第111回(R4) 看護師国家試験 解説【午前21~25】

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21 成人の静脈血採血で適切なのはどれか。

1.採血部位から2、3cm中枢側に駆血帯を巻く。
2.血管の走行に合わせ60度の角度で刺入する。
3.採血後は刺入部位を圧迫しながら抜針する。
4.刺入部位は5分以上圧迫し、止血する。

解答4

解説
1.× 採血部位から「2、3cm」ではなく5~10cm中枢側に駆血帯を巻く。なぜなら、駆血帯が刺入部位に近すぎる場合、針を刺入する際、血管を突き抜ける危険があるため。駆血帯を巻く理由として、静脈血の還流を止めることとなり、末梢の静脈が怒張して、穿刺部位の選定が容易になる。
2.× 血管の走行に合わせ、「60度」ではなく15度程度の角度で刺入する。このとき患者さんに手のしびれや強い痛みがないか必ず確認する。針先が血管腔に入ったことを確認したら、血管腔内を進ませる感覚で奥に刺入する。血管を突き抜けてしまう恐れがあるため、針を奥に進ませるのは5mm程度にする。
3.× 採血後は刺入部位を「圧迫しながら」ではなく「消毒綿で軽く押さえながら」抜針する。なぜなら、抜針前に圧迫すると痛みや血管の損傷を助長する恐れがあるため。圧迫は、抜針後止血のために実施する。
4.〇 正しい。刺入部位は5分以上圧迫し、止血する。抗凝固薬を服用している患者さんには、圧迫時間を長めに伝える。

 

 

 

 

 

22 1回の気管内吸引を30秒以上実施した場合に生じるのはどれか。

1.嘔吐
2.感染
3.低酸素血症
4.気道粘膜の損傷

解答3

解説

口腔内・鼻腔内吸引の注意事項

「気管吸引とは、人工気道を含む気道からカテーテルを用いて機械的に分泌物を除去するための準備、手技の実施、 実施後の観察、アセスメントと感染管理を含む一連の流れのこと」と定義されている。(※引用:気管吸引ガイドライン2013

【目的】口腔内・鼻腔内吸引は気道内の貯留物や異物を取り除くこと。

①人工呼吸器関連肺炎などの感染リスクを回避する。(ディスポーザブル手袋を着用、管吸引前には口腔及びカフ上部の吸引を行う)
吸引中は無呼吸となるため必ずモニター等でSpO2の確認しながら、カフ圧は2~2.9kPaに保ち1回の吸引時間は10秒以内とする。
③カテーテル挿入時は陰圧をかけず、自発呼吸がある場合は、患者さんの吸気に合わせて吸引を行う。
④終了後は気道内の分泌物がきちんと吸引できたか、呼吸音等で確認する。

(※参考:「吸引(口腔・鼻腔)の看護|気管吸引の目的、手順・方法、コツ」ナース専科様HPより)

1.× 嘔吐は、咽頭へのカテーテル刺激により生じやすい。吸引カテーテルの先端は、気管分岐部に当たらない位置まで挿入する。
2.4.× 感染/気道粘膜の損傷は、吸引操作中は吸引カテーテルを上下前後に傷つけてしまうように操作したり、吸引圧が高いと起こりやすい。陰圧をかけながら吸引カテーテルをゆっくり引き戻すように動かす。分泌物がある場所ではカテーテルを引き戻す操作を少しの間止める。
3.〇 正しい。低酸素血症は、1回の気管内吸引を30秒以上実施した場合に生じる。吸引中は無呼吸となるため必ずモニター等でSpO2の確認しながら、カフ圧は2~2.9kPaに保ち1回の吸引時間は10秒以内とする。ちなみに、低酸素血症とは、動脈血中の酸素が不足した状態である。酸素投与中以外のSPO295~100%が正常である。

 

 

 

 

23 上腕出血時の間接圧迫止血の部位はどれか。

1.腋窩動脈
2.尺骨動脈
3.大腿動脈
4.橈骨動脈

解答1

解説

MEMO

間接圧迫止血法とは、出血部より中枢側の動脈を圧迫して、出血部の血流を遮断し止血する方法である。一次的止血法である。一方で、直接圧迫止血法とは、創部を直接圧迫する方法である。

1.〇 正しい。腋窩動脈は、上腕出血時の間接圧迫止血の部位である。
2~4.× 尺骨動脈/大腿動脈/橈骨動脈は、上腕出血時の間接圧迫止血の部位ではない。なぜなら、それら選択肢は上腕より末梢に位置するため。間接圧迫止血法とは、出血部より中枢側の動脈を圧迫して、出血部の血流を遮断し止血する方法である。

 

 

 

 

 

24 成人に対する一次救命処置<BLS>において、胸骨圧迫と人工呼吸の回数比は( ):2である。
 (  )に入るのはどれか。

1.5
2.10
3.30
4.50

解答3

解説

一次救命処置とは?

 一次救命処置とは、呼吸が止まり、心臓も動いていないと見られる人の救命へのチャンスを維持するため、特殊な器具や医薬品を用いずに行う救命処置であり、胸骨圧迫と人工呼吸からなる心肺蘇生法(CPR)、そしてAEDの使用を主な内容とする。

成人に対する一次救命処置では、胸骨圧迫を30回したのち、人工呼吸を2回行い(30対2)、これを繰り返す。成人であれば胸骨が少なくとも5~6cm沈むように圧迫し、1分間に100~120回のテンポで行う。絶え間なく圧迫することが重要である。

成人に対する一次救命処置<BLS>において、胸骨圧迫と人工呼吸の回数比は( 30 ):2である。したがって、選択肢3.30が正しい。

一次救命処置の手順

①安全確認と感染防御
②意識状態の確認
③協力者を集める
④気道確保・呼吸の確認
⑤人工呼吸2回
⑥胸骨圧迫式心マッサージ
⑦AEDによる除細動

※安全確認と感染防御が最優先だが、設問の選択肢にないので、次の段階で優先される選択肢を選ぶ。

 

 

 

 

25 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律<感染症法>において、結核が分類されるのはどれか。

1.一類
2.二類
3.三類
4.四類
5.五類

解答2

解説

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律とは?

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症予防法、感染症法、感染症新法)は、感染症の予防および感染症患者に対する医療に関する措置について定めた日本の法律である。平成10年(1998年)に制定された。主な内容は、①1~5類感染症の分類と定義、②情報の収集・公表、③感染症(結核を含む)への対応や処置。

【「感染症法」の対象となる感染症】
①1類感染症(7疾患:エボラ出血熱 ・クリミア・コンゴ出血熱・痘そう(天然痘) ・南米出血熱・ペスト・マールブルグ病・ラッサ熱)
対応:原則入院・消毒等の対物措置(例外的に建物への措置,通行制限の措置も適用対象とする)

②2類感染症(6疾患:・急性灰白髄炎(ポリオ)・結核 ・ジフテリア ・重症急性呼吸器症候群(SARS)・特定鳥インフルエンザ(H5N1, H7N9) ・中東呼吸器症候群(MERS))
対応:状況に応じて入院・消毒等の対物措置

③3類感染症(5疾患:・コレラ・細菌性赤痢・腸管出血性大腸菌感染症(0157等)・腸チフス ・パラチフス)
対応:・特定職種への就業制限・消毒等の対物措置

④4類感染症(44疾患:※一部抜粋。・E型肝炎・A型肝炎 ・黄熱・Q熱・狂犬病・チクングニア熱・鳥インフルエンザ(特定鳥インフルエンザを除く)・炭疽 ・ボツリヌス症 ・マラリア ・野兎病・重症熱性血小板減少症候群(SFTS)・デング熱・ジカウイルス感染症・日本脳炎・その他感染症(政令で指定))
対応:・感染症発生状況の情報収集、分析とその結果の公開,提供・媒介動物の輸入規制・消毒等の対物措置

⑤5類感染症(46疾患:※一部抜粋。・インフルエンザ(鳥インフルエンザ・新型インフルエンザ等感染症を除く)・ウイルス性肝炎(E型・A型を除く)・クリプトスポリジウム症・後天性免疫不全症候群(AIDS)・性器クラミジア感染症 ・梅毒・麻疹・百日咳・メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症・その他感染症(省令で指定))
対応:・感染症発生状況の情報収集、分析とその結果の公開情報提供

1.× 一類は、7疾患:エボラ出血熱 ・クリミア・コンゴ出血熱・痘そう(天然痘) ・南米出血熱・ペスト・マールブルグ病・ラッサ熱である。
2.〇 正しい。二類に結核が分類される。二類は、6疾患:・急性灰白髄炎(ポリオ)・結核 ・ジフテリア ・重症急性呼吸器症候群(SARS)・特定鳥インフルエンザ(H5N1, H7N9) ・中東呼吸器症候群(MERS)である。
3.× 三類は、5疾患:・コレラ・細菌性赤痢・腸管出血性大腸菌感染症(0157等)・腸チフス ・パラチフス)である。
4.× 四類は、44疾患:※一部抜粋。・E型肝炎・A型肝炎 ・黄熱・Q熱・狂犬病・チクングニア熱・鳥インフルエンザ(特定鳥インフルエンザを除く)・炭疽 ・ボツリヌス症 ・マラリア ・野兎病・重症熱性血小板減少症候群(SFTS)・デング熱・ジカウイルス感染症・日本脳炎・その他感染症(政令で指定)である。
5.× 五類は、46疾患:※一部抜粋。・インフルエンザ(鳥インフルエンザ・新型インフルエンザ等感染症を除く)・ウイルス性肝炎(E型・A型を除く)・クリプトスポリジウム症・後天性免疫不全症候群(AIDS)・性器クラミジア感染症 ・梅毒・麻疹・百日咳・メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症・その他感染症(省令で指定)である。

肺結核とは?

肺結核とは、結核菌による感染症で、体の色々な臓器に起こることがあるが多くは肺のことである。結核菌は、喀痰の中に菌が出ている肺結核の患者と密閉空間で長時間(一般的には数週間以上)接触することにより空気感染でうつる。リンパ節結核や脊椎カリエス(骨の結核)など、肺に病気のない結核患者からはうつらない。また肺結核でも、治療がうまくいって喀痰の中に菌が出ていない患者さんからはうつることはない。また、たとえ感染しても、発病するのはそのうち1割ぐらいといわれており、残りの9割の人は生涯何ごともなく終わる。感染してからすぐに発病することもあるが、時には感染した後に体の免疫が働いていったん治癒し、その後数ヶ月から数十年を経て、免疫が弱ったときに再び結核菌が増えて発病することもある。結核の症状には、咳、痰、血痰、熱、息苦しさ、体のだるさなどがある。

 

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