第111回(R4) 看護師国家試験 解説【午前66~70】

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66 認知行動療法で患者に期待できる効果はどれか。

1.物事の捉え方のゆがみが修正される。
2.自ら催眠状態に導くことができるようになる。
3.過去の自分の態度についての自己洞察が深まる。
4.自分の状態をあるがままに受け入れることができるようになる。

解答1

解説

認知行動療法とは?

認知行動療法とは、ベックによって精神科臨床に適応された治療法である。例えば、うつ病患者の否定的思考を認知の歪みと考え、その誤りを修正することによって症状の軽快を図る。認知行動療法の中に、系統的脱感作法がある。系統的脱感作法とは、患者に不安を引き起こす刺激を順に挙げてもらい(不安階層表の作成)、最小限の不安をまず想像してもらう。不安が生じなかったら徐々に階層を上げていき、最終的に源泉となる不安が消失する(脱感作)ことを目指す手法である。

1.〇 正しい。物事の捉え方のゆがみが修正される。認知行動療法とは、ベックによって精神科臨床に適応された治療法である。例えば、うつ病患者の否定的思考を認知の歪みと考え、その誤りを修正することによって症状の軽快を図る。認知のゆがみとは、①全か無か思考、②一般化のしすぎ、③心のフィルターなどの思考の偏りである。
2.× 自ら催眠状態に導くことができるようになるのは、「催眠療法」の説明である。催眠療法とは、人為的に催眠状態を作り出し、直接的な暗示によって症状の除去や情動カタルシス(心の中に溜まっていた澱(おり)のような感情が解放され、気持ちが浄化されること)、自然回復力の賦活などを目指すものである。解離性障害の治療に用いられる。
3.× 過去の自分の態度についての自己洞察が深まるのは、「内観療法」の説明である。内観療法とは、自分が身近な人からしてもらったことや、迷惑をかけたことなどを繰り返し想起して(これを「見調べ」という)自己洞察力を深める方法である。人間関係の不和を誘因とした、不登校、出勤困難、神経症、うつ病、依存症、心身症などが対象である。
4.× 自分の状態をあるがままに受け入れることができるようになるのは、「森田療法」の説明である。森田療法とは、目的・行動本意の作業を繰り返すことにより、症状にとらわれず、症状を「あるがまま」に受け入れながら生活できるようにする方法である。強迫症(強迫性障害)、社交不安症(社交不安障害)、パニック症(パニック障害)、広場恐怖症(広場恐怖)、全般性不安症(全般性不安障害)、身体症状症(身体表現性障害)、病気不安症(心気症)、長引くうつ病、不登校・ひきこもりなどが対象である。

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【4問】認知行動療法についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

67 Aさん(22歳、統合失調症)は父親、母親、妹との4人暮らし。高校卒業後、アルバイトをしていたが、症状の悪化によって初めて精神科病院に入院した。退院後に一般企業で働きたいと希望している。
 看護師がAさんに提案するサービスで適切なのはどれか。

1.行動援護
2.就労移行支援
3.自立生活援助
4.地域定着支援

解答2

解説

本症例のポイント

・Aさん(22歳、統合失調症
・4人暮らし:父親、母親、妹。
・高校卒業後:アルバイト、症状の悪化で入院。
・退院後:「一般企業で働きたい」と希望。
→統合失調症とは、幻覚・妄想・まとまりのない発語および行動・感情の平板化・認知障害ならびに職業的および社会的機能障害を特徴とする。原因は不明であるが、遺伝的および環境的要因を示唆する強固なエビデンスがある。好発年齢は、青年期に始まる。治療は薬物療法・認知療法・心理社会的リハビリテーションを行う。早期発見および早期治療が長期的機能の改善につながる。統合失調症患者の約80%は、生涯のある時点で、1回以上うつ病のエピソードを経験する。統合失調症患者の約5~6%が自殺し,約20%で自殺企図がみられる(※参考:「統合失調症」MSDマニュアル様HPより)。

1.× 行動援護とは、知的障害又は精神障害により行動上著しい困難を有する障害者等であって常時介護を要するものにつき、当該障害者等が行動する際に生じ得る危険を回避するために必要な援護、外出時における移動中の介護、排せつ及び食事等の介護その他の当該障害者等が行動する際の必要な援助を行う。【対象者】障害支援区分が区分3以上であって、障害支援区分の認定調査項目のうち行動関連項目等(12項目)の合計点数が10点以上(障害児にあってはこれに相当する支援の度合)である者とされている。
2.〇 正しい。就労移行支援は、看護師がAさんに提案するサービスで最も優先度が高い。就労移行支援とは、一般就労などを希望する就業が可能と思われる65歳未満の障害者に対して、知識・能力の向上、実習、職場探しなどを通じ、適性に合った職場への就労が見込まれる障害者を対象としたサービスである。事業所内での作業などを通じた訓練、適性に合った職場探し、就労後の職場定着のための支援などを実施する。就労移行支援の期限は2年(特例で3年)である。
3.× 自立生活援助とは、平成30年4月1日施行となる改正障害者総合支援法の中で新たに創設された障害福祉サービスである。 居宅において単身等で生活する障害者につき、定期的な巡回訪問又は随時通報を受けて行う訪問、相談対応等により、居宅における自立した日常生活を営む上での各般の問題を把握し、 必要な情報の提供及び助言並びに相談、関係機関との連絡調整等の自立した日常生活を営むために必要な援助を行う。
4.× 地域定着支援とは、居宅において単身などで生活する障害者との常時連絡体制を確保し、緊急の事態等に相談等便宜を供与することである。地域相談支援とは、地域移行支援及び地域定着支援をいう。

障害者総合支援法とは?

障害者総合支援法は、2013年に障害者自立支援法から障害者総合支援法へと改正され、障害者と障害児を対象とした障害保健福祉施策についてまとめられた法律である。これにより障害者の範囲が拡大され、身体障害者、精神障害者、知的障害者、障害児の全てが対象とされている。そして、対象となっている者は、認定調査というものを受け「障害支援区分」という障害の重症度分類によって7区分(非該当、区分1~6)に分けられる。それにより受けられるサービス内容が変わってくる。

①障害者も難病患者も自立できる社会をめざす。
②応能負担(所得に応じて自己負担額が変わること)が原則。
③あらゆる障害(身体・知的・精神+難病)についてこの法律で対応する。
④市区町村が事業の母体である。

 

 

 

 

68 Aさん(80歳、女性)は1人暮らし。要介護2の認定を受け、長男(50歳、会社員)、長男の妻(45歳、会社員)、孫(大学生、男性)と同居することになった。長男の家の間取りは、洋室5部屋、リビング、台所である。Aさんは同居後に訪問看護を利用する予定である。訪問看護を利用するにあたりAさんの家族から「在宅介護は初めての経験なのでどうすればよいですか」と訪問看護師に相談があった。
 訪問看護師の説明で最も適切なのはどれか。

1.「Aさんの介護用ベッドはリビングに置きましょう」
2.「Aさんの介護に家族の生活リズムを合わせましょう」
3.「活用できる在宅サービスをできる限り多く利用しましょう」
4.「特定の同居家族に介護負担が集中しないように家族で話し合いましょう」

解答4

解説

本症例のポイント

・Aさん(80歳、女性、1人暮らし、要介護2
・予定:長男(50歳、会社員)、長男の妻(45歳、会社員)、孫(大学生、男性)と同居。
・長男の家の間取り:洋室5部屋、リビング、台所。
・同居後の予定:訪問看護を利用する。
・Aさんの家族から「在宅介護は初めての経験なのでどうすればよいですか」と。
→訪問看護とは、看護を必要とする患者が在宅でも療養生活を送れるよう、かかりつけの医師の指示のもとに看護師や保健師などが訪問して看護を行うことである。訪問看護師の役割として、主治医が作成する訪問看護指示書に基づき、健康状態のチェックや療養指導、医療処置、身体介護などを行う。在宅看議の目的は、患者が住み慣れた地域で自分らしく安心して生活を送れるように、生活の質(QOL)向上を目指した看護を提供することである。療養者とその家族の価値観や生活歴を重視し、その人らしさやQOLを考える。

1.× Aさんの介護用ベッドをリビングに置く優先度は低い。なぜなら、特にリビングに置く理由がないため。ベッドの設置は①トイレへの導線、②プライバシーの確保、③介護量などを家族やAさんともしっかり話し合って決めるべきである。看護師の独断で決めれるものではない。
2.× Aさんの介護に家族の生活リズムを合わせる優先度は低い。家族の介護負担を軽減するためにも訪問看護を利用する予定である。会社員と大学生の家族の生活リズムをなるべく崩さないように、看護師は支援していく必要がある。
3.× 活用できる在宅サービスをできる限り多く利用する必要はない。なぜなら、過介助や過介護は自立能力をそいでしまう一因となるため。適度な在宅サービスを利用することが望ましく、家族やAさんともしっかり話し合って決めるべきである。
4.〇 正しい。「特定の同居家族に介護負担が集中しないように家族で話し合いましょう」と説明する。なぜなら、長男(会社員)、長男の妻(会社員)、孫(大学生)であり、会社員と大学生の家族の生活リズムをなるべく崩さないようにするため。介護者の介護疲れは、DVうつ病を引き起こしてしまうこともある。

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【12問】訪問看護事業所についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

69 Aさん(73歳、男性)は慢性閉塞性肺疾患で在宅酸素療法<HOT>を受けている。受診時にAさんが「1人でお風呂に入っているが、息切れが強い」と訴えたため、外来看護師は入浴時の具体的な状況を確認した。
 外来看護師がAさんに確認した内容で、息切れの原因と考えられるのはどれか。

1.入浴はシャワー浴にしている。
2.椅子に座って更衣を行っている。
3.洗髪時に鼻カニューレを外している。
4.浴室の扉を開けたまま入浴している。

解答3

解説

本症例のポイント

・Aさん(73歳、男性)
・慢性閉塞性肺疾患:在宅酸素療法<HOT>中。
・「1人でお風呂に入っているが、息切れが強い」と。
→慢性閉塞性肺疾患(COPD)の最大の原因は喫煙であり、喫煙者の約20%がCOPDを発症する。慢性閉塞性肺疾患とは、以前には慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称である。他の特徴として、肺の過膨張、両側肺野の透過性亢進、横隔膜低位、横隔膜の平低化、滴状心などの特徴が認められる。進行性・不可逆性の閉塞性換気障害による症状が現れる。
増加:残気量・残気率・肺コンプライアンス・全肺気量・PaCO2
減少:一秒率・一秒量・肺活量・肺拡散能・PaO2

(図引用:「息切れを増強させる4つの動作のイラスト(慢性呼吸器疾患)」看護roo!看護師イラスト集様HPより)

1.× 入浴はシャワー浴にしていることは、息切れの予防につながる。なぜなら、肩まで湯船につかると、胸部が圧迫されるため息切れの原因となるため。シャワー浴で、シャンプーする際はシャンプーハットを装着する。
2.× 椅子に座って更衣を行っていることは、息切れの予防につながる。なぜなら、立って行う動作は息を止めること(息切れ)につながりやすいため。椅子に座り、前かがみ姿勢にならずに、更衣するように指導する。
3.〇 正しい。洗髪時に鼻カニューレを外していることが息切れの原因といえる。鼻カニューレは違和感や不快感から、入浴中に鼻カニューレを外す必要がなくとも外してしまっている場合が多い。そういった場合は、入浴時間は短めにする、半身浴にする、洗髪時はシャンプーハットを使用するなどといった対応が必要である。
4.× 浴室の扉を開けたまま入浴していることは、息切れの予防につながる。なぜなら、浴室の扉を開けておくと浴室の温度上昇を予防できるため。室内の温度が高すぎると、交感神経が優位となり、酸素消費量・呼吸数・心拍数の増加につながる。

血中酸素飽和度が低下しやすい日常生活動作

①排便(息を止めるため、呼吸のコントロールを行う)
②肩まで湯船につかる(胸部が圧迫されるため、動作環境や方法を工夫する)
③洗髪、上衣更衣、洗体など(上肢を使うため、上肢挙上は片腕のみで、呼吸のコントロールを行う。)
④ズボンや靴下を履く(体を前屈して行うため、動作のスピードや方法を調整する。)

※入浴の生活指導:息切れがある場合は全身入浴を控え、半身浴やシャンプーハットを使用したシャワーなどで対応する。入浴中は酸素吸入を行わない場合が多いため、入浴時間は短めにする。

 

 

 

 

70 気管切開下で人工呼吸器を装着している利用者に対して、訪問看護事業所が災害に備えて行うことで適切なのはどれか。

1.人工呼吸器の予備の回路を預かる。
2.災害時の個別支援マニュアルを作成する。
3.医療機関から非常用の人工呼吸器を借りる。
4.事業所内に利用者が避難できる場所を確保する。

解答2

解説
1.× 人工呼吸器の予備の回路を預かる必要はない。なぜなら、訪問看護事業所で預かっていると、自宅で必要になった時に使用できなくなってしまうため。緊急時にすぐに家族が使えなくなっていまう。ちなみに、訪問看護とは、看護を必要とする患者が在宅でも療養生活を送れるよう、かかりつけの医師の指示のもとに看護師や保健師などが訪問して看護を行うことである。
2.〇 正しい。災害時の個別支援マニュアルを作成する。東京都では、「東京都在宅人工呼吸器使用者災害時支援指針」を策定しており、この指針を踏まえ、江戸川区では在宅人工呼吸器使用者災害時個別支援計画を作成している。個別支援マニュアルとは、発生した場合に、電力の確保や避難の体制等がとれるよう、患者本人・家族と療養に関わる医療・福祉・行政等の関係者が情報を共有しながら作成するものである。
3.× 医療機関から非常用の人工呼吸器を借りる必要はない。なぜなら、医療機関が非常時に人工呼吸器を使えなくなるため。また、医療機関から人工呼吸器を貸し出すサービスは行っていない。
4.× 事業所内に利用者が避難できる場所を確保する必要はない。なぜなら、事業所内も災害に見舞われる可能性が高いため。災害が起こった際に安全に避難できる場所や道路を事前に把握しておくことが大切である。

 

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