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76 心臓からの血液の拍出について正しいのはどれか。
1.静脈還流量より多い。
2.左心系の方が右心系より多い。
3.左右の動脈弁は同時に閉まる。
4.心房拡張期の途中で房室弁が開く。
5.心室収縮期は動脈弁が開いて開始する。
解答4
解説

(※図引用:「看護師 イラスト集【フリー素材】」看護roo!様HPより)
心周期とは、心臓の収縮と弛緩からなる、心臓ポンプの1回の心拍動のことである。心周期は5つに分けられる。
①心房収縮期(心房が収縮し、左右の房室弁が開くことで、心房内の血液が心室に送られる)
②等容性収縮期(心室の収縮が始まる段階。心室内圧は上昇し、すべての弁は閉じる。血液に動きはない。)
③駆出期(さらに心室が収縮し、心室内圧が動脈内圧を上まわる。動脈弁が開き、心室内の血液は動脈へと流れる。)
④等容性拡張期(心室筋が弛緩して拡張が始まる段階。血液が動脈へと流れ出た後、心室圧は低下する。心室圧が動脈圧を下回ると、すべての弁が閉じる。心房には血液が流れ込み始める。)
⑤充満期(心房と心室がさらに拡張し、心室内圧が低下して房室弁が開き、心房の血液が心室に流れ込む。)
1.× 静脈還流量「より多い」のではなく等しい。なぜなら、心臓が拍出する血液量が静脈還流量より多い状態が続くと、心臓内に戻る血液が不足してしまうため。逆に、静脈還流量より拍出量が少ない状態が続くと、静脈系に血液がうっ滞する。そのため、生理的には心拍出量と静脈還流量はつり合うように調整されている。
・静脈還流量とは、全身から右心房へ戻ってくる血液量である。
2.× 左心系の方が右心系より多い「わけではない」。右心系と左心系の拍出量は、循環が連続しているため基本的に等しい。なぜなら、右心系が肺へ送った血液量と、左心系が全身へ送る血液量は、長期的には等しくなるため。
3.× 左右の動脈弁は同時に「閉まらない」。通常、大動脈弁が先に閉じ、その後に肺動脈弁が閉じる。なぜなら、心室収縮が終わり、心室圧が動脈圧より低くなると動脈弁が閉じるため。
・大動脈弁とは、左心室から大動脈への血流を制御するための弁である。
・肺動脈弁とは、右心室と肺動脈の間にあり、3枚の弁で構成されている。
4.〇 正しい。心房拡張期の途中(充満期)で房室弁が開く。なぜなら、心室拡張が進んで心室内圧が心房内圧より低くなると、房室弁が開くため。
・房室弁とは、僧帽弁と三尖弁のことである。等容性収縮期は、心室の収縮が始まる段階であるため、心室内圧は上昇し、すべての弁は閉じる。血液に動きはないことが特徴である。
5.× 心室収縮期は、「動脈弁」ではなく房室弁が開いて開始する。心室収縮が始まると、心室内圧が上昇する。心室内圧が心房内圧を超えるため、房室弁が閉じる。
77 精子形成の過程を図に示す。
染色体が2倍体(2n)から1倍体(n)になるのはどれか。

1.①
2.②
3.③
4.④
5.⑤
解答4?
※厚生労働省の正式解答は4になっているが、染色体数が2倍体(2n)から1倍体(n)になる時期を厳密に考えると、一次精母細胞から二次精母細胞になる第一減数分裂、すなわち「選択肢3」が妥当である。④は二次精母細胞から精子細胞になる第二減数分裂であり、この時点ではすでに染色体数は1倍体(n)である。したがって、本問は出題意図または図の解釈に疑義がある問題と考えられる。詳しい方がいらしたらコメント欄でご教示ください。
解説
1.× ①は、始原生殖細胞から精祖細胞へ分化する段階である。減数分裂ではないため、染色体数は基本的に2倍体(2n)のままである。この段階は、精子形成の準備段階であり、染色体数を半分にする段階ではない。
・始原生殖細胞は、将来精子や卵子のもとになる細胞である。男性では精巣に移動し、精祖細胞になる。
2.× ②は、精祖細胞から一次精母細胞になる段階である。この段階も、まだ第一減数分裂が完了していないため、染色体数は基本的に2倍体(2n)のままである。精祖細胞は、体細胞分裂、つまり有糸分裂によって増殖する。
・精祖細胞とは、精細管基底膜上に存在するまだ分化していない精細胞のことをいう。精細管の中には、胎児のときから、精子のもとになる精祖細胞があり、思春期になると、精祖細胞から精母細胞がつくられ、さらに精母細胞は精子細胞となる。
3.△ ③は、一次精母細胞から二次精母細胞になる第一減数分裂である。この時期に、染色体が2倍体(2n)から1倍体(n)になる。第一減数分裂では、父由来と母由来の相同染色体が対合し、その後それぞれ別の細胞に分配される。その結果、二次精母細胞は1倍体(n)になる。
4.〇? ④は、二次精母細胞から精子細胞になる第二減数分裂である。この時期は、すでに1倍体(n)になっている。二次精母細胞から精子細胞になる第二減数分裂であり、染色体数はnのまま変わらない。
・第二減数分裂では、相同染色体ではなく、姉妹染色分体が分離する。姉妹染色分体とは、DNA複製によってできた同じ内容を持つ染色体のコピーのことである。
5.× ⑤は、精子細胞が精子へ成熟する精子変態の段階である。つまり、精子細胞から精子への成熟であり、染色体数はnのまま変わらない。
・精子変態とは、精子細胞が成熟して精子になる過程である。細胞分裂ではなく、形態と機能が変化する段階である。丸い精子細胞の核は凝縮し、先体が形成され、鞭毛が伸び、余分な細胞質は取り除かれる。これにより、卵子へ向かって運動し、卵子に侵入できる精子となる。染色体数は変化せず、nのままである。
78 上大静脈症候群の症状はどれか。
1.喀血
2.上腕痛
3.眼瞼下垂
4.顔面浮腫
5.胸水貯留
解答4
解説
上大静脈症候群とは、上大静脈への圧迫または浸潤に起因し、頭痛または頭部充満感、顔面または上肢の腫脹、仰臥位での息切れ、頸、顔、および体幹上部の静脈怒張、ならびに顔面および体幹の紅潮(多血)を引き起こす。原因としては、肺癌や縦隔腫瘍が多い。
1.× 喀血は、上大静脈症候群の典型症状ではない。
・喀血とは、気道(気管・肺)から出血した時に見られる出血である。気道の出血が少量であれば痰に血が混じっている状態、血痰という。喀血は血液そのものを咳とともに吐く状態である。一方、吐血との区別は口から血が出たときに伴う症状で区別する。①喀血:下気道(気管支肺)からの出血、②吐血:上部消化管からの出血がある。したがって、喀血は吐血と比べると赤みが強く、泡が混じることが多く、固まりにくいという特徴がある。
2.× 上腕痛は、上大静脈症候群の典型症状ではない。なぜなら、上大静脈症候群では上肢の静脈うっ滞による腫脹や浮腫が主体であるため。したがって、痛みが主症状ではない。
3.× 眼瞼下垂は、上大静脈症候群の典型症状ではない。なぜなら、眼瞼下垂は、交感神経障害や動眼神経障害などで起こる症状であるため。
・眼瞼下垂とは、まぶたが下がってきて見にくくなる病態である。その原因は、上まぶたを上げる筋肉(眼瞼挙筋:動眼神経支配)の力が弱くなったり、その付着部である腱が弱くなったり、はがれたり、また、穴が開いたりすることである。
4.〇 正しい。顔面浮腫は、上大静脈症候群の代表的症状である。なぜなら、上大静脈が閉塞すると、顔面や頸部から心臓へ戻る静脈血がうっ滞するため。その結果、顔面や頸部に血液がうっ滞し、顔面浮腫、頸静脈怒張、上肢浮腫、チアノーゼ、呼吸困難などが出現する。
・上大静脈とは、頭頸部・上肢・胸部からの静脈血を右心房へ戻す大静脈である。
5.× 胸水貯留は、上大静脈症候群の典型症状ではない。なぜなら、胸水貯留は、胸腔内に液体がたまる病態であるため。例えば、心不全、肺癌、肺炎、結核、肝硬変、腎不全などでみられる。
胸水とは、胸腔に液体が異常にたまることや、その液体自体のことをいう。原因としては、感染症、外傷、腫瘍、外傷、心不全、肝不全、肺の血管に詰まった血栓(肺塞栓症)、薬物など、数多くある。
79 創傷の治癒過程において肉芽組織が形成されるのはどれか。
1.炎症期
2.止血期
3.出血期
4.成熟期
5.増殖期
解答5
解説
①血液凝固期(術後~数時間後):出血による凝固塊が欠損をふさいで止血する時期である。
②炎症期(術直後~3日目ころ):炎症性細胞(好中球、単球、マクロファージなど)が傷に遊走して、壊死組織や挫滅組織などを攻める時期である。
③増殖期(3日目~2週間後):線維芽細胞が周辺から遊走して、細胞外マトリックスを再構築し、血管新生が起こり、肉芽組織が形成される時期である。
④成熟期(2週間~数か月後)(再構築期:リモデリング期):線維芽細胞が減り、線維細胞へと成熟し変化するじきである。コラーゲンの再構築が起き、創部の抗張力が高くなることで創傷が治癒していく。
1.× 炎症期は、創部の異物・細菌・壊死組織を処理し、次の修復段階へつなぐ時期である。
2.× 止血期は、血管収縮と血小板・凝固因子によって出血を止める時期である。
3.× 出血期は、創傷治癒過程の標準的な分類としては通常用いない。
4.× 成熟期は、形成された肉芽組織が瘢痕へ変化し、コラーゲンが再構築される時期である。
5.〇 正しい。増殖期は、肉芽組織が形成される。増殖期は、線維芽細胞の増殖、血管新生、コラーゲン産生、再上皮化が進む。線維芽細胞が創部に入り込み、コラーゲンや細胞外基質を産生する。同時に新しい毛細血管が伸びて、酸素や栄養を供給する。このようにして形成される赤く湿った新生組織が肉芽組織である。
80 急性腎不全の症状について正しいのはどれか。
1.関節痛
2.頻呼吸
3.食欲増進
4.視力低下
5.足のムズムズ
解答2
解説
急性腎不全とは、何らかの原因によって腎臓の機能が急激に(1日以内から数週間のうちに)低下し、その結果、体液の量を一定に維持できなくなった状態である。症状としては、尿量の減少あるいは無尿、血尿、褐色調の尿、吐き気、食欲不振、全身倦怠感、意欲減退、痙攣などが起こる。
1.× 関節痛は、膠原病、痛風、関節リウマチ、ウイルス感染症などでみられやすい症状である。
2.〇 正しい。頻呼吸は、急性腎不全の症状である。なぜなら、急性腎不全では酸の排泄が障害され、代謝性アシドーシスを起こすため。つまり、急性腎不全では代謝性アシドーシスにより、頻呼吸が起こる。
・代謝性アシドーシスとは、腎機能低下や下痢、糖尿病、飢餓などによる脂質分解の亢進でHCO₃⁻(重炭酸イオン)が低下している状態である。重炭酸イオンを含んだ膵液や胆汁の喪失、腎臓での再吸収障害、体内の酸性物質が過剰になり、その中和のための消費増大によって起こる。代償として、CO₂を排出する呼吸代償(呼吸性アルカローシス)が起こる。
3.× 「食欲増進」ではなく食欲不振がみられやすい。なぜなら、急性腎不全では尿毒素が体内に蓄積し、消化器症状を起こすため。
・尿毒症とは、腎機能が低下すると、尿素窒素やクレアチニンなどの老廃物が体内に蓄積するものを指す。症状として、悪心、嘔吐、食欲不振、倦怠感、意識障害などがみられる。
4.× 視力低下は、糖尿病網膜症、高血圧性網膜症、緑内障、白内障、網膜剥離、脳血管障害などでみられやすい症状である。
5.× 足のムズムズは、慢性腎不全や透析患者でみられるレストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)に関連しやすい症状である。
・むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群、下肢静止不能症候群)は、身体末端の不快感(むずむず感)や痛みによって特徴づけられた慢性的な病態である。入眠時にむずむず感が生じると、それを軽減するために下肢を絶え間なく動かすために入眠が障害される。原因として、鉄欠乏性貧血、腎機能障害、透析患者などに多く見られ、日本において成人の3%程度に見られる。
慢性腎不全(慢性腎臓病とも)は、腎臓の濾過機能が数ヶ月〜数年をかけて徐々に低下していく病気である。その結果血液の酸性度が高くなり、貧血が起き、神経が傷つき、骨の組織が劣化し、動脈硬化のリスクが高くなる。その原因として最も多いのは糖尿病で、次に多いのは高血圧である。尿や血液、腹部超音波検査やCTなどの検査で腎臓機能に異常が見られ、その状態が3カ月以上続いている場合に診断される。
慢性腎不全(CKD)に対する治療は、①生活習慣の改善、②食事療法が重要である。
①生活習慣の改善:禁煙・大量飲酒の回避・定期的な運動・ワクチン接種による感染症の予防・癌スクリーニングなど。
②食事療法:十分なエネルギー摂取量を確保しつつ、蛋白質・塩分・リンの制限。
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