第113回(R6) 看護師国家試験 解説【午前56~60】

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56 子どもに医療処置を行う際、看護師が行うディストラクションはどれか。

 1.処置後に子どものがんばりを認める。
 2.人形を用いて子どもに処置を説明する。
 3.子どもの対処行動のパターンを把握する。
 4.子どもの注意を処置ではなく他のものに向ける。

解答

解説
 1.× 「処置後」ではなく処置中に子どものがんばりを認める。
 2.× 人形を用いて子どもに処置を「説明する」のではなく気を紛らわす
 3.× 子どもの対処行動のパターンを把握するのは、処置前に行うことである。ディストラクションは、治療・処置・検査の際に、小児の気をまぎらわせることである。
 4.〇 正しい。子どもの注意を処置ではなく他のものに向ける。ディストラクションとは、治療・処置・検査の際に、おもちゃやコミュニケーションを利用して小児の気をまぎらわせ、苦痛を最小限にすることである。子どものお気に入りのおもちゃで遊んだり、養育者が子どもを抱っこしたり、手を握ったりすることも有効である。

 

 

 

 

 

57 乳児に対する一次救命処置〈BLS〉で正しいのはどれか。

 1.脈拍の確認は橈骨動脈の触知で行う。
 2.意識レベルは足底を叩きながら反応を確認する。
 3.救助者が2名いる場合、胸骨圧迫と人工呼吸の回数の比率は30:2である。
 4.胸骨圧迫の速さ(回数)は130~150回/分である。

解答

解説

(※図引用:「小児における包括的緊急循環管理」MSDマニュアルプロフェッショナル版様HPより)

 1.× 脈拍の確認は、「橈骨動脈」ではなく上腕動脈の触知で行う。なぜなら、新生児や乳児は拍動が弱く心拍数が多いため。
 2.〇 正しい。意識レベルは足底を叩きながら反応を確認する。なぜなら、乳児の頭は非常に繊細で、定頸も獲得できていないため。成人のように肩で刺激すると、これら未熟部位を傷つけてしまう恐れがあるため、現時点では足底を叩いて反応を確認することが多い。
 3.× 救助者が2名いる場合、胸骨圧迫と人工呼吸の回数の比率は、「30:2」ではなく15:2である。救助者が1人の場合は30:2である。成人では救助者の数にかかわらず圧迫:換気比を30:2とすることと対照的である。
 4.× 胸骨圧迫の速さ(回数)は、「130~150回/分」ではなく100~120回/分である。乳児および小児における胸骨圧迫の速さは、成人(100~120回/分)と同様である。ちなみに、乳児および小児(思春期前または55kg未満)に胸骨圧迫を行う際は、胸郭が前後径の3分の1沈むまで圧迫する。具体的には約4~5cmである。青年または55kg以上の小児では,成人と同じ深さ(すなわち5~6cm)が推奨されている。

一時救命処置(BLS)とは?

一時救命処置(BLS)とは、Basic Life Supportの略称で、心肺停止または呼吸停止に対する一次救命処置のことである。正しい知識と適切な処置の仕方さえ知っていれば誰でも行うことができる。

1.周囲の安全を確認
救助者の安全を最優先し、二次災害を防ぐためにまずは周囲の安全を確認する。

2.緊急通報とAEDを要請
大声で叫んで助けを呼ぶなど、周囲の人に119番通報とAEDの手配を頼む。  

3.呼吸を確認
普通の呼吸が確認できたら、回復体位(横向き)にして救急車を待つ。
呼吸をしていない、もしくは正常な呼吸でない場合はCPRを開始する。

4.CPR(心肺蘇生法)を開始
胸骨圧迫からはじめる。人工呼吸ができるようなら行うが、胸骨圧迫のみでも構わない。 

5.(AEDが入手できた場合)AEDで解析する

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【6問】救急外来(BLS)についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

58 児童虐待の防止等に関する法律〈児童虐待防止法〉に基づいて行う通告で正しいのはどれか。

 1.警察に通告する。
 2.守秘義務の遵守が優先される。
 3.通告にあたっては児童自身の意思を尊重することが規定されている。
 4.児童が同居している家庭における配偶者に対する暴力は通告の対象となる。

解答

解説

児童虐待防止法とは?

児童虐待の防止等に関する法律とは、児童虐待防止に関する施策を促進し、児童の権利・利益を擁護することを目的としている。児童に対する虐待の禁止、虐待に関する地方自治体の責務、児童の保護措置などが規定されている。

 1.× 「警察」ではなく「市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所」に通告する。これは、児童虐待防止法の第六条(児童虐待に係る通告)において、「児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない」と規定されている(※引用:「児童虐待の防止等に関する法律」厚生労働省様HPより)
 2.× 「守秘義務の遵守」ではなく通告が優先される。これは、児童虐待防止法の第六条3項(児童虐待に係る通告)において、「刑法の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、通告をする義務の遵守を妨げるものと解釈してはならない」と規定されている(※引用:「児童虐待の防止等に関する法律」厚生労働省様HPより)。
 3.× 通告にあたっては、「児童自身の意思を尊重すること」ではなく「児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者」が規定されている。つまり、「児童自身の意思」に関係なく、「児童虐待を受けたと思われる児童」がいたら通告する必要がある。
 4.〇 正しい。児童が同居している家庭における配偶者に対する暴力は通告の対象となる。なぜなら、「児童虐待を受けたと思われる児童」がいたら通告する必要があるため。

配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)とは?

配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)とは、今まで家庭内に潜在してきた女性への暴力について、女性の人権擁護と男女平等の実現を図るため、夫やパートナーからの暴力の防止、及び被害者の保護・支援を目的として作られた法律である。

【主な内容】
①配偶者からの暴力の定義
②国及び地方公共団体の責務
③配偶者暴力相談支援センター
④一時保護
⑤情報提供・通報
⑥警察官による被害の防止・警察本部長等の援助
⑦福祉事務所による自立支援
⑧各関係機関連携
⑨保護命令

(※参考:「DV防止法とは?」千葉県HPより)

 

 

 

 

 

59 法律で定められている育児時間に関する説明で正しいのはどれか。

 1.育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律〈育児・介護休業法〉に規定されている。
 2.請求できるのは子が1歳6か月に達するまでである。
 3.父親と母親の両方が取得できる。
 4.1日に2回請求できる。

解答

解説

労働基準法とは?

労働基準法とは、労働者の生存権の保障を目的として、①労働契約や賃金、②労働時間、③休日および年次有給休暇、④災害補償、⑤就業規則といった労働者の労働条件についての最低基準を定めた法律である。

 1.× 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律〈育児・介護休業法〉」ではなく、労働基準法に規定されている。育児介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)とは、育児・介護に携わる労働者について定めた日本の法律である。①労働者の育児休業、②介護休業、③子の看護休暇、④介護休暇などが規定されている。
 2.× 請求できるのは子が、「1歳6か月」ではなく1歳に達するまでである。労働基準法(第67条):選択肢4の解説参考。
 3.× 「父親と母親の両方」ではなく女性(母親)が取得できる。労働基準法(第67条):選択肢4の解説参考。
 4.〇 正しい。1日に2回請求できる。これは、労働基準法(第67条)において、「生後満一年に達しない生児を育てる女性は、第三十四条の休憩時間のほか、一日二回各々少なくとも三十分、その生児を育てるための時間を請求することができる。②使用者は、前項の育児時間中は、その女性を使用してはならない」と規定されている(※引用:「労働基準法」e-GOV法令検索様HPより)」。

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【4問】労働基準法についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

60 日本の人工妊娠中絶で正しいのはどれか。

 1.配偶者の同意が必須である。
 2.妊娠10週以降は死産の届出が必要である。
 3.実施が可能なのは妊娠22週未満の場合である。
 4.実施率は母の年齢が20~24歳よりも20歳未満の方が高い。

解答

解説

母体保護法とは?

母体保護法とは、不妊手術及び人工妊娠中絶に関する堕胎罪の例外事項を定めること等により、母親の生命健康を保護することを目的とした法律である。1948年7月13日に公布された。

 1.× 配偶者の同意が必須ではない
母体保護法の第十四条(医師の認定による人工妊娠中絶)都道府県の区域を単位として設立された公益社団法人たる医師会の指定する医師は、次の各号の一に該当する者に対して、本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる。一 妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの。二 暴行若しくは脅迫によつて又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫かんいんされて妊娠したもの。2 前項の同意は、配偶者が知れないとき若しくはその意思を表示することができないとき又は妊娠後に配偶者がなくなつたときには本人の同意だけで足りる。(※一部引用:「母体保護法」e-GOV法令検索様HPより)
 2.× 「妊娠10週」ではなく妊娠12週以降は死産の届出が必要である。妊娠12週以後の中絶手術を受けた場合は役所に死産届を提出し、胎児の埋葬許可証をもらう必要がある。
 3.〇 正しい。実施が可能なのは妊娠22週未満の場合である。妊娠初期(12週未満)と②妊娠12 週〜22 週未満の場合では中絶手術の方法やその後の手続きが異なる。人工妊娠中絶手術は母体保護法が適応される場合で、今回の妊娠を中断しなければならないときに行う手術である。
 4.× 実施率は母の年齢が20~24歳よりも20歳未満の方が「高い」ではなく低い。令和3(2021)年度の人工妊娠中絶件数は126,174件、人工妊娠中絶実施率(年齢計)は5.1。年齢階級別では20歳未満が9,093件・3.3、20代が56,969件・9.2、30代が46,821件・6.9であり、半数以上が10代及び20代となっている(※参考:「年齢階級別人工妊娠中絶件数及び実施率の推移」男女共同参画局)。

人工妊娠中絶とは?

①妊娠初期(12週未満)と②妊娠12 週〜22 週未満の場合では中絶手術の方法やその後の手続きが異なる。人工妊娠中絶手術は母体保護法が適応される場合で、今回の妊娠を中断しなければならないときに行う手術である。

①妊娠初期(12週未満):子宮内容除去術として掻爬法(そうは法、内容をかきだす方法)または吸引法(器械で吸い出す方法)が行われる。子宮口をあらかじめ拡張した上で、ほとんどの場合は静脈麻酔をして、器械的に子宮の内容物を除去する方法である。通常は10 〜15分程度の手術で済み、痛みや出血も少ないため、体調などに問題がなければその日のうちに帰宅できる。

②妊娠12週〜22週未満:あらかじめ子宮口を開く処置を行なった後、子宮収縮剤で人工的に陣痛を起こし流産させる方法をとる。個人差はあるが、体に負担がかかるため通常は数日間の入院が必要になる。妊娠12週以後の中絶手術を受けた場合は役所に死産届を提出し、胎児の埋葬許可証をもらう必要がある。

中絶手術はほとんどの場合、健康保険の適応にはならない。妊娠12週以後の中絶手術の場合は手術料だけでなく入院費用もかかるため経済的な負担も大きくなる。したがって、中絶を選択せざるをえない場合は、できるだけ早く決断した方がいろいろな負担が少なくて済む。

 

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