第112回(R5) 看護師国家試験 解説【午後16~20】

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問題16 モルヒネの副作用(有害事象)はどれか。

1.出血
2.難聴
3.便秘
4.骨髄抑制

解答

解説

モルヒネとは?

モルヒネとは、オピオイド鎮痛薬として、おもに鎮痛目的で用いられる。医療用麻薬でもあり、その鎮痛作用は強力である。とくに持続する鈍痛に効果が高く、一般的な鎮痛薬が効きにくい内臓痛をはじめ、各種がん痛や手術後にも適応となる。オピオイド(麻薬性鎮痛薬)とは、主に脳や脊髄などの中枢神経にあるオピオイド受容体と結合することで鎮痛効果を示す化合物である。代表的なオピオイドとして、モルヒネやオキシコドン、フェンタニルが挙げられ、主にがん疼痛の緩和ケアなどに使用される。モルヒネの副作用には、便秘、嘔気・嘔吐、眠気、呼吸抑制などがある。

 

1.× 出血が問題になるものとして、ワルファリンがあげられる。ワルファリンは抗凝固薬の一つで、血栓症や塞栓症の治療や予防に用いられる。また、がんの痛みに対して最初に使用する非オピオイド鎮痛薬である非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の副作用で血小板機能が低下し出血傾向になることがある。
2.× 難聴が問題になるものとして、アミノグリコシド系抗菌薬や抗がん薬のシスプラチンなどである。内耳が損傷を受けることがある。
3.〇 正しい。便秘は、モルヒネの副作用 (有害事象)である。なぜなら、腸蠕動運動の低下、腸管分泌抑制などの作用により、食物が消化管を通過する時間が延長するため。
4.× 骨髄抑制とは、抗がん剤や放射線治療に伴う副作用のひとつである。骨髄機能の抑制により、末梢血中の白血球・赤血球・血小板の数が減少することで生じる。初期症状として、発熱、寒気、喉の痛み、鼻血、歯ぐきの出血、息切れ、あおあざができる、出血が止まりにくい、頭が重い、動悸などである。

ステロイドの副作用

【ステロイドの機序】
ステロイドは細胞の中に入った後にグルココルチコイド受容体に結合する。ステロイドの結合したグルココルチコイド受容体は、細胞の核内へ移行し、炎症に関与する遺伝子の発現を調節すると言われている。 この結果として強力な抗炎症作用と免疫抑制作用が発揮される。

【ステロイドの副作用】
軽度:中心性肥満、体重増加、満月様顔貌
重度:消化管潰瘍、糖尿病、感染症、骨粗鬆症・骨壊死、筋炎、精神症状(抑うつ、せん妄)

ステロイドを長期的に内服した場合、体内でステロイドホルモンが分泌されなくなることがある。そのため、急に薬の内服を止めると体内のステロイドホルモンが不足し、倦怠感や血圧低下、吐き気、低血糖などの症状が起こることがある。これをステロイド離脱症候群という。

(※参考:「副腎皮質ステロイド」日本リウマチ学会様HP)

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【5問】モルヒネについての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

問題17 上腕動脈で行う聴診法による血圧測定で適切なのはどれか。

1.成人では9~10cm幅のマンシェットを用いる。
2.マンシェットの下端と肘窩が重なるように巻く。
3.マンシェットの装着部位と心臓が同じ高さになるようにする。
4.マンシェットと腕の間に指が3、4本入る程度の強さで巻く。

解答

解説
1.× 成人では、「9~10cm幅」ではなく13~17cmのマンシェットを用いる。一般的に成人のマンシェット幅は14cm(上腕用)、18cm(下肢用)である。マンシェットの幅が狭い場合は、ゴム嚢の太さも狭くなるため、血管を締める幅が小さくなる。 すると、血流が再開する時に実際の血圧よりも高い圧が必要となるので、血圧が高くなる。 逆に、マンシェットの幅が広い場合は、実際の血圧よりも低い圧で駆血できてしまうため、血圧が低くなる傾向がある。
2.× マンシェットの下端、「肘窩が重なるように」ではなく、肘窩よりも約2.5cm上に巻く。なぜなら、肘窩には聴診器を当てるため。聴診器とマンシェットは重ならないように巻く必要がある。ちなみに、肘窩とは、肘を曲げると腕の内側にできる窪みのことである。
3.〇 正しい。マンシェットの装着部位と心臓が同じ高さになるようにする。なぜなら、マンシェットを心臓と同じ高さに巻くことで、静水力学的圧力による変動が避けられるため。静水力学的圧力とは、大きな水槽内の水にかかる圧力のことである。水深が深くなればなるほど水にかかる圧力が増加する。人体の血管内の血圧でも同じ関係が成立する。つまり、マンシェットの装着位置が心臓よりも高い場合は血圧が低くなり、心臓よりも低い場合は血圧が高く測定される傾向にある。
4.× マンシェットと腕の間に指が、「3、4本」ではなく1、2本入る程度の強さで巻く。なぜなら、3、4本入る程度で緩すぎる場合は、空気を入れた際にゴム嚢が通常よりも膨らむことで、圧迫面積が小さくなり、より血圧が高値に測定される可能性が高い。

血圧測定

血圧測定には①触診法と②聴診法がある。

【触診法(収縮期血圧の測定)】
①橈骨動脈(または肘窩上腕動脈)を触知し、70mmHgまで速やかに加圧する。
②脈を触知しなくなるまで、10mmHgずつ加圧する。
③脈を触知しなくなった点から、20~30mmHg加圧する。
④1拍動に2~4mmHgの速度で減圧する。
⑤脈が触れ始めた時点の圧を収縮期血圧とする。

【聴診法(収縮期血圧と拡張期血圧の測定)】
①聴診器を肘窩上腕動脈の上に置く(マンシェットより末梢側)。
②触診法で確認した収縮期血圧の20~30mmHg上まで加圧する。
③1拍動につき2~4mmHgの速度で減圧する。
④コロトコフ音が聴こえ始めた時点の圧を収縮期血圧とする。
⑤1拍動につき2~4mmHgの速度で減圧を続ける。
⑥ コロトコフ音が聴こえなくなった時点の圧を拡張期血圧とする。

 

 

 

 

 

問題18 グリセリン浣腸を準備する際の浣腸液の温度で適切なのはどれか。

1.20℃
2.30℃
3.40℃
4.50℃

解答

解説

グリセリン洗腸とは?

病院における浣腸は、肛門にグリセリン液を入れて排便を促すために実施するグリセリン浣腸のことを指す。直腸及びS状結腸までの排便を促すことができる。便秘の原因の特定・改善だけでなく、原因のはっきりしない腹痛で苦しんでいる人に診断目的で行う。浣腸液の温度は38〜40度前後、挿入するチューブの深さは、肛門から5〜6cm程度で、注入速度は、50mlを15秒程度の時間をかけて実施する。基本的に左側臥位で行う。グリセリン洗腸を実施する際に発生のおそれがある腸管穿孔は、グリセリン浣腸のチューブが直腸前壁に当たって腸管粘膜を損傷することで起こる。肛門から直腸前壁までの長さが最も短いときに接触の危険性が高くなる。

1~2.× 20℃/30℃は低すぎる。低すぎると、腸壁の毛細血管を収縮させて血圧を上昇させたり、寒気や不快感、腸痙攣などを起こす危険性がある。
3.〇 正しい。40℃は、グリセリン浣腸を準備する際の浣腸液の温度である。
4.× 50℃は高すぎる。あまり高すぎると刺激が強すぎて腸粘膜に炎症を起こす危険性がある。

 

 

 

 

 

問題19 不活動状態が持続することで生じるのはどれか。

1.廃用症候群
2.緊張病症候群
3.慢性疲労症候群
4.シックハウス症候群

解答

解説
1.〇 正しい。廃用症候群は、不活動状態が持続することで生じる。廃用症候群とは、病気やケガなどの治療のため、長期間にわたって安静状態を継続することにより、身体能力の大幅な低下や精神状態に悪影響をもたらす症状のこと。関節拘縮や筋萎縮、褥瘡などの局所性症状だけでなく、起立性低血圧や心肺機能の低下、精神症状などの症状も含まれる。一度生じると、回復には多くの時間を要し、寝たきりの最大のリスクとなるため予防が重要である。廃用症候群の進行は速く、特に高齢者はその現象が顕著である。1週間寝たままの状態を続けると、10~15%程度の筋力低下が見られることもある。
2.× 緊張病症候群とは、①緊張病性興奮、②緊張病性昏迷、③カタレプシー、④反響言語・動作、⑤常同、⑥しかめ面などの奇異な表情の症状が含まれる。緊張病症候群は、主に緊張型統合失調症にみられる症状の総称である。多くは急性期~消耗期で現れる。
3.× 慢性疲労症候群とは、長期間続く極度の疲労感を主症状とする症候群で、明確な原因は不明である。これまで健康に生活していた人がある日突然原因不明の激しい全身倦怠感に襲われ、それ以降強度の疲労感と共に、微熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、脱力感、思考力の障害、抑うつ症状などが長期にわたって続くため、健全な社会生活が送れなくなるという疾患である。
4.× シックハウス症候群とは、建物内の化学物質や微生物、ハウスダストなどが原因で発症する症状群である。症状は、目がチカチカする、鼻水、のどの乾燥、吐き気、頭痛、湿疹など人によってさまざまである。原因として、住宅の高気密化・高断熱化などが進み、①化学物質による空気汚染、②湿度の高さによる細菌、カビ、ダニが繁殖、一般的な石油ストーブからの汚染物質(一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物など)の放出である。他にも、たばこの煙にも有害な化学物質である。(※参考:「シックハウス対策のページ」厚生労働省HPより)

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【7問】廃用症候群についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

問題20 入浴の援助で正しいのはどれか。

1.入浴前後は水分制限をする。
2.入浴時の湯温は45℃とする。
3.脱衣室と浴室の温度差を小さくする。
4.浴室に入り、始めに浴槽に浸かるように促す。

解答

解説
1.× 入浴前後は水分制限をする必要はない。むしろ、入浴時に適切な水分補給を行う。なぜ入浴による発汗が生じるため。脱水の予防が大切である。
2.× 入浴時の湯温は、「45℃」ではなく38℃~40℃程度とする。なぜなら、45℃の場合、火傷や循環器への負担が増大するため。心臓病や高血圧の人は40℃以下に設定し、また、高齢者は身体に負担の少ない半身浴を勧めたほうが良い。
3.〇 正しい。脱衣室と浴室の温度差を小さくする。なぜなら、ヒートショックを予防できるため。ヒートショックとは、急激な気温差によって血圧が大きく変動し、心臓や血管に負担がかかった状態のことをいう。軽度な症状であれば立ちくらみ程度で少し休むと回復するが、重度になると、心筋梗塞や脳梗塞、大動脈解離など、命にかかわる病気を発症する。
4.× 浴室に入り、始めに浴槽に浸かるように促す必要はない。むしろ、入浴時には、まず体を洗ってから浴槽に浸かるように促す。衛生面が確保されると同時に、体への急激な温度変化(ヒートショックの予防)につながる。

 

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