第113回(R6) 看護師国家試験 解説【午前11~15】

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11 肘関節を伸展させる筋肉はどれか。

 1.三角筋
 2.大胸筋
 3.上腕三頭筋
 4.上腕二頭筋

解答

解説
 1.× 三角筋の【起始】肩甲棘、肩峰、鎖骨の外側部1/3、【停止】上腕骨三角筋粗面、【作用】肩関節外転、前部は屈曲、後部は伸展である。
 2.× 大胸筋の【起始】鎖骨部:鎖骨内側1/2~2/3、胸肋部:胸骨前面と上5~7個の肋軟骨、腹部:腹直筋鞘前葉の表面、【停止】上腕骨の大結節稜、【作用】肩関節内転・内旋、鎖骨部:肩甲骨屈曲、腹部:肩関節下制である。
 3.〇 正しい。上腕三頭筋は、肘関節を伸展させる筋肉である。上腕三頭筋の【起始】内側頭:上腕骨後面の橈骨神経溝の下方の大部分(広い)、両側の筋間中隔、外側頭:上腕骨橈骨神経溝の上方、長頭:肩甲骨の関節下結節、【停止】尺骨の肘頭、【作用】肘関節伸展、肩関節伸展である。
 4.× 上腕二頭筋の【起始】長頭:肩甲骨の関節上結節、短頭:肩甲骨の烏口突起、【停止】橈骨粗面、腱の一部は薄い上腕二頭筋腱膜となって前腕筋膜の上内側に放散、【作用】肘関節屈曲、回外(長頭:肩関節外転、短頭:肩関節内転)である。

 

 

 

 

 

12 脳幹に含まれる部位はどれか。

 1.延髄
 2.小脳
 3.下垂体
 4.松果体

解答

解説

(※図引用:「イラスト素材:脳」illustAC様より)

 1.〇 正しい。延髄は、脳幹に含まれる。脳幹は、中枢神経系を構成する部位が集まっている器官で、中脳延髄から構成されている。この脳幹は視床下部と通信をすることで覚醒と睡眠間の移行を制御する。
 2.× 小脳とは、後頭部の下方に位置し、筋緊張や身体の平衡の情報を処理し運動や姿勢の制御(運動系の統合的な調節)を行っている。
 3.× 下垂体とは、脳の直下にあって、さまざまホルモンを分泌する内分泌器官である。下垂体の前葉からは、副腎皮質刺激ホルモン、成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、乳汁分泌ホルモン、性腺刺激ホルモンが、下垂体の後葉からはオキシトシンと抗利尿ホルモン(バソプレシン)が分泌される。
 4.× 松果体とは、間脳の背面(後方)にあるメラトニン(概日リズム調整ホルモン)の分泌、性腺刺激ホルモンの分泌抑制に関与する。松果体は、第3脳室の後壁が背側へ膨隆してできた構造をしている。間脳は①視床上部、②視床、③視床下部から構成される。

 

 

 

 

 

13 免疫機能に関与する細胞はどれか。

 1.血小板
 2.白血球
 3.網赤血球
 4.成熟赤血球

解答

解説
 1.× 血小板とは、出血の際の一次止血血液凝固機能に関与する。血液中の細胞成分である。したがって、血小板の数が少なすぎたり、機能に異常があると出血傾向となる。
 2.〇 正しい。白血球は、免疫機能に関与する細胞である。白血球とは、血液中の細胞で、身体への異物の侵入から身体を守る働きがあり、病原菌や異物を取り込んで消化する免疫細胞である。好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球がある。
 3.× 網赤血球とは、成熟した赤血球のひとつ前の段階の未熟な赤血球のことである。貧血のタイプにより高値・低値を示す。溶血性貧血では、骨髄での赤血球造血が亢進し網赤血球は増加する。
 4.× 成熟赤血球とは、一般的な赤血球のことで、細胞内にヘモグロビンを含み、主に酸素の運搬を行う。血液中の細胞成分である。ヘモグロビンとは、酸素分子と結合する性質を持ち、肺から全身へと酸素を運搬する役割を担っている。ヘモグロビンの値が、男性は13g/dl以下、女性は11g/dl以下になると、「貧血」と診断される。

 

 

 

 

 

14 脳死の状態はどれか。

 1.縮瞳がある。
 2.脳波で徐波がみられる。
 3.自発呼吸は停止している。
 4.痛み刺激で逃避反応がある。

解答

解説

脳死の判定基準

脳死とは、脳幹を含む全脳の機能が停止した状態である。

①深い昏睡にあること
②瞳孔が固定し一定以上開いていること(4mm以上)
③刺激に対する脳幹の反射がないこと
④脳波が平坦であること
⑤自分の力で呼吸ができないこと

の5項目を行い、6時間以上経過した後に同じ一連の検査(2回目)をすることで、状態が変化せず、不可逆的であることの確認できた場合。

 1.× 縮瞳が「ないこと」が脳死の状態である。
 2.× 脳波で、「徐波」ではなく平坦が脳死の状態である。ちなみに、徐波とは、 α(アルファ)波より周波数が低いものをいい、①δ(デルタ)波【0.5~4.0Hz】、②θ(シータ)波【4.0~8.0Hz】に分けられる。 両者とも覚醒状態にある正常成人の安静閉眼時には、ほとんど出現しない。
 3.〇 正しい。自発呼吸は停止している
 4.× 痛み刺激で逃避反応が「ないこと」が脳死の状態である。

死の三徴候とは?

死の三徴候とは、①自発呼吸の停止、②心臓の停止、③瞳孔散大(対光反射の消失)である。

 

 

 

 

 

15 経口感染するウイルス性肝炎はどれか。

 1.A型肝炎
 2.B型肝炎
 3.C型肝炎
 4.D型肝炎

解答

解説

ウイルス性肝炎とは?

ウイルス性肝炎とは、A、B、C、D、E型などの肝炎ウイルスの感染によって起こる肝臓の病気である。A型、E型肝炎ウイルスは主に食べ物を介して感染し、B型、C型、D型肝炎ウイルスは主に血液を介して感染する。中でもB型、C型肝炎ウイルスについては、感染すると慢性の肝臓病を引き起こす原因ともなる。

 1.〇 正しい。A型肝炎は、経口感染するウイルス性肝炎である。A型肝炎とは、A型肝炎ウイルス(HAV)感染による疾患である。通常、感染した人の便で汚染されたものを摂取したときに感染する。人の便が流れている海で育った貝類の摂取で感染することもある。初期症状は倦怠感や発熱、頭痛、筋肉痛等で、一過性の急性肝炎が主症状であり、治癒後に強い免疫が残る。治療は、通常、安静を含めた対症療法が中心となる。
 2.× B型肝炎とは、B型肝炎ウイルスに感染することによって生じる肝臓の病気のことである。B型肝炎ウイルスは主に感染者の血液や体液を介して感染する。たとえば、注射針を感染者と共用した場合や、感染者と性行為をした場合などに感染する。しかし、B型肝炎にはワクチンがあるため、適切にワクチンを接種することによって感染を予防することができる。
 3.× C型肝炎とは、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染することによって起こる肝臓の病気である。C型肝炎ウイルスは、主に感染者の血液や体液から感染する。感染の危険性がある行為としては注射器の使い回しや剃刀(かみそり)の共用などがある。そのほか、妊娠中の母親から胎児への感染や性行為による感染もあるが、感染する確率は低いと考えられている。
 4.× D型肝炎とは、D型肝炎ウイルスによって引き起こされる急性および慢性の肝疾患である。D型肝炎ウイルスは不完全なウイルスで、B型肝炎ウイルスを持っている人にだけ感染し、増殖することができる。同時に感染するよりは、B型肝炎ウイルス感染がある人に重ねて感染したときの方が、症状は重く、脳症状がでて短期間に死亡することが多い「劇症肝炎」の原因にもなる。

 

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