第110回(R3) 看護師国家試験 解説【午前31~35】

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31 ソーシャルサポートのうち、情緒的サポートはどれか。

1.傾聴する。
2.情報提供する。
3.外出に付き添う。
4.経済的支援をする。

解答1

解説

ソーシャルサポート(社会的支援)とは?

ソーシャルサポート(社会的支援)とは、個人のよりよい状態を支えるための心理的・物理的資源のことである。ストレッサーがあっても周りの人からサポートを受けることによって、そのストレッサーを前向きにとらえられるようになることや、うまく対処(コーピング)できることにつながる。

ソーシャルサポート(社会的支援)は、個人のよりよい状態を支えるための心理的・物理的資源を指す。人間関係や社会的ネットワークも含まれる。種類は、(1)手段的サポート(①道具的サポート、②情報的サポート)、(2)情緒的サポート(③情緒的サポート、④評価的サポート)に分類される。

①道具的サポート:物資、金銭、労働等、形のある直接的な支援。
②情報的サポート:問題解決に役立つ情報提供、アドバイスなどの支援。
③情緒的サポート:愛情、共感等、他者との情緒的なつながりを築くための支援。
④評価的サポート:賛成、称賛等、自己評価のために役立つ支援

(※「ソーシャルサポート」厚生労働省HPより)

1.〇 正しい。傾聴するのは、情緒的サポートにあたる。情緒的サポートとは、愛情、共感等、他者との情緒的なつながりを築くための支援である。傾聴することも情緒的サポートである。
2.× 情報提供するのは、情報的サポートである。手段的サポートは、①道具的サポートと②情報的サポートに分けられる。情報的サポートとは、問題解決に役立つ情報提供、アドバイスなどの支援である。
3〜4.× 外出に付き添う/経済的支援をするのは、道具的サポートである。労働の直接的な援助にあたる。手段的サポートは、①道具的サポートと②情報的サポートに分けられる。道具的サポートとは、物資、金銭、労働等、形のある直接的な支援である。

 

 

 

 

 

 

32 看護過程における情報収集で適切なのはどれか。

1.既往歴は情報に含めない。
2.看護計画立案後も情報収集を継続する。
3.看護問題を特定してから情報収集を開始する。
4.不安の内容はclosed question〈閉じた質問〉で情報収集する。

解答2

解説

MEMO

看護における問題解決過程とは、看護過程の流れ(①対象の全体像の把握(アセスメント)→②看護診断→③目標設定→④計画→⑤実施→⑥評価)を指す。看護過程は、根拠を持った看護を実践するための思考過程である。根拠を持つためには、科学的根拠に基づいて情報の分析を行う必要がある。ちなみに、クリティカル・シンキングとは、看護過程を展開するうえで重要な考え方のひとつである。批判的な思考能力・問題解決能力・創造的思考・意思決定能力などをいう。

1.× 既往歴も情報に含める。なぜなら、既往歴は過去の病歴(入院や治療経過など)を知れるため。既往歴とは、これまでかかった病気などの記録のことである。既往歴には大きな病気だけではなく、薬の副作用、アレルギー、交通事故、出産経験、健康状態なども含まれる。
2.〇 正しい。看護計画立案後も情報収集を継続する。看護における問題解決過程とは、看護過程の流れ(①対象の全体像の把握(アセスメント)→②看護診断→③目標設定→④計画→⑤実施→⑥評価)を指す。看護計画立案後は、看護を実施し、患者の状態は常に変化するものであるため、常に新たな情報を補足していく必要がある。
3.× 看護問題を「特定してから」ではなく「特定する前」から情報収集を開始する。なぜなら、看護過程の流れとして、①対象の全体像の把握(アセスメント)があげられるため。全体像の把握のため情報を得た後、分析・データ解釈を行い、看護の視点から解決していくべき問題(看護問題)を明らかにする。情報が少ない状態で看護問題を特定することは困難である。
4.× 不安の内容はclosed question〈閉じた質問〉ではなく、open ended question〈開かれた質問〉で中心に情報収集する。閉じた質問(クローズド・クエスチョン)とは、『はいorいいえ』で答えられる質問のことである。自由質問法(開かれた質問、開放的な質問)とは、質問された者が自由に答えることのできる質問法のことである。

質問の種類と特徴

開かれた質問
患者の自由な答えを求める質問
例:「他に気になるところはありますか?」
閉じられた質問
「はい・いいえ」で答えられる質問
例:「吐き気はありますか?」

中立的な質問
1つの答えしか求めない質問法
例:「水分はいつからとれていないですか?」
焦点型質問
1つの事柄を深く掘り下げる質問法
例:「頭痛についてもう少し詳しく教えてください。」

 

 

 

 

33 漸進的筋弛緩法の目的はどれか。

1.気道の確保
2.緊張の緩和
3.麻痺の改善
4.全身麻酔の導入

解答2

解説

漸進的筋弛緩法とは?

漸進的筋弛緩法(読み方:ぜんしんてききんしかんほう)とは、内科・精神科医であり生理学者のエドモンド・ジェイコブソンが1920年代初めに開発した「筋肉の緊張状態を制御し観察して学習する技術」である。特定の筋肉の緊張と弛緩を意識的に繰り返し行うことにより身体のリラックスを導く方法としても利用される。リラクセーション技法として用いられる。

1.3~4.× 気道の確保/麻痺の改善/全身麻酔の導入の目的では用いられない
2.〇 正しい。緊張の緩和は、漸進的筋弛緩法の目的である。漸進的筋弛緩法(読み方:ぜんしんてききんしかんほう)とは、内科・精神科医であり生理学者のエドモンド・ジェイコブソンが1920年代初めに開発した「筋肉の緊張状態を制御し観察して学習する技術」である。特定の筋肉の緊張と弛緩を意識的に繰り返し行うことにより身体のリラックスを導く方法としても利用される。不安や緊張の緩和を目的とするリラクセーション技法である。

 

 

 

 

 

 

34 尿失禁の種類と対応の組合せで正しいのはどれか。

1.溢流性尿失禁:排尿間隔の記録
2.機能性尿失禁:骨盤底筋訓練
3.切迫性尿失禁:下腹部への軽い刺激
4.反射性尿失禁:間欠的自己導尿

解答4

解説

尿失禁とは?

【定義】自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまうこと。
大きく2種類に大別される。
①器質性尿失禁:排尿機構の障害に起因する。そこから①腹圧性、②切迫性、③溢流性、④反射性などがある。

②機能性尿失禁:排尿動作の遅れなどに起因する。

過活動膀胱とは?

過活動膀胱とは、膀胱の蓄尿期において尿意切迫感があり、頻尿や尿失禁をきたす疾患である(切迫性尿失禁)。明らかな神経学的異常に起因する神経因性過活動膀胱と、原因を特定できない非神経因性過活動膀胱に分けられる。原因として、①加齢、②骨盤底筋の低下、③生活習慣病、④肥満などと関連するといわれている。有病率は高齢になるほど高くなる。過活動膀胱では、膀胱訓練や骨盤底筋訓練など機能訓練を行い、薬物療法で治療を行う。

骨盤底筋は子宮、膀胱、直腸を含む骨盤臓器を支える筋肉で、骨盤底筋を強化することで尿漏れ対策となる。仰臥位が基本的な姿勢であるが、伏臥位や座位など日常生活の中でどんな姿勢で行ってもよい。座位や膝立て背臥位などで、上体の力を抜いてお尻の穴を引き上げて「きゅっ」とすぼめ、5秒キープする動作を10~20回ほど繰り返す方法と、すぼめたりを繰り返す方法の2種類ある。

膀胱訓練とは、排尿の間隔を徐々に延長し、膀胱にためることができる尿量を徐々に増やしていくものである。最初は30秒程度からスタートし、徐々に我慢する時間を延ばしていく。

1.× 溢流性尿失禁(奇異性尿失禁:自分では排尿ができないのに不随意的に尿が漏れて出てくる状態)は、前立腺肥大症や前立腺癌などの下部尿路通過障害や、神経因性膀胱などでみられる。薬物療法が主である。排尿間隔の記録に有効なのは、反射性尿失禁である。
2.× 機能性尿失禁(尿の膀胱内保持可能で正常な排尿も可能であるが、傷病者や高齢者など体動が不自由な人が尿意を感じてからトイレにたどり着くのが間に合わずに失禁してしまう状態)は、ポータブルトイレの設置などの環境調整、衣類の変更などで対応することが多い。骨盤底筋体操とは、尿失禁の予防・改善のために肛門挙筋および尿道周囲、膣周囲の括約筋群を鍛える方法である。骨盤底筋群などの筋力増強力は、一般的には腹圧性尿失禁過活動膀胱、および骨盤臓器脱に有効とされている。
3.× 切迫性尿失禁(激しい尿意によって排尿筋が収縮し,抑制できずに尿が尿道から漏れてしまう状態)は、過活動膀胱や神経因性膀胱、高度な急性膀胱炎、前立腺炎などがある。原因として膀胱にうまく尿がためられなくなる過活動膀胱が多く、脳血管障害など排尿にかかわる神経の障害で起きることもある。過活動性膀胱に対して、電気刺激療法磁気刺激療法が有効とされる。選択肢の下腹部への軽い刺激は、何によるどんな刺激なのか明白でないため不適切である。
4.〇 正しい。反射性尿失禁とは、脊髄損傷により排尿をつかさどる神経が障害されており(神経因性膀胱)、膀胱に尿が充満した状態で反射的に尿が漏れてしまうものである。原因として、膀胱尿管逆流症や水腎症などの合併症が起こり得るため、治療法として間欠的な自己導尿も選択される。治療としては、自己導尿や排尿訓練などを行う。

腹圧性尿失禁とは?

腹圧をかけるような運動時(重い荷物を持ち上げたときなど)に尿が漏れる状態で、男性よりも女性に多くみられる。尿道括約筋を含む骨盤底の筋肉が弱くなることが原因で、加齢、出産、喫煙、肥満などと関連している。

 

 

 

 

35 成人の睡眠中に分泌が増加するホルモンはどれか。

1.アドレナリン
2.オキシトシン
3.成長ホルモン
4.甲状腺ホルモン

解答3

解説
1.× アドレナリンは、副腎髄質から分泌される。交感神経刺激、激しい運動などのストレス負荷で分泌が促進される。睡眠中は副交感神経が優位になり、アセチルコリンが分泌される。
2.× オキシトシンは、下垂体後葉から分泌される。乳汁射出作用と子宮収縮促進作用がある。分泌を促進するのは乳頭吸啜刺激子宮頚部拡張である。
3.〇 正しい。成長ホルモンは、成人の睡眠中に分泌が増加するホルモンである。下垂体前葉から分泌される。成長促進、血糖値の上昇作用がある。日内変動があり特に睡眠中に増加する。
4.× 甲状腺ホルモンは、甲状腺から分泌される。細胞の代謝を維持したり、他のホルモンの作用を増強したりする作用をもつ。甲状腺刺激ホルモンにより分泌が促進される。

 

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