第111回(R4) 看護師国家試験 解説【午前1~5】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

問題の引用:第108回保健師国家試験、第105回助産師国家試験、第111回看護師国家試験の問題および正答について

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。コメント欄にて誤字・脱字等、ご指摘お待ちしています。よろしくお願いいたします。

 

 

1 労働力調査による労働力人口の令和元年(2019年)平均に最も近いのはどれか。(※不適切問題:問題としては適切)

1.4,800万人
2.5,800万人
3.6,800万人
4.7,800万人

解答3(採点対象除外)
理由:問題として適切であるが、必修問題としては妥当でないため。

解説

(1)労働力人口は8万人の減少

労働力人口(15歳以上人口のうち,就業者と完全失業者を合わせた人口)は,2021年平均で6860万人と,前年に比べ8万人の減少(2年連続の減少)となった。男女別にみると,男性は3803万人と20万人の減少,女性は3057万人と13万人の増加となった。また,15~64歳の労働力人口は,2021年平均で 5931万人と,前年に比べ 15万人の減少となった。男女別にみると,男性は3252万人と20万人の減少,女性は2679万人と6万人の増加となった(※引用:「第1 就業状態の動向」総務省統計局様HPより)。したがって、選択肢3.6,800万人が、労働力調査による労働力人口の令和元年(2019年)平均に最も近い。

 

 

 

 

 

2 日本の令和元年(2019年)の死亡数に近いのはどれか。

1.98万人
2.118万人
3.138万人
4.158万人

解答3

解説

(2)死亡数は増加

死亡数は138万1098人で、前年の136万2470人より1万8628人増加し、死亡率(人口千対)は11.2で、前年の11.0より上昇している。死因別にみると、死因順位の第1位は悪性新生物<腫瘍>(全死亡者に占める割合は27.3%)、第2位は心疾患(高血圧性を除く)(同15.0%)、第3位は老衰(同8.8%)となっており、死亡者のおよそ 3.7 人に1人は悪性新生物<腫瘍>が死因となっている(※引用:「令和元年(2019)人口動態統計月報年計(概数)の概況」厚生労働省HPより)。したがって、選択肢3.138万人が日本の令和元年(2019年)の死亡数に近い。

 

 

 

 

3 シックハウス症候群に関係する物質はどれか。

1.アスベスト
2.ダイオキシン類
3.放射性セシウム
4.ホルムアルデヒド

解答4

解説

シックハウス症候群とは?

近年、住宅の高気密化などが進むに従って、建材等から発生する化学物質などによる室内空気汚染等と、それによる健康影響が指摘されている。この健康被害を「シックハウス症候群」という。症状は、目がチカチカする、鼻水、のどの乾燥、吐き気、頭痛、湿疹など人によってさまざまである。原因として、住宅の高気密化・高断熱化などが進み、①化学物質による空気汚染、②湿度の高さによる細菌カビダニが繁殖、一般的な石油ストーブからの汚染物質(一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物など)の放出である。他にも、たばこの煙にも有害な化学物質である。(※参考:「シックハウス対策のページ」厚生労働省HPより)

1.× アスベスト(石綿)とは、天然にできた鉱物繊維で「せきめん」「いしわた」とも呼ばれている。石綿関連疾患には、石綿肺肺がん、中皮腫、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚や、病態として、胸膜プラークなどがある。石綿曝露作業に従事していたことが原因で中皮腫や肺癌などを発症したと認められた場合は、『労働者災害補償保険法(労災保険法)』に基づく各種の労災保険給付や『石綿による健康被害の救済に関する法律(石綿救済法)』に基づく特別遺族給付金が支給される。
2.× ダイオキシン類とは、ポリ塩化ジベンゾ‐パラ‐ジオキシンとポリ塩化ジベンゾフランの総称である。ごみ焼却などで炭素・酸素・水素・塩素を含む物質が熱せられる過程で発生する物質で、大気中の粒子が地上に落下し土壌や水を汚染する。多量の暴露では、生殖機能甲状腺機能及び免疫機能への影響があることが動物実験で報告されている。
3.× 放射性セシウムとは、核実験や原発事故によって大気中に放出される、人間が作り出した放射性物質である。放射性ヨウ素は甲状腺に集まりやすく、甲状腺がんを発症させる恐れがある。
4.〇 正しい。ホルムアルデヒドは、シックハウス症候群に関係する物質である。ホルムアルデヒドとは、新築や住宅改装の際、壁・天井・押入・床フローリングなど多くの場所に使用される。

公害病とは?

公害病(こうがいびょう)とは、人間の産業活動により排出される有害物質により引き起こされる健康被害である。人体に有害な物質が、水(地下水や河川水)、空気中の浮遊物、ガス、食物などを通じ摂取されることによって、引き起こされる。狭義には、環境基本法に定義される公害が原因となる。大気汚染が原因のぜんそく、水質汚濁が原因の有機水銀中毒やカドミウム中毒、大気や川のヒ素汚染による慢性ヒ素中毒などがあげられる。近年は広義で、シックハウスが原因の揮発性有機化合物等の吸引によるアトピーやアレルギーや、原子力発電所からの放射能汚染による人的被害も、公害病と呼ばれることがある。日本の高度経済成長期(1950年代後半から1970年代)に、公害により住民へ大きな被害が発生した。このうち被害の大きいものを「四大公害病」という。これを受け公害対策として、1967年に『公害対策基本法』、1973年に『公害健康被害補償法』などが制定された。

 

 

 

 

 

4 後期高齢者医療制度の被保険者は、区域内に住居を有する(  )歳以上の者、および65歳以上(  )歳未満であって、政令で定める程度の障害の状態にあるとして後期高齢者医療広域連合の認定を受けた者である。
 (  )に入るのはどれか。

1.70
2.75
3.80
4.85

解答2

解説

後期高齢者医療制度とは?

後期高齢者医療制度とは、2008年施行の「高齢者の医療の確保に関する法律」を根拠法とする日本の医療保険制度である。

第二節 被保険者(被保険者)
第五十条 次の各号のいずれかに該当する者は、後期高齢者医療広域連合が行う後期高齢者医療の被保険者とする。

一 後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する七十五歳以上の者
二 後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する六十五歳以上七十五歳未満の者であつて、厚生労働省令で定めるところにより、政令で定める程度の障害の状態にある旨の当該後期高齢者医療広域連合の認定を受けたもの(※引用:「高齢者の医療の確保に関する法律」e-GOV法令検索様HPより)

後期高齢者医療制度の被保険者は、区域内に住居を有する( 75 )歳以上の者、および65歳以上( 75 )歳未満であって、政令で定める程度の障害の状態にあるとして後期高齢者医療広域連合の認定を受けた者である。したがって、選択肢2.75が正しい。

 

 

 

 

5 患者の選択権の行使を最も促進するのはどれか。

1.父権主義
2.医師の裁量権
3.コンプライアンス
4.インフォームド・コンセント

解答4

解説
1.× 父権主義(パターナリズム)とは、弱い立場の者の意思・判断に関係なく強い立場の者が介入・干渉し、それに従うべきだとする考えのことである。医療において、患者の意思にかかわらず、医師などの専門家に任せた治療を進めることを指す。
2.× 医師の裁量権とは、医師が患者のために最も有効だと判断した医療行為を医師の判断において実施することができる権利である。医療は人的制約や設備的な制約等、様々な制約の中で行わなければならない。また、高度に専門的な分野であり、治療には一定のリスクを伴うため、最も適した治療や検査等を患者自身が判断することは極めて困難である。したがって、医師に一定の裁量権を与えることによって、最終的には患者の利益になると考えられている。
3.× コンプライアンスとは、医療者からの指示を患者が遵守することを指す。一方、ノンコンプライアンスとは、医療者からの指示を患者が守らない状態を指す。
4.〇 正しい。インフォームド・コンセントは、患者の選択権の行使を最も促進する。インフォームド・コンセントとは、患者・家族が病状や治療について十分に理解し、また、医療職も患者・家族の意向や様々な状況や説明内容をどのように受け止めたか、どのような医療を選択するか、患者・家族、医療職、ソーシャルワーカーやケアマネジャーなど関係者と互いに情報共有し、皆で合意するプロセスである。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)