずしも「受容」に至るとは限らないとされている。

1.× 怒りは第2段階である。「自分だけがこんな目に遭うなんて」といった怒りが込み上げてる段階である。
2.× 否認は第1段階である。「何かの間違いだ」『信じられない」といった反応を示し、病を現実のものと受け止めることができない段階である。
3.〇 正しい。死の受容は第5段階である。自らのおかれた状況を理解しそれを受け入れることができる段階である。
4.× 取り引きは第3段階である。「病気を治してくれたら。二度と悪いことはしない」などと、神や人と何らかの取り引きをしようとする段階である。

 

 

 

 

 

 

14 肝性脳症の直接的原因はどれか。

1.尿酸
2.アンモニア
3.グルコース
4.ビリルビン

解答2

解説

肝性脳症とは?

肝性脳症とは、重度の肝疾患がある人において、正常なら肝臓で除去されるはずの有害物質が血液中に蓄積して脳に達することで、脳機能が低下する病気である。長期にわたる(慢性の)肝疾患がある患者に発生する。 原因として、消化管での出血、感染症、処方薬を正しく服用しないこと、その他のストレスによって誘発される。正常な肝なら代謝されるはずの有害物質(アンモニアなど)が脳に達することによって生じる。肝性脳症は多くの場合、治療により予後良好である。主に、①ラクツロース、②抗菌薬が用いられる。①合成糖であるラクツロースは、下剤として作用し、食物が腸を通過する速度を速めることで、体に吸収されるアンモニアの量が減少させる。②口から投与しても腸から吸収されない抗菌薬(リファキシミンなど)を処方することにより、腸に残り、消化中に毒素を作り出す細菌の数を減らす効果が期待できる。(※参考「肝性脳症」MSDマニュアル家庭版)

1.× 尿酸は、痛風の原因物質である。痛風とは、体内で尿酸が過剰に溜まり、関節で結晶化し、炎症を引き起こして腫れや痛みを生じる病気である。風が患部に吹きつけるだけで激しい痛みが走ることから痛風と名づけられたといわれている。男性に頻発する単関節炎で、下肢、特に第1中足趾関節に好発する。尿酸はプリン体の代謝の最終産物として産生され、代謝異常があると尿酸の産生過剰・排泄障害が生じ高尿酸血症となる。高尿酸血症は痛風や腎臓などの臓器障害を引き起こすほか、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣を合併しやすい。
2.〇 正しい。アンモニアは、肝性脳症の直接的原因である。肝性脳症は、正常な肝なら代謝されるはずの有害物質(アンモニアなど)が脳に達することによって生じる。他にも、原因として、消化管での出血、感染症、処方薬を正しく服用しないこと、その他のストレスによって誘発される。
3.× グルコースの欠乏により血糖値が低下すると、低血糖発作昏睡状態が引き起こされる。一方、グルコースの過剰により血糖値が上昇すると、糖尿病肥満が引き起こされる。ちなみに、肝機能が低下すると、肝臓内のグリコーゲン貯留量が減少、糖新生が抑制され、グリコーゲンの分解によるグルコースの増加反応が乏しくなる。
4.× ビリルビンの増加で黄疸を生じる。総ビリルビンは、肝機能の指標となり、高値で急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝癌などが疑われる。総ビリルビンとは、①間接ビリルビンと②直接ビリルビンをあわせていう。基準値:0.2〜1.2mg/dLである。肝細胞の障害により、直接ビリルビンが上昇する。急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝臓がん、自己免疫性肝炎などがあげられる。

一般的な低血糖症状

血糖値が低下するとカテコラミン(インスリン拮抗ホルモン)の分泌が上昇し、交感神経刺激症状が出現する。さらに血糖値が低下すると脳・神経細胞の代謝が低下し、中枢神経症状が出現する。頭痛や空腹感などの比較的軽度な症状から始まるが血糖値が低下し続けると昏睡に至る。低血糖症状は、①自律神経症状と②中枢神経症状に分けられる。①自律神経症状は、冷感・顔面蒼白・頻脈・動悸・発汗・手の震え・空腹感などである。②中枢神経症状は、頭痛・集中力低下・視力低下・痙攣・昏睡などである。予防法として、飴や角砂糖などを携帯してもらう。

痛風とは?

 痛風とは、体内で尿酸が過剰になると、関節にたまって結晶化し、炎症を引き起こして腫れや痛みを生じる病気である。風が患部に吹きつけるだけで激しい痛みが走ることから痛風と名づけられたといわれている。男性に頻発する単関節炎で、下肢、特に第1中足跳関節に好発する。尿酸はプリン体の代謝の最終産物として産生され、代謝異常があると尿酸の産生過剰・排泄障害が生じ高尿酸血症となる。高尿酸血症は痛風や腎臓などの臓器障害を引き起こすほか、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣を合併しやすい。

 

 

 

 

15 喀血の特徴はどれか。

1.酸性である。
2.泡沫状である。
3.食物残溢を含む。
4.コーヒー残澄様である。

解答2

解説

喀血とは?

喀血とは、気道(気管・肺)から出血した時に見られる出血である。気道の出血が少量であれば痰に血が混じっている状態、血痰という。喀血は血液そのものを咳とともに吐く状態である。一方、吐血との区別は口から血が出たときに伴う症状で区別する。①喀血:下気道(気管支肺)からの出血、②吐血:上部消化管からの出血がある。したがって、喀血は吐血と比べると赤みが強く、泡が混じることが多く、固まりにくいという特徴がある。

1.× 酸性であるのは、吐血(上部消化管出血)の特徴である。なぜなら、胃液が混在しているため。喀血の成分は血液そのものであり、中性~アルカリ性である。
2.〇 正しい。泡沫状であるのは、喀血(気管出血)の特徴である。なぜなら、喀血は咳嗽とともに喀出され、呼気と混合されるため。
3.× 食物残溢を含むのは、吐血(上部消化管出血)の特徴である。ちなみに、喀血は気管出血であるため食物残渣を含まない。
4.× コーヒー残澄様であるのは、吐血(上部消化管出血)の特徴である。なぜなら、胃酸により酸化されるため。暗褐色~コーヒー残渣様(黒色)になることが多い。

 

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