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46 Aさん(58歳、男性)は農作業中に有機リン系殺虫剤を散布していたところ、急な嘔気と頭痛、呼吸困難が出現したため救急搬送された。搬入時、呼吸は促迫で流涎があり、縮瞳が認められた。
Aさんに直ちに投与される薬剤はどれか。
1.ビタミンK製剤
2.オキシコドン塩酸塩
3.バンコマイシン塩酸塩
4.アトロピン硫酸塩水和物
解答4
解説
・Aさん(58歳、男性)
・農作業中に有機リン系殺虫剤を散布していたところ、急な嘔気と頭痛、呼吸困難が出現した。
・搬入時:呼吸は促迫で流涎があり、縮瞳が認められた。
→本症例は、有機リン中毒が疑われる。有機リン中毒は、アセチルコリンエステラーゼ阻害によって副交感神経症状(縮瞳、流涎、発汗、気管支分泌亢進、下痢、徐脈など)がみられる。主に、農薬中毒の原因物質である。
1.× ビタミンK製剤は、血液凝固に関係する薬剤である。
・ビタミンKとは、血液凝固のほかに骨形成(骨をつくる骨芽細胞の働き)を促進する作用と骨吸収(骨を壊す破骨細胞の働き)を抑制する作用がある。骨粗鬆症における骨量(骨の材料であるカルシウムとリンの量)の減少を抑えたり痛みを和らげる効果がある。
2.× オキシコドン塩酸塩は、オピオイド鎮痛薬である。
・オキシコドンとは、がん疼痛などの強い痛みに用いられる医療用麻薬である。
3.× バンコマイシン塩酸塩は、抗菌薬である。
・バンコマイシンとは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症などで用いられる抗菌薬である。
4.〇 正しい。アトロピン硫酸塩水和物は、Aさんに直ちに投与される薬剤である。なぜなら、アトロピン硫酸塩水和物は、ムスカリン受容体を遮断し、有機リン中毒による副交感神経過剰症状を改善する薬であるため。流涎、気道分泌増加、気管支攣縮、徐脈、縮瞳などに有効である。
47 慢性疾患患者の家族介護者に対するレスパイトケアの目的で正しいのはどれか。
1.家族介護者の休養
2.家族介護者同士の交流
3.居宅サービス料金の補助
4.家族介護者への介護方法の指導
解答1
解説
レスパイトケアとは、利用者と家族が活用できる資源の一つで、在宅介護の要介護状態の方(利用者)が、福祉サービスなどを利用している間、介護をしている家族などが一時的に介護から解放され、休息をとれるようにする支援のことである。ちなみに、レスパイト(respite)とは、「息抜き・休息」を意味する。レスパイトサービスとして、訪問介護・通所介護・短期入所生活介護などが挙げられる。
1.〇 正しい。家族介護者の休養は、慢性疾患患者の家族介護者に対するレスパイトケアの目的である。なぜなら、レスパイトケアは、家族介護者が一時的に介護から離れ、心身の疲労を回復するための支援であるため。
2.× 家族介護者同士の交流は、家族会や介護者教室、ピアサポートが該当する。
・ピアサポーターとは、障害や疾病など同じような境遇にある人が、自身の体験をもとに相談や同じ仲間として社会参加や地域交流など問題の解決を支援する活動を行う。同じ立場の当事者同士が体験を語り合うことで支え合うことをいいその当事者のことである。
3.× 居宅サービス料金の補助は、介護保険や障害福祉制度などが関係し、利用者負担が軽減される。
・居宅サービスとは、自宅で生活する人を対象とした介護保険の介護サービス全般のことをいう。利用者は要介護2以下が7割を占めているというデータもあり、その割合は年々増加傾向となっている。
【居宅サービスの種類】
訪問看護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所介護、通所リハビリテーション、短期入所生活介護、短期入所療養介護、特定支援入居者生活介護、福祉用具貸与、特定福祉用具販売、住宅改修費支給
4.× 家族介護者への介護方法の指導は、レスパイトケアの主目的ではない。
・レスパイトケアは「介護を上手にできるように教えること」ではなく、「介護者が休める時間を確保すること」である。
48 不安定狭心症の成人患者に対する退院指導で、胸痛発作時に用いる硝酸薬の説明で正しいのはどれか。
1.「冷蔵庫で保存してください」
2.「使用して15分程度で効果が出ます」
3.「痛みが強いときはかみ砕いてください」
4.「使用後は急に立ち上がらないでください」
解答4
解説
狭心症とは、心臓に血液を供給する血管の狭窄により、心筋が虚血(酸素不足)状態になることによって生じる病気である。治療は、血管を拡張させる薬(硝酸薬)や、狭窄の原因となる動脈硬化や血栓を予防する薬(抗血小板薬)を用いる。
1.× 「冷蔵庫」ではなく室温保存にて保存する。狭心症発作時に使用するニトログリセリン舌下錠は、必要時にすぐ使用できるよう携帯することが重要である。
2.× 使用して「15分程度」ではなく数分で効果が出る。なぜなら、ニトログリセリン舌下錠は、口腔粘膜から吸収されるため。
・舌下投与とは、薬を舌の下に置いて溶かし、口腔粘膜から吸収させる方法である。飲み込んで胃腸から吸収させるより速やかに作用する。
3.× 痛みが強いとき「でもかみ砕かない」。なぜなら、硝酸薬は、製剤ごとに使用方法が決まっており、代表的なニトログリセリン舌下錠は舌下で溶かして吸収させる薬であるため。
・ニトログリセリン舌下錠は、舌の下に置いて唾液で溶かし、口腔粘膜から吸収させる。
4.〇 正しい。「使用後は急に立ち上がらないでください」と指導する。なぜなら、硝酸薬は、血管拡張作用により血圧を低下させ、起立性低血圧、めまい、失神を起こすことがあるため。
・硝酸薬とは、主に静脈を拡張させて心臓に戻る血液量を減らし、心臓の負担と酸素需要を減らすことで狭心症の胸痛を軽減する薬である。一方で、血管が拡張するため血圧が下がりやすく、使用後に急に立ち上がると、立ちくらみや転倒につながる。
49 肝動脈塞栓術〈TAE〉の適応となる疾患はどれか。
1.肝囊胞
2.脂肪肝
3.肝細胞癌
4.急性A型肝炎
解答3
解説
肝動脈塞栓術(TAE)とは、肝細胞癌を栄養している肝動脈内にカテーテルを挿入し、肝動脈内に抗癌剤と塞栓物質を投与して血流を遮断し、兵糧攻めにして癌を死滅させる方法である。2年生存率は75%、5年生存率は25~50%と報告されている。副作用・合併症の発症率は低いものの、カテーテルの操作や造影剤・塞栓材料・抗がん剤などの薬物による疼痛・発熱・吐き気、穿刺部の感染、腎機能低下に伴う二次的疾患の発症などのリスクがある。
1.× 肝囊胞とは、肝臓内に袋状に水がたまる良性の腫瘤である。一般に自覚症状が少なく、無症状が多い。偶然に、または健診などで発見されることがある。40歳以上の中高年層が80%と大部分を占め、性別では女性が多いとされている。多くは良性で無症状であり、経過観察となることが多い。
2.× 脂肪肝とは、中性脂肪が肝臓に多くたまった状態である。原因としては、お酒の飲みすぎや肥満、メタボリックシンドロームなどである。初期は、ほとんど症状がないが、進行した場合は、①食欲不振、②体のだるさなどの症状がみられる。治療は、飲酒制限や食事療法、運動療法、減量に加えて、脂質異常症や糖尿病に対する薬物療法などがある。
3.〇 正しい。肝細胞癌は、肝動脈塞栓術〈TAE〉の適応となる。なぜなら、肝細胞癌は、肝動脈から豊富な血流を受ける腫瘍であり、その血流を塞栓することで腫瘍を虚血・壊死させる治療が有効であるため。
・肝細胞癌とは、肝臓の細胞ががん化したものである。肝細胞がんの発生には、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスの感染、アルコール性肝障害、非アルコール性脂肪肝炎などによる、肝臓の慢性的な炎症や肝硬変が影響している。肝臓は、肝動脈と門脈の二重血流支配を受けており、肝細胞癌は主に肝動脈からの血流支配を受けている。そのため、肝細胞癌を支配する肝動脈を塞栓物質で血流遮断することで治療する。
4.× 急性A型肝炎とは、A型肝炎ウイルス(HAV)感染による疾患である。通常、感染した人の便で汚染されたものを摂取したときに感染する。初期症状は倦怠感や発熱、頭痛、筋肉痛等で、一過性の急性肝炎が主症状であり、治癒後に強い免疫が残る。治療は、通常、安静を含めた対症療法が中心となる。
50 多発性筋炎と診断された成人の症状について正しいのはどれか。
1.両頰に紅斑がある。
2.足関節が動かせない。
3.物を持ち上げられない。
4.温熱刺激で手指が白色になる。
解答3
解説
多発性筋炎とは、自己免疫性の炎症性筋疾患で、主に体幹や四肢近位筋、頸筋、咽頭筋などの筋力低下をきたす。典型的な皮疹を伴うものは皮膚筋炎と呼ぶ。膠原病または自己免疫疾患に属し、骨格筋に炎症をきたす疾患で、遺伝はなく、中高年の女性に発症しやすい(男女比3:1)。5~10歳と50歳代にピークがあり、小児では性差なし。四肢の近位筋の筋力低下、発熱、倦怠感、体重減少などの全身症状がみられる。手指、肘関節や膝関節外側の紅斑(ゴットロン徴候)、上眼瞼の腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)などの特徴的な症状がある。合併症の中でも間質性肺炎を併発することは多いが、患者一人一人によって症状や傷害される臓器の種類や程度が異なる。予後は、5年生存率90%、10年でも80%である。死因としては、間質性肺炎や悪性腫瘍の2つが多い。悪性腫瘍に対する温熱療法は禁忌であるので、その合併が否定されなければ直ちに温熱療法を開始してはならない。しかし、悪性腫瘍の合併の有無や皮膚症状などの禁忌を確認したうえで、ホットパックなどを用いた温熱療法は疼痛軽減に効果がある。
(※参考:「皮膚筋炎/多発性筋炎」厚生労働省様HPより)
1.× 両頰に紅斑があるのは、「全身性エリテマトーデス〈SLE〉」である。
・全身性エリテマトーデスとは、皮膚・関節・神経・腎臓など多くの臓器症状を伴う自己免疫性疾患である。皮膚症状は顔面の蝶形紅斑、口腔潰瘍、手指の凍瘡様皮疹である。10~30歳代の女性に好発する多臓器に障害がみられる慢性炎症性疾患であり、寛解と再燃を繰り返す病態を持つ。遺伝的素因を背景にウイルス感染などが誘因となり、抗核抗体などの自己抗体産生をはじめとする免疫異常で起こると考えられている。本症の早期診断、早期治療が可能となった現在、本症の予後は著しく改善し、5年生存率は95%以上となった。主な治療法として、①非ステロイド系消炎鎮痛剤、②ステロイド剤などである。
2.× 足関節は「動かせることが多い」。なぜなら、多発性筋炎では、主に近位筋が障害されるため。足関節のような遠位部の運動障害が中心ではない。
3.〇 正しい。物を持ち上げられない。なぜなら、多発性筋炎では、肩や上腕などの近位筋に炎症が起こり、筋力が低下するため。したがって、腕を上げる動作や物を持ち上げる動作が困難になる。
4.× 温熱刺激で手指が白色になるのは、「レイノー現象」である。
・レイノー現象とは、四肢(特に手指)が蒼白化、チアノーゼを起こす現象である。手指の皮膚が寒冷刺激や精神的ストレスにより蒼白になり、それから紫色を経て赤色になり、元の色調に戻る一連の現象をいう。
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