第113回(R6) 看護師国家試験 解説【午後6~10】

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6 成長・発達における順序性で正しいのはどれか。

 1.頭部から脚部へ
 2.微細から粗大へ
 3.複雑から単純へ
 4.末梢から中心へ

解答

解説
 1.〇 正しい。頭部から脚部へは、成長・発達における順序性である。成長発達には、方向性・順序性があり、中枢から末梢の方向へ、身体の頭部から足の方向へ進む。
 2.× である。「粗大」から「微細」へ成長・発達する。
 3.× である。「単純」から「複雑」へ成長・発達する。
 4.× である。「中心」から「末梢」へ成長・発達する。

 

 

 

 

 

7 第二次性徴が発現し始めた思春期に関心が向くのはどれか。

 1.善悪の区別
 2.仕事と家庭の両立
 3.自己の身体の変化
 4.経済力の確保と維持

解答

解説

第二次性徴とは

二次性徴とは、性ホルモンの分泌が促進されることにより、性器および身体に現れる変化である。第二次性徴に関わるホルモンは、男性の場合はアンドロゲン、女性の場合はエストロゲンとプロゲステロンである。アンドロゲンは精巣から、エストロゲンとプロゲステロンは卵巣から分泌される。

平均的に見ると男児の場合は、10歳前後に始まり約5年間続く。 体の成長には決まった順番があり、①睾丸の発達→②陰毛の発生→③精通→④声変わり→⑤体型の変化という順番をたどる。女児の場合は、8歳前後から始まり①乳房発育→②陰毛発生→③初経という順に進行することが一般的である。その評価にはTanner分類が用いられている。

 1.× 善悪の区別は、ハヴィガースト.R.Jによると乳幼児期に関心が向くものである。
 2.× 仕事と家庭の両立は、ハヴィガースト.R.Jによると壮年期に関心が向くものである。
 3.〇 正しい。自己の身体の変化は、第二次性徴が発現し始めた思春期に関心が向く。
 4.× 経済力の確保と維持は、ハヴィガースト.R.Jによると中年期に関心が向くものである。

ハヴィガースト.R.J.とは?

発達段階に対応する発達課題の概念を最初に提唱したとされるアメリカの教育学者である。ライフサイクルを6つの段階に分け、それぞれの時期において乗り越えなければならない代表的な課題を発達課題として示した。発達課題とは、「発達段階に対応する発達課題(能力・役割)」である。つまり、「発達課題とは人生の各段階の時期に生じる課題で、それを達成すれば人は幸福になり、次の発達段階の課題の達成も容易になるが、失敗した場合にはその人は不幸になり、社会から承認されず、次の発達段階の課題を成し遂げることが困難となる課題」とし、人間が健全で幸福な発達を遂げるために各発達段階で達成しておかなければならない課題を提唱した。

1.乳幼児期

(1) 歩行の学習
(2) 固形の食物をとることの学習
(3) 話すことの学習
(4) 大小便の排泄を統御することの学習(排泄習慣の自立)
(5) 性の相違及び性の慎みの学習
(6) 生理的安定の獲得
(7) 社会や事物についての単純な概念形成
(8) 両親、兄弟及び他人に自己を情緒的に結びつけることの学習
(9) 正・不正を区別することの学習と良心を発達させること

2.児童期

(1) 普通のゲーム(ボール遊び、水泳など)に必要な身体的技能の学習
(2) 成長する生活体としての自己に対する健全な態度の養成
(3) 同年齢の友達と仲良くすることの学習
(4) 男子または女子としての正しい役割の学習
(5) 読み、書き、計算の基礎的技能を発達させること
(6) 日常生活に必要な概念を発達させること
(7) 良心、道徳性、価値の尺度を発達させること(内面的な道徳の支配、道徳律に対する尊敬、合理的価値判断力を発達させること)
(8) 人格の独立性を達成すること(自立的な人間形成)
(9) 社会的集団ならびに諸機関に対する態度を発達させること(民主的な社会的態度の発達)

3.青年期

(1) 同年齢の男女両性との洗練された新しい関係
(2) 自己の身体構造を理解し、男性または女性としての役割を理解すること
(3) 両親や他の大人からの情緒的独立
(4) 経済的独立に関する自信の確立
(5) 職業の選択及び準備
(6) 結婚と家庭生活の準備
(7) 市民的資質に必要な知的技能と概念を発達させること(法律、政治機構、経済学、地理学、人間性、あるいは社会制度などの知識、民主主義の問題を処理するために必要な言語と合理的思考を発達させること)
(8) 社会的に責任のある行動を求め、かつ成し遂げること
(9) 行動の指針としての価値や論理の体系の学習、適切な科学的世界像と調和した良心的価値の確立(実現しうる価値体系をつくる。自己の世界観を持ち、他人と調和しつつ自分の価値体系を守る)

4.壮年初期

(1) 配偶者の選択
(2) 結婚相手との生活の学習
(3) 家庭生活の出発(第一子をもうけること)
(4) 子どもの養育
(5) 家庭の管理
(6) 就職
(7) 市民的責任の負担(家庭外の社会集団の福祉のために責任を負うこと)
(8) 適切な社会集団の発見

5.中年期

(1) 大人としての市民的社会的責任の達成
(2) 一定の経済的生活水準の確立と維持
(3) 十代の子どもたちが、信頼できる幸福な大人になれるよう援助すること
(4) 大人の余暇活動を充実すること
(5) 自分と自分の配偶者をひとりの人間として結びつけること
(6) 中年期の生理的変化を理解し、これに適応すること
(7) 老年の両親への適応

6.老年期(高齢期)

(1) 肉体的な強さと健康の衰退に適応すること
(2) 隠退と減少した収入に適応すること
(3) 配偶者の死に適応すること
(4) 自分と同年輩の老人たちと明るい親密な関係を確立すること
(5) 肉体的生活を満足におくれるよう準備態勢を確立すること

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【13問】発達課題についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

8 老化に伴う視覚の変化で正しいのはどれか。

 1.視野が狭くなる。
 2.近くが見やすくなる。
 3.色の識別がしやすくなる。
 4.明暗順応の時間が短縮する。

解答

解説
 1.〇 正しい。視野が狭くなる。なぜなら、加齢に伴い、①瞳孔の大きさを調節する筋肉の衰えによる老人性縮瞳、②水晶体の弾力性の低下による老眼、③視神経の障害による視神経線維の減少などがあげられるため。
 2.× 近くが「見やすく」ではなく見にくくなる。老眼とは、老視ともいい、遠見視力は良好であるが近見視力は低下する。
 3.× 色の識別が「しやすく」ではなくしにくくなる。なぜなら、加齢に伴い水晶体が黄変し、視界が黄色を帯びて見えるようになるため。また、水晶体は透明から黄色に着色されるため、短波長の光の透過率が減少する。その結果、青色の光が到達しにくくなり、色の識別能力が低下する。
 4.× 明暗順応の時間が「短縮」ではなく延長する。視覚は、明るさに慣れていく明順応と、暗さに慣れていく暗順応がある。これを明暗順応という。明所から暗所に移動した際、暗順応により完全に見えるようになるのには、30分ほどかかる。逆に、暗所から明所に移動した際、まぶしさに慣れる明順応は数分で完了する。

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【22問】加齢の影響についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

9 人口統計資料集2020年版における生涯未婚率(50歳時の未婚割合)で、平成22年(2010年)から令和2年(2020年)の推移で適切なのはどれか。

 1.変化はない。
 2.下降し続けている。
 3.上昇し続けている。
 4.上昇と下降を繰り返している。

解答

解説

(※引用:「ライフイベントから見る生活設計」生命保険文化センター様HPより)

 1~2.4.× 変化はない/下降し続けている/上昇と下降を繰り返しているといった推移ではない。
 3.〇 正しい。上昇し続けている
平成22年(2010年)
・男性の未婚率:20.14%
・女性の未婚率:10.61%

令和2年(2020年)
・男性の未婚率:28.25%
・女性の未婚率:17.81%

 

 

 

 

 

10 令和2年(2020年)の人口動態統計における合計特殊出生率に最も近いのはどれか。

 1.0.8
 2.1.3
 3.1.8
 4.2.3

解答

解説

合計特殊出生率

令和2年の合計特殊出生率は1.34で、前年の1.36より低下している。年次推移をみると、平成18年から上昇傾向が続いていたが、平成26年に低下し、平成27年の再上昇の後、平成28年からは再び低下している。母の年齢(5歳階級)別にみると、最も合計特殊出生率が高いのは、30~34歳となっている。出生順位別では、すべての出生順位で前年より低下している。

(※引用:「令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況」厚生労働省様HPより)

 1.3~4.× 0.8/1.8/2.3は、令和2年(2020年)の人口動態統計における合計特殊出生率とはいえない。
 2.〇 正しい。1.3は、令和2年(2020年)の人口動態統計における合計特殊出生率に最も近い。

 

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