第112回(R5) 看護師国家試験 解説【午後21~25】

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問題21 成人の気道の異物除去を目的とするのはどれか。

1.胸骨圧迫
2.人工呼吸
3.頭部後屈顎先挙上法
4.腹部圧迫法〈Heimlich法:ハイムリック法〉

解答

解説

一次救命処置の手順

一次救命処置とは、呼吸が止まり、心臓も動いていないと見られる人の救命へのチャンスを維持するため、特殊な器具や医薬品を用いずに行う救命処置であり、胸骨圧迫と人工呼吸からなる心肺蘇生法(CPR)、そしてAEDの使用を主な内容とする。

①安全確認と感染防御
②意識状態の確認
③協力者を集める
④気道確保・呼吸の確認
⑤人工呼吸2回
⑥胸骨圧迫式心マッサージ
⑦AEDによる除細動

※安全確認と感染防御が最優先だが、設問の選択肢にないので、次の段階で優先される選択肢を選ぶ。

1.× 胸骨圧迫は、心肺蘇生法の一部である。胸骨圧迫とは、心停止した傷病者の心臓付近を圧迫することにより脳や心臓に血液の循環を促す心肺蘇生を目的とした一次救命処置である。成人と幼児で適する力の入れ具合や胸骨の沈み具合が異なる。成人では胸骨が、5cmほど沈むように胸骨圧迫をする。一方で、幼児では年齢に応じた体格の差があるため、成人のような絶対値を当てはめることができない。そのため、幼児においては個別の体格を判断したうえで、胸の厚さの1/3程度が沈む強さで胸骨圧迫を行うことが推奨されている。年齢にかかわらず100~120回を目安に行う。
2.× 人工呼吸は、心肺蘇生法の一部である。気道を確保したまま傷病者の鼻をつまみ、口を大きく開けて傷病者の日を覆い、息をゆっくりと1.5~2秒かけて2回吹き込む(吹き込む量は、傷病者の胸が膨らむ程度)。 その後、5秒に1回の速さで行う。
3.× 頭部後屈顎先挙上法は、気道確保のために行われる手技である。気管挿管前に、救急人工呼吸手技の一環として行われる手法である。片手を額に当て、もう一方の手の人差指と中指の2本をあご先(骨のある硬い部分)に当てて、頭を後ろにのけぞらせ(頭部後屈)、あご先を上げる(あご先挙上)。(※読み:とうぶこうくつあごさききょじょうほう)
4.〇 正しい。腹部圧迫法〈Heimlich法:ハイムリック法〉は、成人の気道の異物除去を目的とする。救助者は、患者の後ろに立って手を腹部に当て、突き上げるようにし横隔膜を圧迫する。

 

 

 

 

 

問題22 看護師が行う処置で滅菌手袋を使用すべきなのはどれか。

1.筋肉内注射
2.口腔内吸引
3.ストーマパウチの交換
4.尿道カテーテルの挿入

解答

解説

MEMO

・滅菌手袋:主に手術用(無菌操作)に用いられる。
・非滅菌手袋:検査・検診用や多用途に用いられる。

1.× 筋肉内注射は、非滅菌手袋で実施する。ちなみに、筋肉内注射とは、血管が豊富に分布する筋肉内に注射することで、薬剤の吸収を早める目的で行われる。薬剤が容易に確実に末梢血管に吸収されるため、皮下注射の約2倍の速さで効果が現れる。
2.× 口腔内吸引は、非滅菌手袋で実施する。ちなみに、口腔内吸引とは、口腔内にたまった唾液や、うまく嚥下できずに口腔内に残った食べ物や水分を、吸引装置と吸引カテーテルを用いて体外に吸い出すことである。
3.× ストーマパウチの交換は、非滅菌手袋で実施する。ストーマとは、腸や尿管をお腹の外に出して作った人工肛門・人工膀胱のことである。ストーマパウチとは、パウチ呼ばれる袋のことで、排泄物を溜めるなどして、日常生活をほとんど制限なくおくることができるものである。
4.〇 正しい。尿道カテーテルの挿入は、看護師が行う処置で滅菌手袋を使用すべきである。なぜなら、尿路感染をひき起こす危険性が高いため。また、排尿による自浄作用が失われると、体の中に溜まった尿に細菌が増殖しやすい。

標準予防策〈standard precautions〉とは?

標準予防策〈standard precautions〉とは、院内感染の防止策として推奨されている方法である。感染の有無に関わらず入院患者すべてに適用される予防対策であり、患者の血液や体液、分泌、排泄されるすべての湿性物質、粘膜、創傷の皮膚などは感染の恐れがあるとみなして、対応、行動する方法である。

 

 

 

 

 

問題23 静脈血採血の穿刺時の皮膚に対する針の適切な刺入角度はどれか。

1.15~20度
2.35~40度
3.55~60度
4.75~80度

解答

解説

注射部位の深さ

深さ:表皮→真皮→皮下組織→静脈→筋肉の順に深くなる。
角度:皮内(ほぼ水平)→皮下注射(10~30度)→筋肉内注射(45~90度)である。

注射部位が浅ければ刺入角度を小さくし、注射部位が深ければ刺入角度を大きくする。

1.〇 正しい。15~20度は、静脈血採血の穿刺時の皮膚に対する針の適切な刺入角度である。ちなみに、針の太さは21~23Gが適切である。駆血帯を外してから抜針する必要がある。
2~4.× 35~40度/55~60度/75~80度は、角度が大きすぎる。角度が大きすぎると、血管や神経の貫通、損傷の危険性が高まる。

 

 

 

 

 

問題24 成人の一次救命処置〈BLS〉における胸骨圧迫の速さ(回数)で正しいのはどれか。

1.40~60回/分
2.70~90回/分
3.100~120回/分
4.130~150回/分

解答

解説

胸骨圧迫とは?

胸骨圧迫とは、心停止した傷病者の心臓付近を圧迫することにより脳や心臓に血液の循環を促す心肺蘇生を目的とした一次救命処置である。成人と幼児で適する力の入れ具合や胸骨の沈み具合が異なる。成人では胸骨が、5cmほど沈むように胸骨圧迫をする。一方で、幼児では年齢に応じた体格の差があるため、成人のような絶対値を当てはめることができない。そのため、幼児においては個別の体格を判断したうえで、胸の厚さの1/3程度が沈む強さで胸骨圧迫を行うことが推奨されている。年齢にかかわらず100~120回を目安に行う。

1~2.× 40~60回/分,70~90回/分は、不足している。
3.〇 正しい。100~120回/分は、成人の一次救命処置〈BLS〉における胸骨圧迫の速さ(回数)である。
4.× 130~150回/分は、多すぎる。

(※画像引用:「BLSとは?」日本ACLS協会ガイド様HPより)

 

 

 

 

 

問題25 腹部前面を図に示す。
 McBurney〈マックバーニー〉圧痛点はどれか。

1.①
2.②
3.③
4.④
5.⑤

解答

解説

マックバーニー圧痛点とは?

McBurney圧痛点とは、盲腸炎(急性虫垂炎)の診断に役立つ、腹部の特定の点で感じる圧痛のことを指す。右下腹部(右上前腸骨棘と臍を結ぶ線を3等分し、右から3分の1)に位置する圧痛点である。盲腸炎の疑いがある場合、この点に圧力を加えると患者は痛みを感じる。医師は、この圧痛点に加えて他の診断方法を用いて盲腸炎の確定診断を行う。

ほかにも、急性虫垂炎には、ランツ点、キュンメル点、モンロー点という特徴的な圧痛点がある。モンロー圧痛点は右上前腸骨棘と臍を結ぶ線の中間点を指し、腹直筋の外縁と交叉する部位に相当する圧痛点のことを指す。

1.× ①(心窩部)の圧痛では、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などが疑われる。
2.× ②(臍部)の圧痛に関しては、特に疑うべき疾患はないが、臍部周辺の安静時痛は、過敏性腸症候群や感染症腸炎などが疑われる。
3.〇 正しい。は、McBurney〈マックバーニー〉圧痛点である。
4.× ④は、McBurney圧痛点の反対側である。
5.× ⑤(恥骨直上)圧痛に関しては、特に疑うべき疾患はない。

 

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