第111回(R4) 看護師国家試験 解説【午後16~20】

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16 貧血の定義で正しいのはどれか。

1.血圧が低下すること
2.脈拍が速くなること
3.立ち上がると失神を起こすこと
4.ヘモグロビン濃度が減少していること

解答4

解説

貧血の定義

貧血とは、「単位容積の血液中に含まれているヘモグロビン(Hb)量が基準値より減少した状態」と定義している。基準値を、小児および妊婦では血液100mLあたり11g未満、思春期および成人女性では12g未満、成人男性では13g未満と定めている。

1.× 血圧が低下すること(100mmhg以下)は、低血圧である。
2.× 脈拍が速くなること(100回/分以上)は、頻脈である。
3.× 立ち上がると失神を起こすことは、起立性低血圧の症状の1つである。起立性低血圧とは、寝た姿勢や座った姿勢から急に起き上がったり、立ち上がった際に血圧が低下し、めまいが起こる症状である。症例は運動時に症状が生じている。起立性低血圧は、原因として①自律神経障害、②薬剤性、③加齢、④飲酒、⑤出血や脱水などの循環血漿量の低下が挙げられる。
4.〇 正しい。ヘモグロビン濃度が減少していることは、貧血の定義である。

 

 

 

 

 

17 全身性けいれん発作を起こしている患者に最も優先して行うのはどれか。

1.気道確保
2.周囲の環境整備
3.末梢静脈路の確保
4.心電図モニターの装着

解答1

解説

全身性けいれん発作とは?

全身性けいれん発作とは、意識をなくし、手足をつっぱらせた後、ガクガクさせる全身けいれん発作である。口から泡をふき、眼は白目をむくが、つっぱり(強直)・ガクガク(間代)は通常、数分でおさまる。一時的に呼吸が止まり、顔色が悪くなることもあるが、けいれんがおさまれば回復する。

対応として、衣服をゆるめて、気道を確保する。また、吐物による窒息を避けるために横向きに寝かせることも重要である。一方、口にタオルをかませたり、箸を入れたりすると、窒息してしまったり口の中を傷つける恐れがあるため絶対しない。

1.〇 正しい。気道確保は、全身性けいれん発作を起こしている患者に最も優先する。対応として、衣服をゆるめて、気道を確保する。また、吐物による窒息を避けるために横向きに寝かせることも重要である。一方、口にタオルをかませたり、箸を入れたりすると、窒息してしまったり口の中を傷つける恐れがあるため絶対しない。
2.× 周囲の環境整備の優先度は低い。設問の「周囲の環境整備」だけでは、何をどのように整備するか具体的な手段がこれだけだと読み取れず選択しにくい。①5分たっても、発作がおさまらない場合や、②呼吸が不規則な状態が続く場合は、救急車を呼ぶ必要があるため、救急車を呼べる手配や安全確保が必要になる。
3~4.× 末梢静脈路の確保/心電図モニターの装着は必要ない。なぜなら、通常、数分でおさまるため。一時的に呼吸が止まり、顔色が悪くなることもあるが、けいれんがおさまれば回復する。

 

 

 

 

18 左心不全でみられる症状はどれか。

1.肝腫大
2.下腿浮腫
3.起坐呼吸
4.頸静脈怒張

解答3

解説

心不全とは?

心不全は心臓のポンプ機能低下のため末梢組織の酸素需要に見合った血液量を供給できない状態である。肺循環系にうっ血が著明なものを左心不全、体循環系にうっ血が著明なものを右心不全という。体液の著明やうっ血を生じ、主な症状として呼吸困難、咳嗽、チアノーゼ、血性・泡沫状喀痰(ピンクの痰)などがある。

心拍出量の低下を起こす原因として、
・左心不全:肺循環系にうっ血が著明なもの(呼吸困難、起座呼吸、尿量減少など)
・右心不全:体循環系にうっ血が著明なもの(頸静脈怒張、胸水・腹水、下腿浮腫、肝腫大など)
右室拡張末期圧の上昇(体循環の静脈系のうっ血)により右心不全は引き起こされる。

1~2.4.× 肝腫大/下腿浮腫/頸静脈怒張は、右心不全でみられる症状である。体循環系にうっ血が著明なものを右心不全という。
3.〇 正しい。起坐呼吸は、左心不全でみられる症状である。肺循環系にうっ血が著明なものを左心不全という。他にも、尿量減少などが生じる。

 

 

 

 

 

19 大腸の狭窄による便秘はどれか。

1.器質性便秘
2.痙攣型便秘
3.弛緩型便秘
4.直腸性便秘

解答1

解説
1.〇 正しい。器質性便秘は、大腸の狭窄による便秘である。器質性便秘とは、胃や小腸、大腸、肛門などに何らかの疾患があり、それが原因で便秘になっている状態をいう。突然の排便障害とともに、腹部膨満感、腹痛、嘔気・嘔吐などが生じる場合に疑われる。
2.× 痙攣型便秘とは、自律神経を介した大腸の緊張亢進により腸管の痙攣性収縮が起こり、特にS状結腸で痙攣性収縮が持続すると直腸までの糞便の輸送が妨げられている状態をいう。
3.× 弛緩型便秘とは、大腸筋層の機能低下が生じ、蠕動運動が障害され、大腸が弛緩し、糞便が大腸内に長時間とどまっている状態をいう。食物繊維の摂取量の減少が関与していると考えられて、水分が過剰に吸収され、便が硬くなり、排便困難が生じる。
4.× 直腸性便秘とは、直腸内に便が到達しても排便反射が弱く、便意を伴わないことによる便秘のことである。 特に、高齢者や、やせ形の女性、長期臥床者などでみられやすい。

 

 

 

 

20 左片麻痺患者の上衣の交換で適切なのはどれか。

1.左腕から脱がせ、左腕から着せる。
2.左腕から脱がせ、右腕から着せる。
3.右腕から脱がせ、左腕から着せる。
4.右腕から脱がせ、右腕から着せる。

解答3

解説

【上着の脱ぎ方】
非麻痺側→麻痺側の順番で行う。

【上着(前開き)の着方】
麻痺側→非麻痺側の順番で行う。

つまり、片手だけ袖を通している状態になるときは、必ず麻痺側となっている。これは介助や動作がしやすくなるためである。

したがって、選択肢3.右腕(非麻痺側)から脱がせ、左腕(麻痺側)から着せる

 

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